月25万の不労所得を得てセミリタイアした元女上司を宗教勧誘から助けたら、「話し相手」として雇ってくれた

椎名 富比路

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第一章 宗教勧誘から助けた元上司が、ボクに「いっしょに住んでくれ」と頼んできた。

第3話 同居生活、開始

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 きっかけは、ボクの家が取り壊しになるという話をしたときだ。

「建て替えで、引っ越さなければいけなくなりました」

 今のアパートは老朽化が進んでいた上に、管理者もなくなってしまったのである。

「スキな缶コーヒーメーカーの自販が目の前にあったので、重宝していたんですよ。あれが取り壊しになったら、あのカフェオレ、駅前のドラッグストアまで買いに行かないといけなくなるんですよねー」

「なら、ウチに来い」

 ボクが呼ばれたのは、穂村ほむら 亜紀子あきこ先輩が所有するアパートだ。今日から、ここに住めという。
 
「あのー。どういう状況なのでしょうか?」

「言葉のままの意味だ。うちに住んでくれ」
 
「いきなりよく知らない男女が、ひとつ屋根の下で暮らすってのは、いささか不謹慎ではないかと」

「部屋は用意してある」

 聞いてねえ!

「はい?」

「ついてきてくれ」

 言われるがままに、喫茶店から穂村先輩のお家へ。

 やってきたのは、小さな二階建てのアパートだ。

 駅から結構、遠い。とはいえ、こじんまりとしていて、静かな場所にある。
 ごみ捨てのルールも、あまり厳しくない。

「これを持って」

 穂村先輩は、ボクにカギをよこす。

 外へ出て、階段の二階へと上がっていく。

「ここが、キミの部屋だ」

 ボクが使っていいという部屋に、通された。

 すごい。今の家よりずっと広くて、会社からも一時間以上近い。

「ということは、つまり、不動産を持ってらっしゃると?」

「そうなるな。キミが住んでくれたら、私に家賃も入ってくる」

 それは、合理的だ。

「私はキミから、資産管理の相談を受ける。キミは私の所有する不動産に住む。それで、どうだろう?」

「はい。そういう意味だったんですね? ボクはてっきり」

「てっきり?」

「なんでも、ありません」

 とにかく、新居を確保できたわけか。

「家財はどうするんだ?」

「PCだけ。家電は、大学時代からのをそのまま使っていたので、ボロボロなんですよね」

 ちょうど買い替えようと思っていたし、今から家電ごと引っ越しとなると手間だ。

「冷蔵庫だけ持ってきて、後は買い替えます」

「エアコンは、設置してある。Wi-Fiもあるからな」

「お世話になります」

 こうしてボクは、休日を利用してすぐ引っ越した。

 冷蔵庫はミドルサイズだったので、ぴったり収まっている。

「ふう。食糧は、確保と」

 家電も、それなりに揃ってきた。

 なにより、お気に入りの缶コーヒーがあるドラッグストアが、近くにあるではないか。

 どうしてこんな優良物件を、知らずに過ごしていたのだろう?

 住んでみたら、案外いい場所じゃないか。

「快適だ」

「そうだろう」

「ん~っ?」

 どうして、穂村先輩が部屋に入ってきているんだ?
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