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第一章 たいしぼう! (二ヶ月以内に、体重をしっかり落とさないと世界滅亡!)
オッパイの付いたイケメンと(セリス視点
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着替えを終えたセリスは、裾を下に引っ張りながらモジモジする。
「あの、ミチルお義姉さん?」
「どうしたの、セリス嬢。何か、問題があった?」
この衣装は、ミチルが用意してくれた物だ。
「えっと、この服、本当に大丈夫なんでしょうか」
セリスが着させられている服は、東洋でいうところの体操着だ。
上半身は白色の半袖である。
非常に着心地はいいのだが、問題は下腹部だ。
「これ、すっごい、恥ずかしいんですけど」
ズボンは、赤い布地一枚で太股が全開である。
「東洋の伝統的な体操着よ。決して他意はないわ」
そう、ミチルは言い張った。
「なら、いいんですけど」
「じゃあ、行ってらっしゃい。私は、キッチンに行くから、何かあったら呼んでちょうだい」
言い残して、ミチルは台所へ向かう。
仕方なく、セリスは玄関を開けた。
庭の中央に、ライカが立っている。
ザクザクに切られたショートヘアで、顔立ちは整っていた。
女性にしては筋肉質な腕が、ノースリーブの腕から伸びる。
引き締まったボディ、特に腹は見事なシックスパックだ。
「足元が見えませんね」
腰布で覆われて、脚は見えない。
足首から先を見ると、きっと脚部も鍛え抜かれているのだろう。
「ああ、セリスさん。着替え終わりましぶうっ!」
セリスの衣装を見て、ライカが吹き出した。
「あの、何でしょうか、その服は?」
赤面したライカが、ギョッとなった表情で尋ねてくる。
セリスが着ているのは、短いシャツと、赤いホットパンツだ。
やはり、おかしかったであろうか。
「ヤマンドに通じる、『ぶるまあ』というらしいのですが、似合いませんか?」
確か、『ぶるまあ』はライカの故郷、ヤマンドが発祥だと聞く。
「これ、きっと役に立つからと、ミチルさんが取り寄せてくれたんです」
「言われてみれば、ミチルさんを痩せさせたときも、服装は『ぶるまあ』でしたが、どうしてキャスレイエットなんかに持ち込んだのやら」
困り果てたような顔を、ライカが浮かべた。
「えっと、似合いませんか?」
やはり、太っている自分では、こんな肌の露出した服装を着る資格なんて。
「とんでもない。非常に似合っていますよ。あなたの魅力を引き出すのに、その衣装は役立っています。機能性もあって、運動にはふさわしい」
「そんなお世辞」
セリスがため息をつくと、ライカは腰布の裾を掴んだ。
「実は……」
ライカは腰布をまくりあげた。
ゆっくりと、橙色の布が持ち上がる。
「ひゃっ」
恥ずかしくなって、セリスは手で顔を覆った。指の隙間から、様子をうかがう。
「あれ⁉」
なんと、ライカのアンダーも「ぶるまあ」だった。
「動きやすいですからね。ボクも愛用しているのです」
「えへへ。お揃いですね」
赤いホットパンツ同士、親近感が湧く。
「似合いすぎて、目を向けづらいのです。ご理解下さい」
そう言われて、セリスはホッとした。
バカにしてるのかと言われたらどうしよう、とばかり思っていたから。
「はい。では、これから何をすればいいでしょう? ジョギングですか?」
言いながら、セリスは腕をふる。
「いいえ。運動不足の人や太った人がいきなり走ると、足を痛めてしまいます。内臓に負担もかかります」
レクチャー後、ライカは肘を直角に曲げて、背筋を伸ばす。
「歩きましょう。ただし、お腹を引っ込めながら」
ライカは、まず自分がやってみせた。背中まで付きそうなくらい、腹を引っ込ませる。
シックスパックがより強調され、セリスは赤面した。
「うわ、すごい」
限界までヘコんだ腹を見て、セリスが戦慄する。
「ここまでやれとは言いません。自分で意識して、お腹をヘコませて下さい。息を吸って……」
息を吸いながら、腹をへこませる。
慣れていないせいで、あまり変化はない。
「グッとヘコませて。そうです」
ライカのアドバイスで、何とかヘコませることができた。
けれど、すぐに元どおりの状態に戻ってしまう。
「ムリですぅ」
「うまくいかなくても、いいんです。お腹をヘコませるだけで、内臓を支える筋肉が鍛えられます。それをイメージして」
再び息を吸い。セリスは腹をへこませた。
今度はうまくいっている。
「息を吐きながら、一歩ずつ、正確に歩きましょう。お腹はそのまま持続させて」
セリスが一歩踏み出す。
しかし、またもお腹が元に。
腹に意識が集中すると、足がもつれ、脚に気持ちが行くと腹が出てしまう。
「うまくできません」
「最初はそういうものです。落ち着いて」
ライカが横で、腹に手を当ててくれる。
「ふえ!?」
セリスはドキッとなって、また腹が元通りになってしまった。
ライカは女性なのだが、男前の部類に入る。
いわゆる、「オッパイのついたイケメン」だ。
「ボクが手を添えておきます。ゆっくりでいいですから、歩いて」
「はい」
一歩ずつ、セリスは着実に大地を踏みしめる。
「あの、どれくらい歩けばいいんでしょう。あの山まででしょうか?」
「お屋敷一周くらいでしょうか」
「たったそれだけ?」
セリスは、首を傾げた。
いくら貴族の屋敷といえど、学校のグラウンドの半分程度しかない。
余りにもユルすぎるメニューではないか。
「やればわかります」
ライカは繰り返し、腹をへっこませるよう促し、一歩ずつ歩くよう指示を出す。
四分の一まで来た。
「フッ、フッ、フフフッ!」
笑っているのではない。呼吸が乱れているのだ。
「落ち着いて。ゆっくりと」
ライカが指示を出す。
なのに、脚が言うことを聞かない。
無意識に早く終わりたくて、焦っているのだ。
一度立ち止まる。深呼吸をして、再度歩く。
今度は一歩ずつ着実に。
一〇分もすると、息が上がってきた。
普段全く運動をしていないから、屋敷を一周するだけでこんなにも辛いのか。
「まだ、まだいけます。今日はセリスさんの限界を測るトレーニングです。極限までやってみましょう」
隣でライカに励まされて、どうにか気力を振り絞った。
息が続かない。
いつも歩き慣れているはずなのに、玄関までが遠く感じる。
脚が進まず、立ち止まってしまう。
一周するまで、まだ、半分もある。
「フッ、ヒイ、ヒエエ! ゼエ!」
声がうわずった。汗が目に入る。もう脚が動かない。
でも、やらなきゃ。そう思いながら踏ん張る。
「お腹がヒクヒクしてます。大丈夫でしょうか、わたし?」
「それでいいんですよ。今日は辛くても、明日は少しは楽に動けます」
ライカのエールを受けながら、進む。
体操着が、汗を吸って重くなる。
「へあ⁉」
ちょっとした小石なのに、脚を取られてつまずいてしまった。
脚を立て直そうにも、ケイレンして動かない。
「おっと」と、ライカが抱き寄せてくれた。
もし、支えてもらわなかったら、顔面から落ちていただろう。
「ふあ……」と、変な声が出てしまう。
心臓が、跳ね上がった。このまま止まってしまうんじゃないか、と思うくらいに。
「どうされました⁉ 顔が赤いのですが?」
「ふえ⁉ いいえ! なんでも」
驚いて、首をブンブンと横にふる。
至近距離で見ると、ライカはかっこいい。
下にぶるまあを付けていなければ男性と見間違えるほどだ。
胸が平べったいから、余計に。
「はわあ」
セリスの身体が熱くなる。
久々に運動したからではない。
男性のような麗人に抱き寄せられたからでも。
自分でもよく分からない感情が、セリスの胸を刺激する。
「大丈夫ですか? もう休みましょうか?」
「だ、大丈夫です!」
慌ててライカから離れ、行進を続行する。
手と足が一緒に出てしまっているが、気にしない。
心なしか、脚が軽くなった気がする。
玄関に辿り着き、軽く息を整えた。
「ここで二酸化炭素を一気に吐き出すようにして。肺にある空気を全部出すように。そうですそうです。そして一気に吸う。そうです、いいですよ」
セリスは身体に溜まった空気を身体をかがめながら吐き出し、背伸びと同時に吸い上げた。
「はい。一周しましたね。これで今日は終わりましょう。明日から本格的なダイエットを始めます」
まだ息が整っていない。
自分の体力のなさに呆れてしまった。
我ながら先が思いやられる。
「ありがとうございましたぁ。まだ、お腹が笑ってます」
ケイレンするお腹をさすりながら、セリスがへたり込む。
「あの、ミチルお義姉さん?」
「どうしたの、セリス嬢。何か、問題があった?」
この衣装は、ミチルが用意してくれた物だ。
「えっと、この服、本当に大丈夫なんでしょうか」
セリスが着させられている服は、東洋でいうところの体操着だ。
上半身は白色の半袖である。
非常に着心地はいいのだが、問題は下腹部だ。
「これ、すっごい、恥ずかしいんですけど」
ズボンは、赤い布地一枚で太股が全開である。
「東洋の伝統的な体操着よ。決して他意はないわ」
そう、ミチルは言い張った。
「なら、いいんですけど」
「じゃあ、行ってらっしゃい。私は、キッチンに行くから、何かあったら呼んでちょうだい」
言い残して、ミチルは台所へ向かう。
仕方なく、セリスは玄関を開けた。
庭の中央に、ライカが立っている。
ザクザクに切られたショートヘアで、顔立ちは整っていた。
女性にしては筋肉質な腕が、ノースリーブの腕から伸びる。
引き締まったボディ、特に腹は見事なシックスパックだ。
「足元が見えませんね」
腰布で覆われて、脚は見えない。
足首から先を見ると、きっと脚部も鍛え抜かれているのだろう。
「ああ、セリスさん。着替え終わりましぶうっ!」
セリスの衣装を見て、ライカが吹き出した。
「あの、何でしょうか、その服は?」
赤面したライカが、ギョッとなった表情で尋ねてくる。
セリスが着ているのは、短いシャツと、赤いホットパンツだ。
やはり、おかしかったであろうか。
「ヤマンドに通じる、『ぶるまあ』というらしいのですが、似合いませんか?」
確か、『ぶるまあ』はライカの故郷、ヤマンドが発祥だと聞く。
「これ、きっと役に立つからと、ミチルさんが取り寄せてくれたんです」
「言われてみれば、ミチルさんを痩せさせたときも、服装は『ぶるまあ』でしたが、どうしてキャスレイエットなんかに持ち込んだのやら」
困り果てたような顔を、ライカが浮かべた。
「えっと、似合いませんか?」
やはり、太っている自分では、こんな肌の露出した服装を着る資格なんて。
「とんでもない。非常に似合っていますよ。あなたの魅力を引き出すのに、その衣装は役立っています。機能性もあって、運動にはふさわしい」
「そんなお世辞」
セリスがため息をつくと、ライカは腰布の裾を掴んだ。
「実は……」
ライカは腰布をまくりあげた。
ゆっくりと、橙色の布が持ち上がる。
「ひゃっ」
恥ずかしくなって、セリスは手で顔を覆った。指の隙間から、様子をうかがう。
「あれ⁉」
なんと、ライカのアンダーも「ぶるまあ」だった。
「動きやすいですからね。ボクも愛用しているのです」
「えへへ。お揃いですね」
赤いホットパンツ同士、親近感が湧く。
「似合いすぎて、目を向けづらいのです。ご理解下さい」
そう言われて、セリスはホッとした。
バカにしてるのかと言われたらどうしよう、とばかり思っていたから。
「はい。では、これから何をすればいいでしょう? ジョギングですか?」
言いながら、セリスは腕をふる。
「いいえ。運動不足の人や太った人がいきなり走ると、足を痛めてしまいます。内臓に負担もかかります」
レクチャー後、ライカは肘を直角に曲げて、背筋を伸ばす。
「歩きましょう。ただし、お腹を引っ込めながら」
ライカは、まず自分がやってみせた。背中まで付きそうなくらい、腹を引っ込ませる。
シックスパックがより強調され、セリスは赤面した。
「うわ、すごい」
限界までヘコんだ腹を見て、セリスが戦慄する。
「ここまでやれとは言いません。自分で意識して、お腹をヘコませて下さい。息を吸って……」
息を吸いながら、腹をへこませる。
慣れていないせいで、あまり変化はない。
「グッとヘコませて。そうです」
ライカのアドバイスで、何とかヘコませることができた。
けれど、すぐに元どおりの状態に戻ってしまう。
「ムリですぅ」
「うまくいかなくても、いいんです。お腹をヘコませるだけで、内臓を支える筋肉が鍛えられます。それをイメージして」
再び息を吸い。セリスは腹をへこませた。
今度はうまくいっている。
「息を吐きながら、一歩ずつ、正確に歩きましょう。お腹はそのまま持続させて」
セリスが一歩踏み出す。
しかし、またもお腹が元に。
腹に意識が集中すると、足がもつれ、脚に気持ちが行くと腹が出てしまう。
「うまくできません」
「最初はそういうものです。落ち着いて」
ライカが横で、腹に手を当ててくれる。
「ふえ!?」
セリスはドキッとなって、また腹が元通りになってしまった。
ライカは女性なのだが、男前の部類に入る。
いわゆる、「オッパイのついたイケメン」だ。
「ボクが手を添えておきます。ゆっくりでいいですから、歩いて」
「はい」
一歩ずつ、セリスは着実に大地を踏みしめる。
「あの、どれくらい歩けばいいんでしょう。あの山まででしょうか?」
「お屋敷一周くらいでしょうか」
「たったそれだけ?」
セリスは、首を傾げた。
いくら貴族の屋敷といえど、学校のグラウンドの半分程度しかない。
余りにもユルすぎるメニューではないか。
「やればわかります」
ライカは繰り返し、腹をへっこませるよう促し、一歩ずつ歩くよう指示を出す。
四分の一まで来た。
「フッ、フッ、フフフッ!」
笑っているのではない。呼吸が乱れているのだ。
「落ち着いて。ゆっくりと」
ライカが指示を出す。
なのに、脚が言うことを聞かない。
無意識に早く終わりたくて、焦っているのだ。
一度立ち止まる。深呼吸をして、再度歩く。
今度は一歩ずつ着実に。
一〇分もすると、息が上がってきた。
普段全く運動をしていないから、屋敷を一周するだけでこんなにも辛いのか。
「まだ、まだいけます。今日はセリスさんの限界を測るトレーニングです。極限までやってみましょう」
隣でライカに励まされて、どうにか気力を振り絞った。
息が続かない。
いつも歩き慣れているはずなのに、玄関までが遠く感じる。
脚が進まず、立ち止まってしまう。
一周するまで、まだ、半分もある。
「フッ、ヒイ、ヒエエ! ゼエ!」
声がうわずった。汗が目に入る。もう脚が動かない。
でも、やらなきゃ。そう思いながら踏ん張る。
「お腹がヒクヒクしてます。大丈夫でしょうか、わたし?」
「それでいいんですよ。今日は辛くても、明日は少しは楽に動けます」
ライカのエールを受けながら、進む。
体操着が、汗を吸って重くなる。
「へあ⁉」
ちょっとした小石なのに、脚を取られてつまずいてしまった。
脚を立て直そうにも、ケイレンして動かない。
「おっと」と、ライカが抱き寄せてくれた。
もし、支えてもらわなかったら、顔面から落ちていただろう。
「ふあ……」と、変な声が出てしまう。
心臓が、跳ね上がった。このまま止まってしまうんじゃないか、と思うくらいに。
「どうされました⁉ 顔が赤いのですが?」
「ふえ⁉ いいえ! なんでも」
驚いて、首をブンブンと横にふる。
至近距離で見ると、ライカはかっこいい。
下にぶるまあを付けていなければ男性と見間違えるほどだ。
胸が平べったいから、余計に。
「はわあ」
セリスの身体が熱くなる。
久々に運動したからではない。
男性のような麗人に抱き寄せられたからでも。
自分でもよく分からない感情が、セリスの胸を刺激する。
「大丈夫ですか? もう休みましょうか?」
「だ、大丈夫です!」
慌ててライカから離れ、行進を続行する。
手と足が一緒に出てしまっているが、気にしない。
心なしか、脚が軽くなった気がする。
玄関に辿り着き、軽く息を整えた。
「ここで二酸化炭素を一気に吐き出すようにして。肺にある空気を全部出すように。そうですそうです。そして一気に吸う。そうです、いいですよ」
セリスは身体に溜まった空気を身体をかがめながら吐き出し、背伸びと同時に吸い上げた。
「はい。一周しましたね。これで今日は終わりましょう。明日から本格的なダイエットを始めます」
まだ息が整っていない。
自分の体力のなさに呆れてしまった。
我ながら先が思いやられる。
「ありがとうございましたぁ。まだ、お腹が笑ってます」
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追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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