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19 、対抗戦スタート

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 隣のクラスとの対抗戦の後は、何となくクラスの団結が固くなったような気がする。何となくだが。

 毎日のクラスの中の雰囲気が柔らかくなり、男子も女子も貴族、平民関係なく仲良くしているグループも出て来た。

 でも相変わらずブルックリンはエドワードをライバルとみなし、テストでは決して負けてなる物かと踏ん張っている。

 ここまでお互いに五分五分の戦いを繰り広げていて、テストの結果発表の日は、同級生の中にはランチのデザートを掛けている奴等がいるとも聞いている。

 学年末であるpigeon(ピジョン)のテストも終わって、(pigeonはブルックリンが取った。やったわ。)駆け足で休暇も終わり、とうとう最終学年になった。この学校は基本クラス替えは無い。


 新学期の初めてのテストは2位だった。2位だった。奴に負けて悔しかったので2回言いました。(ブルックリン談)

 ローガン先生との進路相談も、いよいよ大詰めになって来た。先日の進路相談では、初めてブルックリンのお母さんが学校に来て、先生と3人で話をした。

 お母さんはブルックリンが、テスタメンターになりたがっている話を初めて聞いたので、大変びっくりしていた。

 「ブルックリンがなりたいなら頑張りなさい。お父さんもお母さんも応援してるから。」と言い「・・・・ブルックリンも、もうそんな歳になったのね。」とハンカチを取り出し、涙ぐみながら私の成長を喜んでいた。

 テスタメンターになるには、まず魔法師団に入る事を前提としているので、ブルックリンは日々研鑽に明け暮れている。

 ローガン先生に相談して、学校の勉強とは別に他国の言語を習得したり、数々の宗教の教えを学んだりと、やる事は盛りだくさんだ。

 そして何と言ってもガブリエラがブルックリンに言った、自分自身を守ってくれる、強力な魔方陣を習得するべく、放課後特別にアメリア先生に教えて貰っているのだ。

 この前の土属性の魔法の授業の時に、リアム王子から「卒業後はブルックリンさんは何になりたいの?」と聞かれた。

「――――、なれるかどうかわからないんですが・・・・。私はテスタメンターになりたいんです。」と言ったら「そうなんだ。テスタメンターは中々の難関だと言うのは、僕の周りでも話には聞いてるよ。でも騎士団には興味ないの?」と不思議そうに聞いて来た。

「――――私はそちらにはあんまり興味が無くて。でも私たちのクラスの進路希望は、騎士団希望が多いんですよね?」

「ああ、僕は選べなくて卒業後は騎士団の入団が決まっているんだけど、確かエドワードの奴も魔法師団って聞いてるよ。でも魔法師団希望は確か君とエドワードの2人だけじゃないかな?」とブルックリンにとって衝撃的な話を聞いた。

(げっ!!奴もか。奴ぐらい何でも出来るなら、騎士団に行けばいいのに。どうして魔法師団なんだ。騎士団あっちへ行け。)

「はい~、2人共こっちに注目してね。」とここでアメリア先生の注意が入ってしまった。「すいません、先生。」と2人そろって謝りながらその日の授業を受けた。

 そして、とうとう始まった。
そう「対抗戦」だ。まずは学園のホールに集まりルールを説明された。勝敗の決め方だが

・相手が参ったと言うまで。
・相手が戦闘不能になった時

 去年のクラスでの対抗戦のルールとは別に、上記が示された。決められたスペースで戦い、自分の得意な属性魔法だけでなく、使える魔法があればそれも使用しても良いが、国で定められている禁呪は使用禁止と言う事。

 最初は抽選で相手を決めて、その後は負ければ終わりのトーナメント戦になって行き、最後の決勝は準決勝の1週間後に行う事。

 そう言った事が発表された。

 そしてこの対抗戦は、準決勝からギャラリーが入る。騎士団関連の方々や魔法師団の方々。国のギルドの偉いさんも来られるらしい。

 この対抗戦の優勝者の最大の魅力は、何と直接自分で、希望する進路の偉いさんと交渉出来る事である。

 これを聞いた時のブルックリンはとても燃え上がった。必ず優勝する。そして魔法師団の変人と呼ばれている師団長に話を付けるんだ。(――――まあ、変人は余計だよね?)

 ブルックリンはその日に備えて、作戦を練り始めた。
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