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第二章 管理人の仕事も手伝う
第14話 ピギャーさんを、雇用する
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ボクは穂村先輩に、斎藤さんをゲームカフェまで連れて行くようにお願いした。
「ここだ。沖くん」
到着したのは、駅近のビルである。
「二四時間営業、冷暖房完備だ。ここなら、いくらでも遊んでくれていいが」
「金はない、っつってんじゃん」
穂村先輩も斎藤さんも、首を振った。
「違います。斎藤さん、あなたにはここで働いてもらうんです」
「はあ?」
ボクは斎藤さんのを雇用してもらうため、ここに来たのだ。
「穂村先輩。たしか、従業員がやめちゃったんですよね?」
「そうだ。元々、あんまりやる気がない人物だったが」
「シフトは?」
「昼勤務だ。一五時から二三時の、休憩時間込みの八時間勤務をお願いしていた」
穂村先輩が言うと、斎藤さんは「あっ」と声を上げた。
「ちょうどいい。あたしのゲーム実況は、〇時からなんだ」
「終わるのは?」
「五時かな」
海外向けの配信なので、それくらいで打ち切るという。当日の試合も、開始は深夜らしい。
ならば、ちょうどいいじゃないか。
「仕事をしつつ、ここでゲームしてもらったらいいんじゃないですか?」
昼から夕方までは、ゲーセンカフェで働いてもらう。
夜は客として、ゲームしてもらうのだ。
駅近なら、多少の騒音は構わない。
「この駅なら、家からも近いです。家は寝に来るだけにして、お昼からガッツリ働いていただければ」
「ならば、ちょうどいいな。あんま家から近すぎると、ダラダラしちまいそうだし。仕事ってなると、あたしもがんばるよ」
斎藤さんは、やる気だ。
「雇ってもらえるかい?」
「騒音を起こさないなら、構わない」
「決まりだな。わかった。もう深夜に叫ばないよ。その代わり、めっちゃシャウトするからな」
「そのつもりで、作ってある」
穂村先輩と斎藤さんが、固い握手をかわす。
数日後、斎藤さんは見違えた。人が変わったように、かっこよくなっている。
「制服姿のあたしも、イカスだろ?」
タイトなミニスカートに黒タイツという、パチンコ屋さんみたいな制服姿だ。ボサボサだった髪も、バッチリと決まっている。
「順調か?」
「まあね。終始マスクするから、化粧しなくていいし。客も、勝手知ったるなんとやらでね。ツーカーでうまくやっていられる。クレーマーが出ても、話し合いでどうにかなってる」
「それはよかった。ありがとう」
「礼を言うのは、こっちだ。ありがとう、穂村さん。そっちのお兄さんも」
ボクは、なにもしていない。提案しただけだ。手続きは、穂村先輩がしていたし。
「斎藤さんのやる気が、段違いなだけですよ」
「うれしいことを言ってくれるね。悪かったね、トラブルを起こしてしまって」
「いえ。がんばってください」
「ありがとうよ。んじゃ、仕事に戻るから」
斎藤さんは、お客さんの対応へ向かう。
「すごいな、沖くん。あそこまで、人を変えてしまうなんて」
「ですから、ボクはなにもしていませんって」
「ここだ。沖くん」
到着したのは、駅近のビルである。
「二四時間営業、冷暖房完備だ。ここなら、いくらでも遊んでくれていいが」
「金はない、っつってんじゃん」
穂村先輩も斎藤さんも、首を振った。
「違います。斎藤さん、あなたにはここで働いてもらうんです」
「はあ?」
ボクは斎藤さんのを雇用してもらうため、ここに来たのだ。
「穂村先輩。たしか、従業員がやめちゃったんですよね?」
「そうだ。元々、あんまりやる気がない人物だったが」
「シフトは?」
「昼勤務だ。一五時から二三時の、休憩時間込みの八時間勤務をお願いしていた」
穂村先輩が言うと、斎藤さんは「あっ」と声を上げた。
「ちょうどいい。あたしのゲーム実況は、〇時からなんだ」
「終わるのは?」
「五時かな」
海外向けの配信なので、それくらいで打ち切るという。当日の試合も、開始は深夜らしい。
ならば、ちょうどいいじゃないか。
「仕事をしつつ、ここでゲームしてもらったらいいんじゃないですか?」
昼から夕方までは、ゲーセンカフェで働いてもらう。
夜は客として、ゲームしてもらうのだ。
駅近なら、多少の騒音は構わない。
「この駅なら、家からも近いです。家は寝に来るだけにして、お昼からガッツリ働いていただければ」
「ならば、ちょうどいいな。あんま家から近すぎると、ダラダラしちまいそうだし。仕事ってなると、あたしもがんばるよ」
斎藤さんは、やる気だ。
「雇ってもらえるかい?」
「騒音を起こさないなら、構わない」
「決まりだな。わかった。もう深夜に叫ばないよ。その代わり、めっちゃシャウトするからな」
「そのつもりで、作ってある」
穂村先輩と斎藤さんが、固い握手をかわす。
数日後、斎藤さんは見違えた。人が変わったように、かっこよくなっている。
「制服姿のあたしも、イカスだろ?」
タイトなミニスカートに黒タイツという、パチンコ屋さんみたいな制服姿だ。ボサボサだった髪も、バッチリと決まっている。
「順調か?」
「まあね。終始マスクするから、化粧しなくていいし。客も、勝手知ったるなんとやらでね。ツーカーでうまくやっていられる。クレーマーが出ても、話し合いでどうにかなってる」
「それはよかった。ありがとう」
「礼を言うのは、こっちだ。ありがとう、穂村さん。そっちのお兄さんも」
ボクは、なにもしていない。提案しただけだ。手続きは、穂村先輩がしていたし。
「斎藤さんのやる気が、段違いなだけですよ」
「うれしいことを言ってくれるね。悪かったね、トラブルを起こしてしまって」
「いえ。がんばってください」
「ありがとうよ。んじゃ、仕事に戻るから」
斎藤さんは、お客さんの対応へ向かう。
「すごいな、沖くん。あそこまで、人を変えてしまうなんて」
「ですから、ボクはなにもしていませんって」
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※全5話
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