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プロローグ
しおりを挟む一晩中ベッドの中で泣いて過ごした。
涙を流しながら、所々シミがついた天井を眺めていた。
時間はあっという間に流れその日が来てしまった。
「オフィーリア忘れ物はない?ハンカチ持ったの?」
「もう、お母さん何度言ったら分かるのよ?朝から3回も確認したって!!」
「でもオフィーリアはおっちょこちょいな所が昔からあるからね・・・・」
「お母さん、それでも心配しすぎよ。今日が今生の別れでもないんでしょ?」
「でもオフィーリア、いくら神聖力が高いって言っても他の皆さんがどんな人達かわからないでしょ?」
「そんなこと言ったってもう私は【大聖女】になりますって言ってしまったもの。だ・か・ら~~これか大教会で修行することになったんじゃない。」
「お姉ちゃん。お迎えの神官の方がいらしたわよ?行かなくてもいいの?」
「ラサーナ、今いくわ。ちょっと待っててもらって?」
バタバタと洗面所へ行き鏡に顔を写しチェックした。「うん、こんなものね」そう呟くと足早に荷物が置いてある玄関へ出た。
「お父さん、お母さん、心配しないでね?時々手紙も書くからね?」
「体に気をつけるんだぞ?」
「分かってるよお父さん。そしてお母さん、ラサーナ、ホリディ、マーティン。行ってくるわね。」元気よく見送る家族にそう話すと神官が待つ馬車へ乗り込んだ。
王都に行く期待に胸を膨らませて・・・・・
「お姉ちゃん、行っちゃったね。」寂しそうに馬車を見送った一家。
「ラサーナ、もうその事は言わないでちょうだい」
「・・・・・・お前、あれで良かったのか?」
「えぇ、もうとっくの昔に吹っ切れたわ。それよりあなた私たちもそろそろ荷物を作りましょう」
「あぁ分かったよ、お前が決めたんなら俺は何にも言うことはない。俺も来週から新しい勤め先に顔を出すことになってるしな」
(・・・・・・あんな気持ちの悪い子が、私の娘の訳がない。だってあの子は)
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