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第五章 魔獣少女危うし! 先輩の仇、現る!
第42話 魔獣少女とドラゴン
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「加瀬イヴキさん。あなた、お尻が弱そうなお顔をしていますね?」
「弱いかどうか、試してご覧なさい」
「ふん。人間性を捧げなさい!」
身長差がある者同士なのに、小さいケツアルカトルがイヴキさんを圧倒していた。
イヴキさんが一発を入れるたびに、向こうは三発以上攻撃を当てている。
シラットが通じていないわけじゃない。それより相手が強いのである。
「イヴキさんは、サマエルの力を全力で出しているのに」
『相性だ』
イヴキさんは、どちらかというとパワータイプだ。
対するケツアルカトルは、スピードによる手数が物を言う。
『思っていたより強い相手だったようだ。頭に血が上って、戦力に気が付かなかったようだな』
バロール先輩が、冷静になっていく。
「確かに、あなたとわたしでは格が違いすぎます。戦闘経験も少ない。ですが、治癒だけが取り柄のサマエルに、超攻撃型のケツアルカトルが後れを取るとでも思ったのですか?」
ケツアルカトルのムチが、イヴキさんの腕を折る。
「ええ。あなたのような魔獣少女が、まだいたとは驚きです。が」
一瞬で、イヴキさんは腕を治癒能力で治す。
「またすぐに折って差し上げましょう!」
ヘビのムチが、イヴキさんに絡みついた。
だが、イヴキさんはなすがままになっている。
ゴキリという薄気味悪い音が、夜の神社にこだました。
「観念しましたか。全身の骨をバラバラにした後、お尻を頂きます!」
「それはどうでしょうか。わたくしに憑依している魔獣をお忘れですね? フェニックスですよ」
「わ、しま――」
巫女は、ムチを解いてイヴキさまから逃れようとした。
イヴキさんは巫女より早く、全身を炎に包む。
「あぎゃあああああ!」
ヘビの巫女が、火ダルマになった。ムチも焼け焦げて、イヴキさんの拘束を解く。
「な、なぜ!? 全身を砕いたはずなのに!?」
「わたくしの力は、治癒ではなく『復活』ですの。一度ダメージを受ける必要があるのです。そのまま、丸焼きにして差し上げましょう」
「ひいいい!」
「ご安心を。ヤケドは治療して……む!」
巫女を包んでいた炎が、一瞬で消え去った。
イヴキさんが放った最強クラスの炎さえ、いともたやすく消すとは。
「委員長!」
焦げた巫女服をかき集めて身体を隠しながら、魔獣少女は後ろを振り返った。
そこ現れたのは、ヘビ巫女と同じ服装に身を包んだ少女である。だが、蛇と言うにはあまりにも偉大すぎる。この姿は。
「オロチ……ドラゴン!?」
メガネを掛けた黒髪ロングヘア少女が連れているのは、真っ白いドラゴンである。
『見つけたぜ……てめえがスカディ、ダチの仇だな!?』
バロール先輩が勝手に、わたしの身体を乗っ取った。
「弱いかどうか、試してご覧なさい」
「ふん。人間性を捧げなさい!」
身長差がある者同士なのに、小さいケツアルカトルがイヴキさんを圧倒していた。
イヴキさんが一発を入れるたびに、向こうは三発以上攻撃を当てている。
シラットが通じていないわけじゃない。それより相手が強いのである。
「イヴキさんは、サマエルの力を全力で出しているのに」
『相性だ』
イヴキさんは、どちらかというとパワータイプだ。
対するケツアルカトルは、スピードによる手数が物を言う。
『思っていたより強い相手だったようだ。頭に血が上って、戦力に気が付かなかったようだな』
バロール先輩が、冷静になっていく。
「確かに、あなたとわたしでは格が違いすぎます。戦闘経験も少ない。ですが、治癒だけが取り柄のサマエルに、超攻撃型のケツアルカトルが後れを取るとでも思ったのですか?」
ケツアルカトルのムチが、イヴキさんの腕を折る。
「ええ。あなたのような魔獣少女が、まだいたとは驚きです。が」
一瞬で、イヴキさんは腕を治癒能力で治す。
「またすぐに折って差し上げましょう!」
ヘビのムチが、イヴキさんに絡みついた。
だが、イヴキさんはなすがままになっている。
ゴキリという薄気味悪い音が、夜の神社にこだました。
「観念しましたか。全身の骨をバラバラにした後、お尻を頂きます!」
「それはどうでしょうか。わたくしに憑依している魔獣をお忘れですね? フェニックスですよ」
「わ、しま――」
巫女は、ムチを解いてイヴキさまから逃れようとした。
イヴキさんは巫女より早く、全身を炎に包む。
「あぎゃあああああ!」
ヘビの巫女が、火ダルマになった。ムチも焼け焦げて、イヴキさんの拘束を解く。
「な、なぜ!? 全身を砕いたはずなのに!?」
「わたくしの力は、治癒ではなく『復活』ですの。一度ダメージを受ける必要があるのです。そのまま、丸焼きにして差し上げましょう」
「ひいいい!」
「ご安心を。ヤケドは治療して……む!」
巫女を包んでいた炎が、一瞬で消え去った。
イヴキさんが放った最強クラスの炎さえ、いともたやすく消すとは。
「委員長!」
焦げた巫女服をかき集めて身体を隠しながら、魔獣少女は後ろを振り返った。
そこ現れたのは、ヘビ巫女と同じ服装に身を包んだ少女である。だが、蛇と言うにはあまりにも偉大すぎる。この姿は。
「オロチ……ドラゴン!?」
メガネを掛けた黒髪ロングヘア少女が連れているのは、真っ白いドラゴンである。
『見つけたぜ……てめえがスカディ、ダチの仇だな!?』
バロール先輩が勝手に、わたしの身体を乗っ取った。
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