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第二章 管理人の仕事も手伝う
第13話 「ピギャー」の人と対面
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夜中までゲームをする騒動の主は、斎藤 潤羽さんという女性である。
この人が、夜中に「ピギャー」って吠えるのか。
そう思えるくらい、地味な服装の人だった。
だが、言動はぶっきらぼうで、いかにも「ピギャー」っていいそう、と思わせる。
斎藤さんを喫茶店に呼び出して、管理会社の人も交えて説得を試みた。
「これ以上騒音トラブルを起こしますと、ご両親に伝えますよ?」
管理会社の人が、改めて斎藤さんに釘を刺す。
「やりゃあいいだろ。あたしは親から、金をもらってねえんだから」
やはり彼女は、親からの援助を受けていないようである。
ならば、親を脅しの材料に使うことはできない。
「騒音になるとわかっていて、ゲームをしながら叫んでいる理由は?」
「実況だよ」
斎藤さんは、ゲーム実況で金銭を得ていたのか。
春までに頭金だけ貯めて、穂村さんのマンションに入れたらしい。
バイトもなにもしていないようだから、どこからお金を得ているのか不明だったが。
「このアパートでは、騒音のもととなるゲーム実況や配信行動は、禁止されているのをご存知ですね?」
強めの語気で、穂村先輩が斎藤さんに詰め寄る。
「知ってるよ。だから、夏までは普通にバイトしていたんだ」
「それがどうして、実況を?」
「夏の間だけ、頼まれたんだよ」
「どなたに?」
「他の実況者にだよ。大会があるんだ」
聞くと、夏に開催されるFPS大会が近いらしい。
斎藤さんは強いそうで、大会のためにどうしても連携力を高める必要があるという。
ボイスチャットまでは依頼されていないが、ボイチャなしだと指示系統が狂うそうだ。
「悪いとは思ってるよ。だから、出ていく」
斎藤さんは、席を立つ。
「どこへ行くんです? 聞けばその実況者さん、地方のご出身ではありませんか」
「夏の間だけだしな。どうとでもなるさ」
たしかに、騒音のもととなる実況者さんが出ていくのは、願ってもないことである。
実況者ともなると、防音設備をどう整えてもトラブルは避けられないと聞く。
防音設備を設置しただけでも、別の許可が必要だし、なにより退去時の費用や修繕代も膨大だ。
できれば、いてほしくない。
しかし、人のいい穂村先輩は、どうにかして引き止められないかと考えている。
そんな気がした。
「まいったな」
途中で、穂村先輩がスマホを何度も確認している。
「どうしたんです?」
「いやね、沖くん。配信ゲーム部屋の管理者が、やめたいって言ってきたんだよ」
その人は最近になって大学院生になり、「研究で抜けられない」って言ってきたそうだ。
なるほど、それなら。
「ボクに考えがあります」
この人が、夜中に「ピギャー」って吠えるのか。
そう思えるくらい、地味な服装の人だった。
だが、言動はぶっきらぼうで、いかにも「ピギャー」っていいそう、と思わせる。
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「これ以上騒音トラブルを起こしますと、ご両親に伝えますよ?」
管理会社の人が、改めて斎藤さんに釘を刺す。
「やりゃあいいだろ。あたしは親から、金をもらってねえんだから」
やはり彼女は、親からの援助を受けていないようである。
ならば、親を脅しの材料に使うことはできない。
「騒音になるとわかっていて、ゲームをしながら叫んでいる理由は?」
「実況だよ」
斎藤さんは、ゲーム実況で金銭を得ていたのか。
春までに頭金だけ貯めて、穂村さんのマンションに入れたらしい。
バイトもなにもしていないようだから、どこからお金を得ているのか不明だったが。
「このアパートでは、騒音のもととなるゲーム実況や配信行動は、禁止されているのをご存知ですね?」
強めの語気で、穂村先輩が斎藤さんに詰め寄る。
「知ってるよ。だから、夏までは普通にバイトしていたんだ」
「それがどうして、実況を?」
「夏の間だけ、頼まれたんだよ」
「どなたに?」
「他の実況者にだよ。大会があるんだ」
聞くと、夏に開催されるFPS大会が近いらしい。
斎藤さんは強いそうで、大会のためにどうしても連携力を高める必要があるという。
ボイスチャットまでは依頼されていないが、ボイチャなしだと指示系統が狂うそうだ。
「悪いとは思ってるよ。だから、出ていく」
斎藤さんは、席を立つ。
「どこへ行くんです? 聞けばその実況者さん、地方のご出身ではありませんか」
「夏の間だけだしな。どうとでもなるさ」
たしかに、騒音のもととなる実況者さんが出ていくのは、願ってもないことである。
実況者ともなると、防音設備をどう整えてもトラブルは避けられないと聞く。
防音設備を設置しただけでも、別の許可が必要だし、なにより退去時の費用や修繕代も膨大だ。
できれば、いてほしくない。
しかし、人のいい穂村先輩は、どうにかして引き止められないかと考えている。
そんな気がした。
「まいったな」
途中で、穂村先輩がスマホを何度も確認している。
「どうしたんです?」
「いやね、沖くん。配信ゲーム部屋の管理者が、やめたいって言ってきたんだよ」
その人は最近になって大学院生になり、「研究で抜けられない」って言ってきたそうだ。
なるほど、それなら。
「ボクに考えがあります」
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