月25万の不労所得を得てセミリタイアした元女上司を宗教勧誘から助けたら、「話し相手」として雇ってくれた

椎名 富比路

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第一章 宗教勧誘から助けた元上司が、ボクに「いっしょに住んでくれ」と頼んできた。

第10話 話し相手として、雇われる

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 家に到着して、穂村ほむら先輩はボクに話を振る。

「先輩、話ってなんですか?」

「それよりおきくん。夕飯の時間だ。近所にうまい焼肉の店があるんだ。行かないか?」

「今日は外食メインですが、大丈夫なんですか?」

「構わない。キミが引っ越してきた歓迎会だ。ごちそうしよう」

「ありがとうございます」

「ではさっそく、行こうじゃないか」

 穂村先輩のススメる、焼肉屋へ。

 大ジョッキで、ハイボールを煽る。

「ぷはあ。今日は歩いたから、ハイボールがうまい」

「そうですね。久々に、ゆっくり飲めます」

 まさか民家の近くに、こんなコスパのいい焼肉屋さんがあるとは。

「安い店だが、遠方からリピーターが来るほどうまいんだ」

「ホントですね。タンが肉厚で、噛み応えがすごいです」

 ここに越せただけでも、得した気分だ。

 それにしても、話とは?
 
「先輩そろそろ、お話を聞かせていただけると」

「おっと、そうだな」

 先輩はハイボールを空けて、おかわりをした。そこから、重い口を開く。
 
おき がくくん。キミを雇いたい」

「副業ですか?」

「話し相手になってくれるだけでいい」

 そんなので、お金をもらっていいんだろうか?

「茶飲み友だちでいいんですか? ならタダでも構いませんよ?」

 友だちを買うようなもんになりそう。

「いや。相談相手になってもらいたい。いっしょに旅をしたり、カフェ巡りをしたりだ」

 それなら、今でもやってるじゃん。
 
「ですから、無料でも」

「キミの時間を、奪っているからな。買い取ることにした」

 律儀だなあ。別に無報酬でも、誘ってくれればどこへも行くのに。

「キミだって、生活が厳しいだろ。残業だってあるだろうし」

「はい。たしかに、あまり時間は取れませんね」

「その上で、私の相手もしてくれるのだ。私はキミの部屋に入り浸るし、光熱費などの問題もある」

 もちろん、雇うと言っても、報酬は微々たるものになるという。

「微々たるどころか、お金なんて」

 ボクだって、投資で稼いでいる。特にお金には、困っていない。

「私は気にするんだよ。光熱費くらいは出させてほしい」

「ホントにいいんですか?」

 ありがたいけど、価格がなあ。

 先輩の不労所得からの、金額だ。
 
 数万円程度だが、払うとなると結構な重荷になる。

「私はそれでいい。その代わり、色々と連れ回すからな。その時、キミは自腹で行くことになるが」

「まったく問題ありません」

 先輩のことだ。気を使って、安めのプランを立ててくるはずである。

 ボクもそれで満足できる性格だと、先輩は知っているから。

「では、よろしくおねがいします。先輩」

「ああ。よろしくな 沖くん」


(第一章 おしまい)
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