月25万の不労所得を得てセミリタイアした元女上司を宗教勧誘から助けたら、「話し相手」として雇ってくれた

椎名 富比路

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第二章 管理人の仕事も手伝う

第15話 お祝い

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 すべてが解決して、依頼主も大喜びだった。

 そのためか、ボクはまた焼き肉をおごってもらうことに。

「すいません、穂村ほむら先輩。この間も出してもらっているのに」

「いいんだ、おきくん。今日はいい日だ。キミのおかげで、問題が解消できたんだから」

「そういってもらえると、ありがたいです」

 ボクは一際大きなタンを、ご馳走してもらう。

「ハラミも焼けているから、ジャンジャン行ってくれ」

「ありがとうございます」

 ここで遠慮すると、かえって悪い。

 穂村先輩に進められるまま、モリモリガツガツと食らう。

 ここは住宅街の隅に、ポツンと建っている、穂村先輩とボクが住むアパートから、すぐ来られるのだ。

「いい場所だろ。この店に通い詰めるために、私は自分の家を買ったんだ」

 お金があるっていいな。こういう自由が買えるんだから。

「ほしい不動産があるなら、相談に乗ろう」

「不動産なんて、ボクには扱えないですよ」

「でも、勉強はしているだろ?」

「していますけど、まったく頭に入りません。投資信託でボチボチ稼ぐほうが、性に合っています」

 入居者の管理や固定資産税など、考えることが多すぎる。

「不動産と株のどちらが合っているかは、人によるそうだ。不動産をメインに稼いでいる人は、投資を怖がっている」

「そうなんですね」

 どのジャンルにも、向き不向きってあるんだな。

「私はバランスよく、資産を分散したかったから、不動産にも手を出した。今では、リスキーな買い物だと思い知らされたよ」

「穂村先輩なら、ボクがいなくても解決できていましたよ」

「そうかな……私だったら、もっと司法などを使った強引なやり方を選んでいただろうね。それこそ、警察沙汰に」

 ボクも、その考えはあった。ピギャーさんこと斎藤さいとうさんが、話のわかる人に思えなかったから。あの厭世的な言動は、わざと追い出されたがっているようにも見えたんだ。
 
「あの人が立ち直ったのは、見捨てなかったからですよ。穂村先輩が」

「私こそ、なにもしなかったよ」

「悩んであげていたじゃないですか。騒音トラブルの依頼者も、斎藤さんのことも」
 
 そんな暗いオーラは今、斎藤さんからは消えている。
 受け入れてくれる人がいるんだと、わかってくれたからだろう。

「相手のために悩んてくれる人なんて、めったにいませんよ。ボクはただ、アドバイスしただけです。それって、人によってはただウザいだけなんで」

 斎藤さんのような人には、寄り添ってくれるだけの人でいいんだ。

「キミは本当に、私を立ててくれるよなあ」

「そうでもありませんよ」

「ジャンジャン食べなさい。ライスが来ていないじゃないか。キミも食べるよな?」

「もちろんです。モリモリに、行かせていただきま……ん」

 ボクの携帯が鳴った。

 元同僚の、健斗けんとからだ。

『すまん、家に泊めてくれ。カノジョに追い出されちまって』
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