月25万の不労所得を得てセミリタイアした元女上司を宗教勧誘から助けたら、「話し相手」として雇ってくれた

椎名 富比路

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第一章 宗教勧誘から助けた元上司が、ボクに「いっしょに住んでくれ」と頼んできた。

第2話 不労所得 月額二五万生活

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「中学の頃から、投資の動画とか見てて、ネット内だけで【ほったらかし投資術】が流行っていたんですよ」

「知っているぞ、おきくん。私はその前から、投資を始めていたが」

 そのころのボクは、学校生活もまったく張り合いがなくて、恋愛とかもまったく興味が湧かなかった。

 やりたいことも、ネットを見るとほとんどの人が先行していて。

 ボクがやろうとしたことも、すべて後追い扱い。
 
 ボクはもはや、ただ生きているだけのゾンビ学生だった。

 そんな中、投資の動画が目に入ってきたのである。

 月々少額で、数百万に化けると。

 それを試したら、本当に目に見えて金額が増えていった。

「親御さんから、投資の教育を受けたとかではなく?」

「いいえ。まったくの独学です。大学の学費は、出してもらいましたけど」

「それでいい。出してもらえるなら、それが一番いいからな。私はバイトして、自分で稼いだんだ」

 穂村ほむら先輩の話によると、彼女もボクと同じようなゾンビ学生だったらしい。

 ただ、ボクより気合が違った。中学の頃からおこづかいをすべて投資に回し、配当金だけ受け取っていたという。

「その頃から?」

「そうだ。割と儲かっていたからな」

 ある程度貯金ができたので、生活が派手になっていった。貯金の反動で、食べる量が増えたという。友人におごることも、多かったという。

「そしたら、親にバレてな。『そんなにお金があるなら、学費は自分で出せ』と、言い渡された」

「厳しいですね」

「私の金遣いが荒くなってきたのを、指摘してきたんだ。金のありがたみがわからないまま、大人になってしまうぞと」

「人に奢っていたのが、マズイと思ったんでしょうね」

「そのとおりだ」

 そこから先輩は、友人づきあいとかも選別・厳選し、気心のしれた仲以外の交流を避けた。

「ただ、それが災いしてな。社会人になっても、金融リテラシーの高い仲間に出会えなかった」

 いい企業に入っても、投資経験者って限られる。ある程度、自力で稼げてしまうからだ。

「そうして黙って貯金や投資をして、気がついたら月額二五万の不労所得を得るまでになっていた」

「エグいですね。単純計算で、資産六〇〇〇万くらいですか?」

「よくわかったな。『四%ルール』を知っているだけでも、かなり勉強家だと言うのに」

 四%ルールとは、資産の取り崩しのルールを差す。

 全米株式だと、年七から九%のリターンだという。全世界株式でさえ、最悪でも年に五%は確実に手に入る。

 なら、四%で取り崩せば、一生資産を増やして生活ができるという計算だ。
 
「どうってことないです。六〇〇〇万の年率四%が、二四〇万だったので」
 
 月額二五万だと、年間三〇〇万円。なら、六〇〇〇くらいは必要だろう。

「正解だ。現金一〇〇〇万、投資信託五〇〇〇万、あとは副業で、稼いでいる」

 それでギリギリ、月額二五万を手に入れているらしい。

「実際は、【上場投信】というタイプの高配当投資信託に投資していたのだ」

 分配金か。だったら、三%強はもらっているってわけか。
 それでも月額二五万はデカいな。

「結果的に、私は秘密を抱えたまま、こうしてボッチ投資家となってしまったんだ」

 冷めたエビグラタンを、穂村先輩は口へ運ぶ。

「キミは楽しそうで、うらやましいよ」

「生きがいは、ありますからね」

「どんな」

「アニメやゲームです。推し活とか」

「ふむ」

 アーティストを追いかける。
 好きな作品の生地へ赴く。
 展示などを見に行くなどもいい。

「そうやって、キミは少ない投資額の中から厳選して、お金を使っていったのか」

「ですね。お金をなんのために使うのかってフェーズには、まだ遠いんですけど」

 オレは、デザートのメロンソーダを飲み干す。

 楽しいことは、先送りにしないほうがいい。

「そういう話を聞きたかったんだ。もっとキミのことを知りたい」

「また、お会いしましょう」

 ボクたちは、連絡先を交換した。

 お会計になり、穂村先輩は財布を出そうとする。

「ここはボクが」

「いや、助けてもらったお礼だ。ここは私が」

「なら、なおさらボクに払わせてください。ポイント欲しいので」

 ボクは、スマホを取り出す。

「タッチ決済のポイントが欲しいんだな。なら、お願いする。この埋め合わせは、絶対するからな」

「お待ちしていますよ」

 今度こそ、ボクたちは解散した。

 

 翌日、穂村先輩がとんでもないことを言い出す。

『うちで暮らさないか』、と。
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