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第三章 ないぞうしぼう!(果てしない減量と未曾有の危機に、聖女は思慕を歌う!)
全身で洗体
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カメリエの魔力を回復させるため、生命の泉へ入ることに。
「すまぬのう。わがままを言うてしもうて」
「カメリエさんは、セリスさんの好き嫌いをなくすお手伝いをして下さいました。そのお礼です」
脱衣所から、衣擦れの音もする。
なるべく意識しないように、ライカも着替えを終えた。
「背中を流すでのう。楽しみにしておれ」
また、あのパターンか。心臓がドキドキする。
どういうわけか、セリスもテトも、ライカの背中を流したがるのだ。
仕方ないので一日一人、二人交互に相手をすることになっている。
相手にするライカもライカだが、それでも断れない。
まして、今度はカメリエまで、ライカの身体を洗うと言い出す。
せっかくの申し出を断るわけにも行かない。先に湯へ浸かることにした。
「待たせたのう」と、カメリエが脱衣所から出てくる。
着用しているのは、食い込みの深いタイプの水着だ。
いわゆる競技用の水着と呼ばれる代物である。
平和な世界になったとはいえ、水泳の競技者人口は少ない。
あまり見られない物なので、ライカも初めて見た。
カメリエのボディは普段ローブに隠れているので分からなかった。
ローブから解放された肉体は、鍛え抜かれたように細く、肉付きも申し分ない。
理想のプロポーションとはカメリエのことではないのか。そう言っても過言ではないほどだ。
「ふわああああ」
湯に入った瞬間、さっきまでの凛々しい表情は影を潜める。スライムになったようだ。
「これは極楽じゃえ。病みつきになるのう」
タオルを頭に乗せて、カメリエはため息をつく。
「プラーナが一気に回復していくぞい」
カメリエは、タオルをふわりと中へ浮かべた。ノーハンドでギュッと絞る。
「器用ですね」
「ここに住みたいのう」
そこまで気に入ってくれたか。
「幸い、ここの地熱はまだ魔王に食われておらぬ。他の土地は、魔王にプラーナを奪われて、作物も育たんと聞くのう」
湯をすくいながら、カメリエはつぶやく。
もし、魔王の力が聖女領まで及ぶと、ここの地熱も奪われてしまう。回復の泉も機能を失うのだ。
「対策が必要ですね」
「うむ」
カメリエの視線の先には、背中を流し合うセリスとテトが。
「では、ライカ殿。お背中を流させてもらうぞ」
湯から出たライカは、のぼせそうになっていた。
カメリエとまともに目を合わせられない。
自分は修行僧だ。煩悩を断ち切らなければならないのに。
カメリエはライカの肩に手を添える。
「心配せんでもよい。プニプニの感触で、極楽へ行かせて進ぜよう」
カメリエに耳元で囁かれた。
「というわけで、お二方。済まぬが、お背中を流す役目、今日は譲ってくれぬか?」
スポンジを持って、カメリエはイスに座る。
「はい」
「どうぞ」
二人はあっさりと引き下がった。
「ささ、二人の許諾はいただいたぞえ。ライカ殿」
カメリエが、空のイスをポンポンと鼓のように叩く。
「では、お願いします」
洗い場のイスに座る。
ライカはできるだけ、カメリエの身体を直視しないように、背を向けた。
瞬間、程良い弾力が身体を包み込んだ。
タオルの肌触りではない。
まるで、地肌で洗浄されているかのような感触が、ライカの全身をまさぐる。
「あはあおう」
あまりの快適さに、変な声が出てしまう。
泡の感触と地肌同士を擦り合う感覚に酔いしれた。
「どうじゃ? モチモチじゃろう?」
まさか、カメリエがこんな大胆な洗い方をするなんて。
「これは」
「実に、うらやましい」
セリスとテトも、ライカの醜態を観察する。
「ああの、カメリエさん!」
これ以上、はしたない姿を見せるわけにはいかない。ライカは口を手で押さえる。
「遠慮せんと、堪能召され」
「むふう」
手で押さえても尚、ツヤのある声が漏れそうになった。
内ももを腕で洗ってもらうと、ライカの目がバチバチとする。
スベスベした肌が身体に密着して、理性が吹き飛びそうだ。
「どうじゃ、心地よいじゃろう。思う存分楽しんでおくれ」
「はいすごく気持ちいいです……って、あれ、カメリエさん?」
カメリエまでも、湯船の中で微笑んでいる。
「えっ! あれ!?」
ライカの思考が混乱した。
なぜ、全身泡まみれになってライカの背中を流しているはずのカメリエが、湯船にいるのか。
「気に入ってもらえて、何よりじゃ」
では、今自分の目の前に立っているのは……。
意を決して、ライカが前を向く。
そこには、緑色でテカテカした物体のドアップが。
スライムが、ライカの身体を洗っていたのである。
「お前かよ!」
ライカは、思わず大声で叫んでしまった。
「いやあ、プラーナが完全回復したか調べるために、スライムゴーレムを再度作ってみたのじゃ。うまくいったようじゃのう」
緑色の物体は、全身を使って懸命に奉仕する。
その健気さが気持ちいいのが、また憎らしい。
何を想像しているのか。
決して裸のカメリエが、自分を奉仕する姿を想像したワケではない。
自分は修行の身だ。邪念や煩悩は取り払わねば。
自身の修行不足を痛感した。
「お二人にも、後でやって進ぜようぞ」
カメリエは、背泳ぎの姿勢で湯に浮いている。
「よろしくお願いします」
「ライカ殿があそこまで腑抜ける妙技。堪能しなくては」
数分後、セリスが洗ってもらうことに。
「では、二体用意してしんぜよう」
カメリエが指を鳴らすと、スライムゴーレムが二体に分裂した。
ゴーレムは両手を上げて、ムキムキと力こぶを作る。
「さてゴーレムよ。こちらのお二方を、極楽へいざなって差し上げい」
ゴーレムは泡立つコケを身体に塗りたくって、セリスとテトにのしかかった。
全身を使って、ズリズリとコケをセリスたちにこすりつける。
「こ、これはぁ」
口を開けっ放しにして、スライム擦りを堪能したらしい。
「変な声が、出ちゃいます」
口を抑えながら、セリスが悶絶する。
「クセになりそうな」
テトも、スライムの絶妙なマッサージに酔いしれた。
されるがままに腰や背中、胸を揉みしだかれる。
温泉から上がる頃には、三人はすっかりスライム洗いに圧倒され、脱力してしまった。
「はあ、またお願いします」
セリスはやみつきになってしまったようだ。
「楽しんでいただけたようじゃのう。では、出ようかの」
入浴が終わり、カメリエはスライムゴーレムの肩に乗っかった。
「では、ワシは街の方へ」
街の方を指差して、カメリエはゴーレムを誘導する。
「ありがとうございました」
「押忍」
セリスとテトが、礼を言う。
「ええわいええわい。それはそうと、ライカ殿」
去り際に、カメリエがライカを呼ぶ。
「それにしてもな、あのご婦人」
カメリエの視線の先には、セリスとテトの姿が映っているらしい。
「ああ、テトさんですよね」
「ライカ殿。テト殿からは、並々ならぬ気配を感じるのじゃ」
そうだろうか。気立てのいいお嬢さんとしか思えないが。
「寒村出身ですから、鍛えられているのでしょう」
「そうではない。あの婦人からは、怪しげなプラーナを感じる。膨大な魔を、内に秘めておる気がするのじゃ」
ブルッと、カメリエが身震いする。
カメリエが警戒するほどの大きなプラーナを、テトは隠していると?
「どうなんでしょうね。気のせいですよ」
テトからは、そんな邪悪な気配など感じない。
「じゃと、ええがのう……」
顎に手を当てながら、カメリエは目を閉じる。
「テトさんが魔王の手先だったら、今頃とっくに我々は全滅していますよ」
「それもそうじゃの。考えすぎじゃったようじゃ。最近妙に神経が過敏でのう」
では、と満足げに、カメリエは自分の家へと帰っていく。
「すまぬのう。わがままを言うてしもうて」
「カメリエさんは、セリスさんの好き嫌いをなくすお手伝いをして下さいました。そのお礼です」
脱衣所から、衣擦れの音もする。
なるべく意識しないように、ライカも着替えを終えた。
「背中を流すでのう。楽しみにしておれ」
また、あのパターンか。心臓がドキドキする。
どういうわけか、セリスもテトも、ライカの背中を流したがるのだ。
仕方ないので一日一人、二人交互に相手をすることになっている。
相手にするライカもライカだが、それでも断れない。
まして、今度はカメリエまで、ライカの身体を洗うと言い出す。
せっかくの申し出を断るわけにも行かない。先に湯へ浸かることにした。
「待たせたのう」と、カメリエが脱衣所から出てくる。
着用しているのは、食い込みの深いタイプの水着だ。
いわゆる競技用の水着と呼ばれる代物である。
平和な世界になったとはいえ、水泳の競技者人口は少ない。
あまり見られない物なので、ライカも初めて見た。
カメリエのボディは普段ローブに隠れているので分からなかった。
ローブから解放された肉体は、鍛え抜かれたように細く、肉付きも申し分ない。
理想のプロポーションとはカメリエのことではないのか。そう言っても過言ではないほどだ。
「ふわああああ」
湯に入った瞬間、さっきまでの凛々しい表情は影を潜める。スライムになったようだ。
「これは極楽じゃえ。病みつきになるのう」
タオルを頭に乗せて、カメリエはため息をつく。
「プラーナが一気に回復していくぞい」
カメリエは、タオルをふわりと中へ浮かべた。ノーハンドでギュッと絞る。
「器用ですね」
「ここに住みたいのう」
そこまで気に入ってくれたか。
「幸い、ここの地熱はまだ魔王に食われておらぬ。他の土地は、魔王にプラーナを奪われて、作物も育たんと聞くのう」
湯をすくいながら、カメリエはつぶやく。
もし、魔王の力が聖女領まで及ぶと、ここの地熱も奪われてしまう。回復の泉も機能を失うのだ。
「対策が必要ですね」
「うむ」
カメリエの視線の先には、背中を流し合うセリスとテトが。
「では、ライカ殿。お背中を流させてもらうぞ」
湯から出たライカは、のぼせそうになっていた。
カメリエとまともに目を合わせられない。
自分は修行僧だ。煩悩を断ち切らなければならないのに。
カメリエはライカの肩に手を添える。
「心配せんでもよい。プニプニの感触で、極楽へ行かせて進ぜよう」
カメリエに耳元で囁かれた。
「というわけで、お二方。済まぬが、お背中を流す役目、今日は譲ってくれぬか?」
スポンジを持って、カメリエはイスに座る。
「はい」
「どうぞ」
二人はあっさりと引き下がった。
「ささ、二人の許諾はいただいたぞえ。ライカ殿」
カメリエが、空のイスをポンポンと鼓のように叩く。
「では、お願いします」
洗い場のイスに座る。
ライカはできるだけ、カメリエの身体を直視しないように、背を向けた。
瞬間、程良い弾力が身体を包み込んだ。
タオルの肌触りではない。
まるで、地肌で洗浄されているかのような感触が、ライカの全身をまさぐる。
「あはあおう」
あまりの快適さに、変な声が出てしまう。
泡の感触と地肌同士を擦り合う感覚に酔いしれた。
「どうじゃ? モチモチじゃろう?」
まさか、カメリエがこんな大胆な洗い方をするなんて。
「これは」
「実に、うらやましい」
セリスとテトも、ライカの醜態を観察する。
「ああの、カメリエさん!」
これ以上、はしたない姿を見せるわけにはいかない。ライカは口を手で押さえる。
「遠慮せんと、堪能召され」
「むふう」
手で押さえても尚、ツヤのある声が漏れそうになった。
内ももを腕で洗ってもらうと、ライカの目がバチバチとする。
スベスベした肌が身体に密着して、理性が吹き飛びそうだ。
「どうじゃ、心地よいじゃろう。思う存分楽しんでおくれ」
「はいすごく気持ちいいです……って、あれ、カメリエさん?」
カメリエまでも、湯船の中で微笑んでいる。
「えっ! あれ!?」
ライカの思考が混乱した。
なぜ、全身泡まみれになってライカの背中を流しているはずのカメリエが、湯船にいるのか。
「気に入ってもらえて、何よりじゃ」
では、今自分の目の前に立っているのは……。
意を決して、ライカが前を向く。
そこには、緑色でテカテカした物体のドアップが。
スライムが、ライカの身体を洗っていたのである。
「お前かよ!」
ライカは、思わず大声で叫んでしまった。
「いやあ、プラーナが完全回復したか調べるために、スライムゴーレムを再度作ってみたのじゃ。うまくいったようじゃのう」
緑色の物体は、全身を使って懸命に奉仕する。
その健気さが気持ちいいのが、また憎らしい。
何を想像しているのか。
決して裸のカメリエが、自分を奉仕する姿を想像したワケではない。
自分は修行の身だ。邪念や煩悩は取り払わねば。
自身の修行不足を痛感した。
「お二人にも、後でやって進ぜようぞ」
カメリエは、背泳ぎの姿勢で湯に浮いている。
「よろしくお願いします」
「ライカ殿があそこまで腑抜ける妙技。堪能しなくては」
数分後、セリスが洗ってもらうことに。
「では、二体用意してしんぜよう」
カメリエが指を鳴らすと、スライムゴーレムが二体に分裂した。
ゴーレムは両手を上げて、ムキムキと力こぶを作る。
「さてゴーレムよ。こちらのお二方を、極楽へいざなって差し上げい」
ゴーレムは泡立つコケを身体に塗りたくって、セリスとテトにのしかかった。
全身を使って、ズリズリとコケをセリスたちにこすりつける。
「こ、これはぁ」
口を開けっ放しにして、スライム擦りを堪能したらしい。
「変な声が、出ちゃいます」
口を抑えながら、セリスが悶絶する。
「クセになりそうな」
テトも、スライムの絶妙なマッサージに酔いしれた。
されるがままに腰や背中、胸を揉みしだかれる。
温泉から上がる頃には、三人はすっかりスライム洗いに圧倒され、脱力してしまった。
「はあ、またお願いします」
セリスはやみつきになってしまったようだ。
「楽しんでいただけたようじゃのう。では、出ようかの」
入浴が終わり、カメリエはスライムゴーレムの肩に乗っかった。
「では、ワシは街の方へ」
街の方を指差して、カメリエはゴーレムを誘導する。
「ありがとうございました」
「押忍」
セリスとテトが、礼を言う。
「ええわいええわい。それはそうと、ライカ殿」
去り際に、カメリエがライカを呼ぶ。
「それにしてもな、あのご婦人」
カメリエの視線の先には、セリスとテトの姿が映っているらしい。
「ああ、テトさんですよね」
「ライカ殿。テト殿からは、並々ならぬ気配を感じるのじゃ」
そうだろうか。気立てのいいお嬢さんとしか思えないが。
「寒村出身ですから、鍛えられているのでしょう」
「そうではない。あの婦人からは、怪しげなプラーナを感じる。膨大な魔を、内に秘めておる気がするのじゃ」
ブルッと、カメリエが身震いする。
カメリエが警戒するほどの大きなプラーナを、テトは隠していると?
「どうなんでしょうね。気のせいですよ」
テトからは、そんな邪悪な気配など感じない。
「じゃと、ええがのう……」
顎に手を当てながら、カメリエは目を閉じる。
「テトさんが魔王の手先だったら、今頃とっくに我々は全滅していますよ」
「それもそうじゃの。考えすぎじゃったようじゃ。最近妙に神経が過敏でのう」
では、と満足げに、カメリエは自分の家へと帰っていく。
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