14 / 29
第二章 管理人の仕事も手伝う
第15話 お祝い
しおりを挟む
すべてが解決して、依頼主も大喜びだった。
そのためか、ボクはまた焼き肉をおごってもらうことに。
「すいません、穂村先輩。この間も出してもらっているのに」
「いいんだ、沖くん。今日はいい日だ。キミのおかげで、問題が解消できたんだから」
「そういってもらえると、ありがたいです」
ボクは一際大きなタンを、ご馳走してもらう。
「ハラミも焼けているから、ジャンジャン行ってくれ」
「ありがとうございます」
ここで遠慮すると、かえって悪い。
穂村先輩に進められるまま、モリモリガツガツと食らう。
ここは住宅街の隅に、ポツンと建っている、穂村先輩とボクが住むアパートから、すぐ来られるのだ。
「いい場所だろ。この店に通い詰めるために、私は自分の家を買ったんだ」
お金があるっていいな。こういう自由が買えるんだから。
「ほしい不動産があるなら、相談に乗ろう」
「不動産なんて、ボクには扱えないですよ」
「でも、勉強はしているだろ?」
「していますけど、まったく頭に入りません。投資信託でボチボチ稼ぐほうが、性に合っています」
入居者の管理や固定資産税など、考えることが多すぎる。
「不動産と株のどちらが合っているかは、人によるそうだ。不動産をメインに稼いでいる人は、投資を怖がっている」
「そうなんですね」
どのジャンルにも、向き不向きってあるんだな。
「私はバランスよく、資産を分散したかったから、不動産にも手を出した。今では、リスキーな買い物だと思い知らされたよ」
「穂村先輩なら、ボクがいなくても解決できていましたよ」
「そうかな……私だったら、もっと司法などを使った強引なやり方を選んでいただろうね。それこそ、警察沙汰に」
ボクも、その考えはあった。ピギャーさんこと斎藤さんが、話のわかる人に思えなかったから。あの厭世的な言動は、わざと追い出されたがっているようにも見えたんだ。
「あの人が立ち直ったのは、見捨てなかったからですよ。穂村先輩が」
「私こそ、なにもしなかったよ」
「悩んであげていたじゃないですか。騒音トラブルの依頼者も、斎藤さんのことも」
そんな暗いオーラは今、斎藤さんからは消えている。
受け入れてくれる人がいるんだと、わかってくれたからだろう。
「相手のために悩んてくれる人なんて、めったにいませんよ。ボクはただ、アドバイスしただけです。それって、人によってはただウザいだけなんで」
斎藤さんのような人には、寄り添ってくれるだけの人でいいんだ。
「キミは本当に、私を立ててくれるよなあ」
「そうでもありませんよ」
「ジャンジャン食べなさい。ライスが来ていないじゃないか。キミも食べるよな?」
「もちろんです。モリモリに、行かせていただきま……ん」
ボクの携帯が鳴った。
元同僚の、健斗からだ。
『すまん、家に泊めてくれ。カノジョに追い出されちまって』
そのためか、ボクはまた焼き肉をおごってもらうことに。
「すいません、穂村先輩。この間も出してもらっているのに」
「いいんだ、沖くん。今日はいい日だ。キミのおかげで、問題が解消できたんだから」
「そういってもらえると、ありがたいです」
ボクは一際大きなタンを、ご馳走してもらう。
「ハラミも焼けているから、ジャンジャン行ってくれ」
「ありがとうございます」
ここで遠慮すると、かえって悪い。
穂村先輩に進められるまま、モリモリガツガツと食らう。
ここは住宅街の隅に、ポツンと建っている、穂村先輩とボクが住むアパートから、すぐ来られるのだ。
「いい場所だろ。この店に通い詰めるために、私は自分の家を買ったんだ」
お金があるっていいな。こういう自由が買えるんだから。
「ほしい不動産があるなら、相談に乗ろう」
「不動産なんて、ボクには扱えないですよ」
「でも、勉強はしているだろ?」
「していますけど、まったく頭に入りません。投資信託でボチボチ稼ぐほうが、性に合っています」
入居者の管理や固定資産税など、考えることが多すぎる。
「不動産と株のどちらが合っているかは、人によるそうだ。不動産をメインに稼いでいる人は、投資を怖がっている」
「そうなんですね」
どのジャンルにも、向き不向きってあるんだな。
「私はバランスよく、資産を分散したかったから、不動産にも手を出した。今では、リスキーな買い物だと思い知らされたよ」
「穂村先輩なら、ボクがいなくても解決できていましたよ」
「そうかな……私だったら、もっと司法などを使った強引なやり方を選んでいただろうね。それこそ、警察沙汰に」
ボクも、その考えはあった。ピギャーさんこと斎藤さんが、話のわかる人に思えなかったから。あの厭世的な言動は、わざと追い出されたがっているようにも見えたんだ。
「あの人が立ち直ったのは、見捨てなかったからですよ。穂村先輩が」
「私こそ、なにもしなかったよ」
「悩んであげていたじゃないですか。騒音トラブルの依頼者も、斎藤さんのことも」
そんな暗いオーラは今、斎藤さんからは消えている。
受け入れてくれる人がいるんだと、わかってくれたからだろう。
「相手のために悩んてくれる人なんて、めったにいませんよ。ボクはただ、アドバイスしただけです。それって、人によってはただウザいだけなんで」
斎藤さんのような人には、寄り添ってくれるだけの人でいいんだ。
「キミは本当に、私を立ててくれるよなあ」
「そうでもありませんよ」
「ジャンジャン食べなさい。ライスが来ていないじゃないか。キミも食べるよな?」
「もちろんです。モリモリに、行かせていただきま……ん」
ボクの携帯が鳴った。
元同僚の、健斗からだ。
『すまん、家に泊めてくれ。カノジョに追い出されちまって』
1
あなたにおすすめの小説
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
エリート医務官は女騎士を徹底的に甘やかしたい
鳥花風星
恋愛
女騎士であるニーナには、ガイアという専属魔術医務官がいる。エリートであり甘いルックスで令嬢たちからモテモテのガイアだが、なぜか浮いた話はなく、結婚もしていない。ニーナも結婚に興味がなく、ガイアは一緒いにいて気楽な存在だった。
とある日、ニーナはガイアから女避けのために契約結婚を持ちかけられる。ちょっと口うるさいただの専属魔術医務官だと思っていたのに、契約結婚を受け入れた途端にガイアの態度は日に日に甘くなっていく。
身を引いたのに、皇帝からの溺愛が止まりません ~秘された珠の還る場所~
ささゆき細雪
恋愛
五年前、内乱の混乱のなかで姿を消した最愛の妃・白瑤華(はくようか)。
彼女を失った皇帝・景玄耀(けいげんよう)は、その後ただ一人を想い続けながら執務に追われていた。そんなある日、書類に彼女の名前を発見し、居ても立っても居られなくなる。
――死んだはずの彼女が、生きている?
同姓同名かもしれないが確かめずにいられなくなった彼は地方巡察を決行。そこで、彼によく似た幼子とともに彼女と再会、地方官吏として働く瑤華と、珠児(しゅじ)を見て、皇帝は決意する――もう二度と、逃がさないと。
「今さら、逃げ道があると思うなよ」
瑤華を玄耀は責めずに、待ちの姿勢で包み込み、囲い込んでいく。
秘された皇子と、選び直した愛。
三人で食卓を囲む幸福が、国をも動かすことになるなんて――?
* * *
後宮から逃げ出して身を引いたのに、皇帝の溺愛は止まらない――これはそんな、中華風異世界ロマンス。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました
cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。
そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。
双子の妹、澪に縁談を押し付ける。
両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。
「はじめまして」
そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。
なんてカッコイイ人なの……。
戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。
「澪、キミを探していたんだ」
「キミ以外はいらない」
余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした
ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。
しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義!
そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。
「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」
【完結】悪役令嬢の身代わりで処刑されかけた侍女、悪人面強面騎士にさらわれる。
雨宮羽那
恋愛
侍女リーリエは、処刑される予定の主・エリーゼと容姿がそっくりだったせいで、身代わりとして処刑台へ立たされていた。
(私はエリーゼ様じゃないわ!)と心の中で叫んだ瞬間、前世の記憶がよみがえり、ここが読みかけだった悪役令嬢ものの小説の世界だと気づく。
しかも小説ではエリーゼが処刑されるはずなのに、リーリエが処刑されかけているという最悪の展開。
絶体絶命の瞬間、リーリエの前に現れたのは強面で悪人面の騎士ガウェイン。
彼はなぜかリーリエを抱えあげ連れ去ってしまい――?
◇◇◇◇
※全5話
※AI不使用です。
※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる