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第一章 たいしぼう! (二ヶ月以内に、体重をしっかり落とさないと世界滅亡!)
がんばらない
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「もうお夕飯前ですね。今日の献立を見せて下さい」
ミチルに頼んで、夕飯の献立を見せてもらう。
ライカの故郷、ヤマンドのメニューが目立つ。
世界的に見てもヘルシーで、ダイエット効果が期待されているのだ。
「栄養のバランスも考えつつ、献立を考えてきたつもりなんだけど」
トマトのスープ、海藻の入った春雨サラダ、ジャガイモのコロッケだ。
「海藻は、ダイエットには最適です。ただ」
皿に山と盛られたご飯に、ライカは目を移す。
「ライスは、いつもこんな感じですか?」
「そうなの。よく食べるの」
ライカは白米を少し、釜へ戻した。
ああ、と口をポカンと開けて、セリスは減らされる飯を見つける。米は、四分の一ほどになっていた。
「夜はご飯を控えましょうか。おかずを多めに取る食事を心がけて下さい」
「そうですか」
セリスがガッカリしたような顔になる。
「夜に食べるご飯はおいしいですよね。ですが、今はじっと辛抱しましょう。代用品を考えておきますから」
非常に心苦しいが、ダイエットだと考えると、少しでもリスクは減らしておきたい。
これらを薄味にしてもらって、食事を取ってもらう。
「では、いただきましょう」
ライカも同席して、食事にありつく。
ミチルの作った食事の味は申し分ない。やはり家庭を持つ女性の作った料理だ。
ただ、セリスには少し物足りないのかもれない。
おかずと共に少しずつ、数少ない白米を噛みしめている。
おかずでは、コロッケが気に入っているようだ。
「それにしても、ヤマンドで食べられるメニューが多いですね。どれも、懐かしい味です」
「キャスレイエットは西洋風の料理がメインなんだけど、セリス嬢はヤマンドの郷土料理が気に入っているみたいなの」
それは好都合である。
海藻や魚メインのヤマンド料理は、ダイエットと相性がいい。
「減量のペースですが、基本的に月三キロ減を目安にします」
ライカの発言に、セリスたちは驚いたような顔になった。
やはり、もっと減らしてくれるものだと思っていたらしい。
「ギリギリじゃないの。それじゃ最悪、間に合わないわ」
「ご心配なく。その点は抜かりありません。これでも、控えめに表現しているつもりです」
急激なダイエットは、身体を壊す。
せっかくやせたのに身体が動かなくなった、なんて珍しくない。
「また、ダイエットには常に、リバウンドの危険が伴います」
急激に痩せる分だけ、反動の危険がつきまとう。
急に脂肪を落とせば、同時に筋肉も落ちる。
筋肉が落ちると、代謝能力が減少するのだ。
「一気にやせると、身体がエネルギーを求めて食事の欲求が膨れ上がってしまうんです」
ガッツリ食べてしまうと、一気に消化吸収してしまい脂肪に早変わりする。
再び減量しようにも、落ちにくくなってしまうのだ。
「本来ならば、月に一キロから二キロの減量が理想です。これでも限界ダイエット量を軽く一キロオーバーしているんですよ。そのことを頭に入れて、ダイエットを心がけて下さい」
「何だか大変そうね」
セリス母の言葉を物語るかのように、全員が不安な顔になる。
「お母さんがついてるわ。一緒にがんばりましょう」
「そうだね。世界の命運は、お前にかかっているんだ」
両親の言葉を受けて、セリスの表情が、この世の終わりが来たかのように暗くなった。
「あの、あまりセリスさんを追い詰めないでください」
「は、はあ」
なにか悪いことを言ったか、と思っているのだろう。両親は、キョトンとした。
「ダイエットは長期戦です。追い込むことは大事ですが、思いつめすぎると食に逃げてしまいます」
人間は脆い。逃げ場所を常に探す。「もしうまくいかなければ」というストレスに晒されすぎると、失敗したときのダメージが大きくなる。
「セリスさんの問題点は、自己肯定感の低さです。そこさえ解消すれば、自分を信じられます」
「でも、わたしにできるでしょうか」
少量のご飯を、セリスはチビチビと咀嚼した。
「ミチルさん、デザートにアイスクリームは作れますか?」
ライカはミチルを呼んだ。
「一口分くらいなら、作れるけど」
「今から出してあげて下さい」
「ええ、いいのね?」
ミチルはキッチンへ引っ込み、すぐに戻ってきた。
透明な容器にちょこんと乗ったアイスクリームを、セリスの前に置く。
曇っていたセリスの表情が、一瞬で明るくなる。
「この程度ならいいでしょう。召し上がって下さい」
ライカがOKを出すと、セリスは匙を乳白色のスプーンを通す。
口の中に放り込むと、顔を赤らめた。実に幸せそうである。
やはり、セリスは食べることが大好きなようだ。
「アイスクリームの原料は牛乳です。これくらいの量なら食べても平気です。他にも食べられる食材は沢山ありますが、今日はこのくらいで」
減量は、神経質にならないことが大事である。
夕食を終え、睡眠に入る前に、屋敷でも一番広い客間へ。
一面に絨毯が敷いてあり、入り口に上がり框がある。
ライカたち東洋人のような、「床で寝る習慣がある人」のため作られた部屋だ。
フリルの飾られたシャツと、ヒザまでの短いゆったりしたズボンに、セリスは着替えていた。
いわゆるベビードールである。
「今日は、お疲れ様でした。今日の疲れを取るために、整理体操をしましょう。まずは座ります。座り方はこうです」
「これは、雷漸拳と関係が?」
「大いにあります。ストレッチは雷漸拳において基礎であり、到達点でもあります。ストレッチに始まりストレッチに終わる。これは立派な雷漸拳の教えです」
ライカは横座りになる。いわゆる「女の子座り」だ。
セリスも、ライカをマネて足を組む。
「息を吸って、気持ちを落ち着かせます。雷漸拳の基本は呼吸です。はい、吐いて。もう一度吸って。吸いながらボクと同じ行動を取って下さい」
続いて、左脚を立てて右肘を内側に引っかけた。
「息を吐きながら、身体を後ろへ捻りましょう。ゆっくりでいいですよ。焦らないで、息を吐きながら身体を捻る。それで後ろを向きます。これを三〇秒」
組む足と引っかける腕を反対にして、逆方向へ捻る。
「続いて、コブラのポーズを取ります。俯せに寝ましょう」
ライカは両手を床につけて、仰向けになった。
息を吐きながら、上半身だけを上に持ち上げる。
これも三〇秒キープだ。
「背中の後ろで両手を組んで伸ばす、鶴のポーズです。この状態をキープして、深呼吸を五回行って下さい」
肩甲骨を寄せ、上体を前に倒して組んだ両腕を上に伸ばす。
これは、肩こりに効くストレッチである。
次も肩こりに効くストレッチ、『猫のねじりのポーズ』だ。
四つん這いになり、片を床につけるように上体をひねる。
「右手を左腕と足の間に滑らせて、肩を床につけます。左手も床から離して、天井へ向けて伸ばします。深呼吸を五回。今度は反対にひねって、同じポーズを取って、深呼吸を五回します」
次は仰向けに寝転がり、腰に手を当てて足を尻ごと持ち上げた。
その状態になって、肘で体重を支える。これを三〇秒。これを肩立ちのポーズと呼ぶ。
「また戻して。今度は、赤ちゃんのポーズへ移行します。両膝を腕で囲みましょう。そのまま息を吐いて、内側へ身体を丸めます」
最後に、胡座をかいて首を回して終わる。
「お疲れ様でした。最後に仰向けになりながらでいいので、深呼吸しましょう」
指示を出すまでもなく、セリスゆっくりと呼吸をしながら、眠りについていた。
よほど疲れていたと見える。
両親を呼んで、セリスを自室のベッドに移した。
そのまま寝かせることに。
ライカが部屋を出ようとしたとき、セリスの細い指がライカの袖を掴む。
「うーん。わたし、がんばりますぅ」
セリスの寝言に、ライカは微笑みで返す。
「がんばらなくても、いいんですよ」
ライカは、セリスの手をそっと毛布の中へと戻した。
ミチルに頼んで、夕飯の献立を見せてもらう。
ライカの故郷、ヤマンドのメニューが目立つ。
世界的に見てもヘルシーで、ダイエット効果が期待されているのだ。
「栄養のバランスも考えつつ、献立を考えてきたつもりなんだけど」
トマトのスープ、海藻の入った春雨サラダ、ジャガイモのコロッケだ。
「海藻は、ダイエットには最適です。ただ」
皿に山と盛られたご飯に、ライカは目を移す。
「ライスは、いつもこんな感じですか?」
「そうなの。よく食べるの」
ライカは白米を少し、釜へ戻した。
ああ、と口をポカンと開けて、セリスは減らされる飯を見つける。米は、四分の一ほどになっていた。
「夜はご飯を控えましょうか。おかずを多めに取る食事を心がけて下さい」
「そうですか」
セリスがガッカリしたような顔になる。
「夜に食べるご飯はおいしいですよね。ですが、今はじっと辛抱しましょう。代用品を考えておきますから」
非常に心苦しいが、ダイエットだと考えると、少しでもリスクは減らしておきたい。
これらを薄味にしてもらって、食事を取ってもらう。
「では、いただきましょう」
ライカも同席して、食事にありつく。
ミチルの作った食事の味は申し分ない。やはり家庭を持つ女性の作った料理だ。
ただ、セリスには少し物足りないのかもれない。
おかずと共に少しずつ、数少ない白米を噛みしめている。
おかずでは、コロッケが気に入っているようだ。
「それにしても、ヤマンドで食べられるメニューが多いですね。どれも、懐かしい味です」
「キャスレイエットは西洋風の料理がメインなんだけど、セリス嬢はヤマンドの郷土料理が気に入っているみたいなの」
それは好都合である。
海藻や魚メインのヤマンド料理は、ダイエットと相性がいい。
「減量のペースですが、基本的に月三キロ減を目安にします」
ライカの発言に、セリスたちは驚いたような顔になった。
やはり、もっと減らしてくれるものだと思っていたらしい。
「ギリギリじゃないの。それじゃ最悪、間に合わないわ」
「ご心配なく。その点は抜かりありません。これでも、控えめに表現しているつもりです」
急激なダイエットは、身体を壊す。
せっかくやせたのに身体が動かなくなった、なんて珍しくない。
「また、ダイエットには常に、リバウンドの危険が伴います」
急激に痩せる分だけ、反動の危険がつきまとう。
急に脂肪を落とせば、同時に筋肉も落ちる。
筋肉が落ちると、代謝能力が減少するのだ。
「一気にやせると、身体がエネルギーを求めて食事の欲求が膨れ上がってしまうんです」
ガッツリ食べてしまうと、一気に消化吸収してしまい脂肪に早変わりする。
再び減量しようにも、落ちにくくなってしまうのだ。
「本来ならば、月に一キロから二キロの減量が理想です。これでも限界ダイエット量を軽く一キロオーバーしているんですよ。そのことを頭に入れて、ダイエットを心がけて下さい」
「何だか大変そうね」
セリス母の言葉を物語るかのように、全員が不安な顔になる。
「お母さんがついてるわ。一緒にがんばりましょう」
「そうだね。世界の命運は、お前にかかっているんだ」
両親の言葉を受けて、セリスの表情が、この世の終わりが来たかのように暗くなった。
「あの、あまりセリスさんを追い詰めないでください」
「は、はあ」
なにか悪いことを言ったか、と思っているのだろう。両親は、キョトンとした。
「ダイエットは長期戦です。追い込むことは大事ですが、思いつめすぎると食に逃げてしまいます」
人間は脆い。逃げ場所を常に探す。「もしうまくいかなければ」というストレスに晒されすぎると、失敗したときのダメージが大きくなる。
「セリスさんの問題点は、自己肯定感の低さです。そこさえ解消すれば、自分を信じられます」
「でも、わたしにできるでしょうか」
少量のご飯を、セリスはチビチビと咀嚼した。
「ミチルさん、デザートにアイスクリームは作れますか?」
ライカはミチルを呼んだ。
「一口分くらいなら、作れるけど」
「今から出してあげて下さい」
「ええ、いいのね?」
ミチルはキッチンへ引っ込み、すぐに戻ってきた。
透明な容器にちょこんと乗ったアイスクリームを、セリスの前に置く。
曇っていたセリスの表情が、一瞬で明るくなる。
「この程度ならいいでしょう。召し上がって下さい」
ライカがOKを出すと、セリスは匙を乳白色のスプーンを通す。
口の中に放り込むと、顔を赤らめた。実に幸せそうである。
やはり、セリスは食べることが大好きなようだ。
「アイスクリームの原料は牛乳です。これくらいの量なら食べても平気です。他にも食べられる食材は沢山ありますが、今日はこのくらいで」
減量は、神経質にならないことが大事である。
夕食を終え、睡眠に入る前に、屋敷でも一番広い客間へ。
一面に絨毯が敷いてあり、入り口に上がり框がある。
ライカたち東洋人のような、「床で寝る習慣がある人」のため作られた部屋だ。
フリルの飾られたシャツと、ヒザまでの短いゆったりしたズボンに、セリスは着替えていた。
いわゆるベビードールである。
「今日は、お疲れ様でした。今日の疲れを取るために、整理体操をしましょう。まずは座ります。座り方はこうです」
「これは、雷漸拳と関係が?」
「大いにあります。ストレッチは雷漸拳において基礎であり、到達点でもあります。ストレッチに始まりストレッチに終わる。これは立派な雷漸拳の教えです」
ライカは横座りになる。いわゆる「女の子座り」だ。
セリスも、ライカをマネて足を組む。
「息を吸って、気持ちを落ち着かせます。雷漸拳の基本は呼吸です。はい、吐いて。もう一度吸って。吸いながらボクと同じ行動を取って下さい」
続いて、左脚を立てて右肘を内側に引っかけた。
「息を吐きながら、身体を後ろへ捻りましょう。ゆっくりでいいですよ。焦らないで、息を吐きながら身体を捻る。それで後ろを向きます。これを三〇秒」
組む足と引っかける腕を反対にして、逆方向へ捻る。
「続いて、コブラのポーズを取ります。俯せに寝ましょう」
ライカは両手を床につけて、仰向けになった。
息を吐きながら、上半身だけを上に持ち上げる。
これも三〇秒キープだ。
「背中の後ろで両手を組んで伸ばす、鶴のポーズです。この状態をキープして、深呼吸を五回行って下さい」
肩甲骨を寄せ、上体を前に倒して組んだ両腕を上に伸ばす。
これは、肩こりに効くストレッチである。
次も肩こりに効くストレッチ、『猫のねじりのポーズ』だ。
四つん這いになり、片を床につけるように上体をひねる。
「右手を左腕と足の間に滑らせて、肩を床につけます。左手も床から離して、天井へ向けて伸ばします。深呼吸を五回。今度は反対にひねって、同じポーズを取って、深呼吸を五回します」
次は仰向けに寝転がり、腰に手を当てて足を尻ごと持ち上げた。
その状態になって、肘で体重を支える。これを三〇秒。これを肩立ちのポーズと呼ぶ。
「また戻して。今度は、赤ちゃんのポーズへ移行します。両膝を腕で囲みましょう。そのまま息を吐いて、内側へ身体を丸めます」
最後に、胡座をかいて首を回して終わる。
「お疲れ様でした。最後に仰向けになりながらでいいので、深呼吸しましょう」
指示を出すまでもなく、セリスゆっくりと呼吸をしながら、眠りについていた。
よほど疲れていたと見える。
両親を呼んで、セリスを自室のベッドに移した。
そのまま寝かせることに。
ライカが部屋を出ようとしたとき、セリスの細い指がライカの袖を掴む。
「うーん。わたし、がんばりますぅ」
セリスの寝言に、ライカは微笑みで返す。
「がんばらなくても、いいんですよ」
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