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17、新しい友達。
しおりを挟むブルックリンは魔法に座学にと、毎日全力で頑張っているがある日こんな事があった。
先生たちの会議の日で、この日は授業がいつもより早く終わり、ブルックリン達は新しいお菓子を手に入れて、ブルックリンの部屋で食べようと話しつつ、教室を後にしていた。
いつもと時間の進むペースが違うからか、ブルックリンは明日の授業に使う教科書を、教室に忘れてしまった事に気が付いた。これでは予習が出来ない。
「――――ねえ2人共、ごめん。先に行っててくれない?忘れ物しちゃった。」と言いながら教室へ戻ると、クラスの女子生徒が一人で机に佇んでいるのが見えた。顔を机に伏せているが肩が震えていて、どうも泣いているみたいだ。
ブルックリンはあまり話した事のない生徒だったが、気になって声を掛けて見た。確か名前は・・・・。
「――――あの、リーナさん?そろそろ下校の時間だよ?」と刺激しないよう、ゆっくりと声を掛けて見た。リーナさんは机に伏せたままで「良いんです。放っておいて下さい。」と顔を上げようとしなかった。
「私、リーナさんの気持ちは全然わからないけど、話を聞く事なら出来るよ。」と言ってリーナの前の机の椅子に座り、話し出すまでずっと傍にいた。
暫くするとリーナさんは「私、本当にエドワード様を以前からお慕いしてました。この学園に入る前からの知り合いで、一緒のクラスになった時は天にも昇る気持ちだった。」と顔を上げてブルックリンに、ぼそぼそと話し始めた。
「エドワード様にとって、ほかの皆さんと私は存在が違うと思ってて、思い切って告白したんです。その結果は私は他の女性達と同じだったみたいです。」とボロボロと涙を流しながらブルックリンに言った。
ブルックリンは初めて間近でリーナを見たが、長いまつげの顔立ちが美しい女性だった。
(リーナさん、泣いているのになんて綺麗な人。何だかあいつにはもったいないわ。)と心の中で毒づいていた。
ブルックリンは「――――ピス・カチャー」と呪文を唱えると、机の上に砂で出来た小さな薔薇の花を出した。
リーナは「――――綺麗。砂でこんな事も出来るのね。」と泣くのをやめて砂で出来た薔薇の花に見入った。
「そうなんだよね。でも空気中の水分で固めているからあんまり持たないんだ。良かったらあげる。元気出しなよ。」と言いながら席を立ち、自分の机から教科書を取り出すと、そのまま寮の自分の部屋へ戻って行った。
次の日にリーナはブルックリンの席まで来て「ブルックリンさん昨日はありがとう。お花嬉しかった。」と言うと、恥ずかしそうに自分の席に戻って行った。
この日を境にブルックリン達平民の生徒と、エドワード達貴族の関係がギスギスした物では無くなった。普通に話をするし、お互い助け合う事も出て来たのだった。
そしてリーナはたまにブルックリン達の部屋へも遊びに行くようになった。
そんな中、ブルックリン達の学校の学年行事で、クラス対抗戦をする事になった。来年の最終学年での対抗戦の前哨戦と言った位置付けらしい。
授業を一回つぶす結構大きな行事で、クラスの団結が問われる。ブルックリン達のクラスはエドワードを中心に話を進めて行った。エドワードはブルックリンに向かって「ブルックリンさん、君、土属性の魔法のトップと聞いてるよ。攻撃陣に入って欲しいんだけど。」と言って来た。でもブルックリンにも考えがあり、
「いえ、私は守備へ入らせて欲しい。攻撃ならリアム王子もお強いです。」と言い切った。
「――――君に何か考えが有る様だね。分かった。では各属性の攻撃魔法が得意な人は攻撃に入って。」と指示を出した。ブルックリンは守備魔法が得意なグループへ入り、グループの皆と作戦を練った。
(うちのクラスの攻撃はは合計7名か。それなら行けるわ。)
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