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57、魔法騎士団発足

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「おーい、何だよこれ。とんでもないな。」とエドワードがブルックリンの写した映像を見ながら話す。


「うるさいわね!!あんな時に落ち着いて分析なんてできるわけないでしょ??」とブルックリンも負けじといい返す。

あれからガブリエラの魔法陣で帰って来たのだが、アーチャーの机の周りで映像を再生しながら目下全員が沈黙中である。



満を持してアーチャーがボソリと「・・・・まぁ、知ってたとは言えさすがにつえぇな。」と言った。


「しかしこうしていても始まらないわ。アーチャー、騎士団の訓練の強化の件は話してあるんでしょうね?」とガブリエラがアーチャーに話しかける。

「あぁ、まだ公にはしてないが魔法騎士団を編成してもらっている。正式に辞令が発令すれば魔法騎士団は我々の傘下に入る。メンバーはだいたい10名ほどになるだろう。この映像はすでに国王や騎士団長にも送ってある。ガブリエラやエドワードも王宮全体はブルックリンや私の結界が貼ってあるが日常生活は気をつけておいてくれ。」

アーチャーはそう話すと「今日は全員解散!」と言って部屋から出ていった。ブルックリンは寮への帰りにローリーの部屋に寄りお土産の果物を渡しておいた。ローリーは『・・・・ありがとうよ。』と喜んでいたがどうやって食べるのだろう?

自分の目で確認してみたい気もするが今はなんせ疲れている。会話もそこそこに寮へ帰った。






それからしばらくは平穏な日々が続いた。その間にブルックリンは自分の魔法陣を利用して奴らの居場所を探ってみたがさっぱりつかめなかった。


そして先日【魔法騎士団】が発足した。

団長はハンクス騎士団長が兼任し、騎士団から選りすぐりの魔法使いが選ばれたようだ。自分の戦闘スタイルに魔法を組み合わせて戦うようになるので私たち魔法塔の面々は後方支援になりそうだ。でも・・・・


ブルックリンはそれだけでは足りないと感じていた。

ーーーー先日の実戦の時に感じた途方もない魔力。あのとき確かにアーチェント先生をつかんだと思ったのに。



思わず手をぎゅっと握った。

手応えはあった。縄抜けするようにするりと逃げられた。そんな感じだ。これでは戦うなんて到底無理だ。






2~3日後ブルックリンは「アーチャー魔法師団長、少しここにこもっていいですか?」と話した。

「ン?別にいいけど何するんだ?」

「私にちょっと考えがあります。でも時間が欲しいんです。出来れば集中できる部屋を2、3日ほどお借りしたいのですが・・・・」

「なら、僕の部屋の隣が空いてる。そこならどうだ?」

「ええ、それで結構です。では私がいいと言うまで誰も入って来ないでください。」と言ってブルックリンはしばらく篭れるよう荷物をまとめ、アーチャーの執務室の隣の部屋へ入って行った。




アーチャーはその後ろ姿を見ながら、「おい、エドワード。お前今日から魔法騎士団へ出向だ。奴らの魔法を見てやりつつ、ちっとは剣技のひとつでも学んで来い。」

そう話すと今度はガブリエラに向かってしばらくテスタメンターの仕事を変わってやれと命じた。



その頃ブルックリンは机の上にたくさんの紙切れをおき「う~ん・・・・」とうなっていた。

「まぁ、これで少しは戦えると思う。」と呟くともう一度杖を取り出し、呪文を唱えていた。







『ふふっ、もうすぐ迎えに行くわね。さぁ、ブルックリン、私と一緒に高みへ登りましょう。以前のように楽しく過ごしましょう。今度は誰にも邪魔はさせないわ・・・・・』

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