月25万の不労所得を得てセミリタイアした元女上司を宗教勧誘から助けたら、「話し相手」として雇ってくれた

椎名 富比路

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第二章 管理人の仕事も手伝う

第12話 ピギャーッ!

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 寮は、車で数分の場所にある。
 
「女子寮っつっても、厳密には寮ではないんですよね?」

「便宜上、寮と言っているだけだ。正確には、女性専用の住居だな」

 防犯上、女性だけしか借りられないようにしているアパートだという。もちろん、男性を連れ込んでもいけない。
 

「やっぱり、騒々しいですね」

 車で寮に近づいただけで、騒いでいる声が聞こえてきた。

 寮の向かいにある建物の近くに、穂村先輩は車を駐める。ここが、管理人用の住居らしい。
 所有しているアパートと女子寮とで、穂村先輩は大家を兼任しているのだ。
 こちらは家というより、小屋とか物置に近い。
 常備している食糧も、非常食ばかりだ。普段使いは、していないのだろう。

「入居率や回転率を鑑みて、ベストな洗濯だと思っていたのだ。しかし、利用者のモラルにまで、頭が回らなかった」

 性善説で生きていると、こういうトラブルも起きるよね。

「まだ、しゃべっていますね」
 
 アルコールも入っているため、注意しても聞いてくれないだろう。

「すまないな。おきくん。キミまで巻き込んでしまった」

穂村ほむら先輩の元気がないほうが、よっぽど心配ですよ」

 ボクが気を使うくらい、穂村先輩はゲンナリしている。
 
 そして……。
  
『ピギャーッ!』

 事件性の高い悲鳴が、一〇四号室辺りから聞こえてきた。

「何事ですか、今のは!?」

「寮からだな。あれがゲーマーの入居者だろう」

 この部屋からでも聞こえてくるとか、どんな声量なんだよ。

『ファッキン左サイド! 弾幕薄いぞなにやってんの!』

 数分ごとに汚い言葉を連呼し、ゲラゲラ笑っている。

「かなりひどいな」

 あれはちょっと、問題ですね。

「ただ、入居者は、学生なんですよね?」

 だったら、考えがある。

「キミの策を聞こうか」

 ボクは、とある作戦を先輩に話す。

「わかった。キミのアイデア通りにしてみよう。それより、今日はもう休みなさい。明日も仕事なんだ」

「いいんですか? 一人で」

「調査は、一人でもできるさ」

 穂村先輩の車で、家まで送ってもらった。

「では、お言葉に甘えて。おやすみなさい」
 
 

 

 数日後、飲み会組の大騒ぎはピタッと止まった。

「どんな魔法かと思ったが、『これ以上騒いだら、親に連絡しますね』と管理会社から伝えてもらうとは」

 彼らのお金の出どころは、両親である。
 悪いことが親に発覚すると、強制退去の危険があるのだ。
 資金源が立たれると思った彼らは、おとなしく飲み会をやめることにしたようである。

 しかし、ゲーマーの子だけには効果がなかった。
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