月25万の不労所得を得てセミリタイアした元女上司を宗教勧誘から助けたら、「話し相手」として雇ってくれた

椎名 富比路

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第三章 究極の合理主義は、女子力をゼロにする!?

第27話 ファミレスで喜べる、不労所得二五万アラサー

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 今日は、穂村ほむら先輩とファミレスにいる。
 年中入れる温水プール用の、水着を買いに来たのだ。

「いつでも泳げるというのは、いいものだな」

「ですけど、毎回泳ぐつもりですか?」

「私は、ジムに通っていないからな。独力でのトレーニングでは、限界がある。しかし、ジムに行く気までは起きないんだよな」

「わかります」

 トレーナーと話しながら鍛えたほうが、身になるのは承知している。
 しかし、特に際立った目標があるわけじゃない。せいぜい、健康な体を維持する程度だ。
 病気が気になる年令になったときでもいいかなと、内心では思っている。

「その点、レジャー用のプールなら、衛生さえ気をつければ気兼ねなく通える」

「そうですね。ボクたちみたいなエンジョイ勢は、遊びながら鍛えるのがちょうどいいのかも知れません」

 先輩はさっそく、水着を数着買っていた。いつの間に、カゴへ入れたんだろう?

 帰りは、ファミレスだ。

 穂村先輩は、たまにファミレスや食べ放題を利用するという。今回は抑えて、ドリンクバーのみにとどめていた。

「うまい。ハンバーグは裏切らないな!」
 
 ライス付きのハンバーグセットを、先輩はうれしそうに頬張る。

「ハンバーグ専門レストランより安いのに、このポテンシャルだ。経営努力が、舌にまで伝わってくるぞ」

「パスタもおいしいです。欲を言えば、ランチ専門のナポリタンも食べてみたかったですけど」
 
 ボクはミートスパと、骨付きチキンにした。

「ああ、おきくん。しょせん私は、ファミレスで喜ぶ系の女子なのだ」

「幸せの沸点が低くていいじゃないですか」

「かもしれんな。『こちらがお金持ちだとわかった途端、交際相手から回らない寿司を要求された』という動画勢もいたくらいだし」

「お金のかかる人と付き合うのは、大変ですからね」

「当たり前のように飯が食える、これほど素晴らしいことは……ン!?」

 突然、穂村先輩が口を抑える。

「どうしたんですか、先輩」

 穂村先輩は答えず、ただナプキンを取り出して口に押し付けた。

 半べそじゃないか。

「ホントに、大丈夫ですか? 先輩」

「まいったな。銀歯が取れてしまった」

 先輩は、口に抑えていたナプキンを離して、ようやく言葉を話す。

「また付け直しですか?」

「いや。銀歯が取れたら、いつか抜かねばならんと、言われていてな」
 
 抜歯ということは。

「つまり、あれですよね?」

「ああ。インプラントを受ける必要がある」
 
 高額の医療費。

 ボクたちセミリタイア勢は、この問題から避けて通れない。
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