26 / 49
第三章 今度の敵はバイク! 魔獣少女の夏
第26話 魔獣少女の本能
しおりを挟む
弟たちは外傷こそなさそうだが、熱中症にかかったように目を回している。生気を失われた感じといえばいいか。
「うーん、ショタショタ! ショタの情熱って、とっても濃厚ね! 若いだけあって!」
指をピースサインにして、魔獣少女は腰をカクカクさせている。見た目は、特攻服。彼女がまたがっているのは、オフロードのバイクだ。バイクに刺さった大漁旗には、【飽喪失】と書かれている。読めない。
「私はケンタウロスの王、アキレス! 世界のショタは、わたしのものだ!」
手を演劇風に大きく広げて、グラウンドの面々にアピールをする。ああ、【飽喪失】と読むのか。わかりづれえ。
「バロール先輩、ケンタウロスの王だと、ケイローンでは?」
賢者ケイローンのほうが、ケンタウロス王としてしっくり来そうだが。
「実際、ケイローンに育てられた経緯があるから、いいんじゃね?」
まあ、自分の足ではなくバイクで疾走している時点で、史実無視だし。
かくいうバロール先輩も、史実ではサイクロプスと縁もゆかりもない。
それより、弟を助けないと。
「ジローを助けに行きます!」
「おう、行けヒトエ! 他のガキたちは任せろ」
ユキちゃんや臨也さんには、保護者たちの避難を先導してもらう。
「ビースト・クロス!」
誰もいないのを確認して、変身した。
マナさんも魔獣少女に変身して、バイクにまたがる。
「バイク対決か! いいねえ! やってやらあ!」
「ヒトエ、アイツはあたしがひきつける。そのウチに!」
「はい! お願いします!」
マナさんとアキレスのバイク対決が始まった。
わたしは少年たちを肩に担いで、日陰へと連れて行く。
「ほいほい」
相手チームも分け隔てなく、日陰の方へ寝かせた。後は監督さんに任せる。
「どうでしょう?」
「気絶しているだけだ。体を冷やしておきます」
「お願いします」
最後は、弟のジローを助けるだけ。
しかし、そこでアクシデントが。マナさんがスリップしたのだ。
「アハハ! オンロードで砂まみれのグラウンドなんて走るからだ! タイヤを取られるなんてね!」
アキレスが、勝ち誇っている。
「おとなしく二対一で戦っていればいいものを、情にほだされてガキのお守りなんて任せるから」
呆れ果てながら、アキレスは吐き捨てた。
「ふごおお!」
わたしは、鞘のままアキレスの横っ面をぶん殴る。
「じゃあ、期待どおりにしてやるよ」
いつもの口調を捨てて、わたしは思う存分魔獣少女を痛めつけた。
「とうとうやる気になったね、魔獣少女バロール! けど、もうあんたの快進撃はおしまいだよ!」
魔獣少女がバイクを吹かす。真正面から、わたしを跳ね飛ばそうと加速した。
わたしは、動かずに刀だけを構えて腰を落とす。
「バカな! 居合斬りで対処なんてできるわけないだろ! おとなしくショタ共を渡すんだよ。夢の世界へ連れて行ってやろう。ちょっとそこの茂みに誘導するだけだから!」
「夢の世界へは、一人で行け」
わたしは刀を抜く。後ろ向きに。
「なあ!?」
一瞬、アキレスも何をしたかわからなかっただろう。その前に、吹っ飛んでいったから。
わたしは、刀の鞘を車輪のスポークに突き刺したのだ。
スピードが乗った状態で車輪を破壊されたから、オンロードは激しく前のめりになって回転をした。タイヤは外れ、魔獣少女も地面へ投げ出される。
「すごい、どうしてわたし、こんなに怒っているのでしょう?」
『どうやらお前の本能は、仲間や家族に被害が及んだときに発動するようだな』
「本能が?」
『ああ。オレサマたち魔獣少女は、お前らの本能を引き出す作用がある。お前の場合は、家族や友情を大切にしているようだ』
それを脅かされた時、わたしは真の力を発揮するそうだ。
『正直なトコロ、オレサマもビビってる』
「え、やだあ」
急に正気に戻る。
「ひい! なんだコイツ! 情報と違うぞ!」
情報? どういうことだ?
「うーん、ショタショタ! ショタの情熱って、とっても濃厚ね! 若いだけあって!」
指をピースサインにして、魔獣少女は腰をカクカクさせている。見た目は、特攻服。彼女がまたがっているのは、オフロードのバイクだ。バイクに刺さった大漁旗には、【飽喪失】と書かれている。読めない。
「私はケンタウロスの王、アキレス! 世界のショタは、わたしのものだ!」
手を演劇風に大きく広げて、グラウンドの面々にアピールをする。ああ、【飽喪失】と読むのか。わかりづれえ。
「バロール先輩、ケンタウロスの王だと、ケイローンでは?」
賢者ケイローンのほうが、ケンタウロス王としてしっくり来そうだが。
「実際、ケイローンに育てられた経緯があるから、いいんじゃね?」
まあ、自分の足ではなくバイクで疾走している時点で、史実無視だし。
かくいうバロール先輩も、史実ではサイクロプスと縁もゆかりもない。
それより、弟を助けないと。
「ジローを助けに行きます!」
「おう、行けヒトエ! 他のガキたちは任せろ」
ユキちゃんや臨也さんには、保護者たちの避難を先導してもらう。
「ビースト・クロス!」
誰もいないのを確認して、変身した。
マナさんも魔獣少女に変身して、バイクにまたがる。
「バイク対決か! いいねえ! やってやらあ!」
「ヒトエ、アイツはあたしがひきつける。そのウチに!」
「はい! お願いします!」
マナさんとアキレスのバイク対決が始まった。
わたしは少年たちを肩に担いで、日陰へと連れて行く。
「ほいほい」
相手チームも分け隔てなく、日陰の方へ寝かせた。後は監督さんに任せる。
「どうでしょう?」
「気絶しているだけだ。体を冷やしておきます」
「お願いします」
最後は、弟のジローを助けるだけ。
しかし、そこでアクシデントが。マナさんがスリップしたのだ。
「アハハ! オンロードで砂まみれのグラウンドなんて走るからだ! タイヤを取られるなんてね!」
アキレスが、勝ち誇っている。
「おとなしく二対一で戦っていればいいものを、情にほだされてガキのお守りなんて任せるから」
呆れ果てながら、アキレスは吐き捨てた。
「ふごおお!」
わたしは、鞘のままアキレスの横っ面をぶん殴る。
「じゃあ、期待どおりにしてやるよ」
いつもの口調を捨てて、わたしは思う存分魔獣少女を痛めつけた。
「とうとうやる気になったね、魔獣少女バロール! けど、もうあんたの快進撃はおしまいだよ!」
魔獣少女がバイクを吹かす。真正面から、わたしを跳ね飛ばそうと加速した。
わたしは、動かずに刀だけを構えて腰を落とす。
「バカな! 居合斬りで対処なんてできるわけないだろ! おとなしくショタ共を渡すんだよ。夢の世界へ連れて行ってやろう。ちょっとそこの茂みに誘導するだけだから!」
「夢の世界へは、一人で行け」
わたしは刀を抜く。後ろ向きに。
「なあ!?」
一瞬、アキレスも何をしたかわからなかっただろう。その前に、吹っ飛んでいったから。
わたしは、刀の鞘を車輪のスポークに突き刺したのだ。
スピードが乗った状態で車輪を破壊されたから、オンロードは激しく前のめりになって回転をした。タイヤは外れ、魔獣少女も地面へ投げ出される。
「すごい、どうしてわたし、こんなに怒っているのでしょう?」
『どうやらお前の本能は、仲間や家族に被害が及んだときに発動するようだな』
「本能が?」
『ああ。オレサマたち魔獣少女は、お前らの本能を引き出す作用がある。お前の場合は、家族や友情を大切にしているようだ』
それを脅かされた時、わたしは真の力を発揮するそうだ。
『正直なトコロ、オレサマもビビってる』
「え、やだあ」
急に正気に戻る。
「ひい! なんだコイツ! 情報と違うぞ!」
情報? どういうことだ?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました
春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。
名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。
誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。
ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、
あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。
「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」
「……もう限界だ」
私は知らなかった。
宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて――
ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる