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14、人質救出

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「お嬢ちゃん、彼の強さを知らないなんて他所者だな?」とニヒヒっとおじさまが笑った。

「この国に剣聖と呼ばれる男は1人しかいない。ケーニッヒだけだよ。」と言いながら自分の剣をせっせと磨いている。

ギルド長、ケーニッヒって名前だったんだ。知らなかったわ。誰も名前で呼ばないし。

「まぁ、久乃はこの国に来たばかりだからね。仕方ないよ。」とトールがフォローしてくれている。

「それより最近ルグランの行政の改革が凄いんだってさ。この辺りの若い夫婦がこぞってルグランへ移住してるらしい。なんでも若手の宰相がかなりやり手らしいぞ。トールお前も所帯を持ったらルグランへ行ったらどうだ?」とトールに話している。

リヒト様、私の挑戦状受けたのかしら?てっきり無視されるとばかり思ってたのに。

まぁ、あの挑戦状は別紙の内容がポイントなんだけどねぇ。あの別紙が有ればだいぶん早くあの挑戦状は達成出来るはず。まぁ、頑張って下さい。私知らないけど。

「そんな事より後2時間後に突入する。これが要塞全体の図面だ。頭に入れておいてくれ。」と図面を出して来た。
トールと2人で眺めていた。

「トール様、最近の調べでは何人ぐらいあの中に居るのですか?」
「僕たちの調べではこの週末は手薄になり10名程だと分かっている。そしてここの地下牢に人質が何名か入ってるんだ。その人質を救出したい。」と話している。

「実はここだけの話、この国の偉いさんの娘さんが囚われているらしいよ。」と小さな声でトールが言った。

「そうですか。。。」

「嬢ちゃん、これが我々の通信機だ。」と手に渡されたのは腕時計の様な通信機器だった。「使い方はトールに聞いてくれ。」と久乃に渡すと他のメンバーの所へと行ってしまった。

トールは通信機器の使い方をじっくりと教えてくれた。そして久乃が使いこなせる様になったのを見て、「今日の久乃の仕事は呼ばれるまではこちらへ待機していて欲しい。呼ばれたらすぐに注意して駆けつけて欲しい。」とこれからの指示を言った。「分かりました。どうか油断せずご無事で。」と返事をすると「ははは、そうだな。気を付けるよ。」と笑っていた。

「おい、全員集合!」と声がかかったのでトールと一緒に他の人と駆け寄る。

「そろそろ出発だ。決して油断するなよ。通信機は肌身離さず持っておけ。ワシからの指示に気を付けておいて欲しい。別行動になるトールとお嬢ちゃん心してかかれよ。」と先ほどのおじさんが笑いながら言ってきた。

「じゃあ俺たちは出発する。久乃大きな物音がしても絶対にここから出るな。分かったか?」と改めてトールが真剣な顔で言っている。「分かった。」と頷いておいた。

要塞に出発する皆さんを見送った後は洞窟の奥で身を潜めていた。その時間はとても長く感じられ、考えるのをやめたくなるような嫌な事ばかりが頭をよぎっていく。
考えるな、考えるな、と心の奥で念じながら時が経つのを待った。

ちょっと待ちくたびれてうとうとした時だった。ピピピっと通信機から音声が鳴った。急いでボタンを押すとトールの声が聞こえて来た。

「久乃聞こえる?僕の方で人質を解放出来るめどが立った。迎えに来てもらえるか?場所は先ほどの打ち合わせ通り要塞裏口だ。至急頼むよ。要塞で一部火事になっている所があるから気を付けて来るように。」と話すと通信が切れた。

自分の装備をもう一度確認をしてゆっくり周りを見ながら洞窟から出ると、要塞の裏口へ向かった。地図で確認をしてはいたがやっぱり1人は心細い。ただトールの言った通り要塞が燃えているらしくその明るさを頼りに要塞裏口へ向かった。

教えられた通りに裏口へ着くとメンバーの一人のおじさんがいた。「お嬢ちゃんこの人たちを頼みます。くれぐれも気を付けて。」と言い残すと他にまだやるべき事があるのかさっさと消えていった。

「皆さんこちらへどうぞ。」と声をかけると3名の女性と1人の男性がいた。「これから我々の隠れ家へお連れします。しばらくお静かに願います。」と話すと皆さんが一斉に頷いていました。再び地図を頼りに洞窟へ戻るのですが皆さん歩きなれない方達ばかりなのであまり早くは進めません。それでも何とか洞窟へ到着しました。

洞窟の前で立ち止まると
「洞窟に入る前にすいませんがボディチェックをさせてもらいます。ご協力よろしくお願いします。」と話した。

一緒にいた40代ぐらいの男性が「そんな必要はない。断る。お前にどんな権利があって!!」と言いがかりをつけて来ました。

「何かやましい事があるので?」と聞き返すと他の女性の中で一番しっかりした方が「すいません、我々も牢に閉じ込められていた時間が長かったため気が立っております。家臣の無礼は私がお詫びします。どうぞ私からチェックをして下さい。」とこちらへ来られました。

「ご協力を頂き感謝します。我々もこちらをおいそれと知られるわけにはいけないのです。」とまずその方からチェックすると他の女性達も大人しくチェックさせて貰えました。あの男性はブツブツ言いながらも最終的には協力してもらえました。



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