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第9話 沢村さん
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私はそのまま沢村さんに連れられて、居酒屋の個室の部屋を案内された。
席に着くと、沢村さんは温かいお茶を持ってくるよう店員に言っていた。
なんて気の利く人なんだろう。
温かいほうじ茶を飲んだら少し気分が落ち着いた。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
私は頭を下げた。
沢村さんはビールを注文していた。
「大丈夫だよ。びっくりしたけど、落ち着いてよかった」
優しさが身に染みる。
「よければ何があったか聞いてもいい……?」
本当は誰にも言うつもりはなかった。
言いたくもなかった。
でも、ここまできて、なんでもありませんなんて言えない。
「私、最低な仕事をしていたんです」
焼き鳥を食べている沢村さんはキョトンとしている。
「最低な仕事?」
これを言ったら、沢村さんからも軽蔑されるかもしれない。
でも、もう私はこの会社に長くはいれない。
ならいっそ話してしまおう。
「別れさせ屋のスタッフとして働いていました。この前まで」
沢村さんの動きが止まった。
「別れさせ屋……初めて聞いた。どんな仕事なの?」
普通の人には縁のない仕事だ。
「主な仕事内容は、依頼主の要望に従って、ターゲットの関係を壊すことです。」
「それはすごい仕事だね……。」
沢村さんの様子はそこまで変わらないけど、内心はどうなんだろう……。
「それで、泣いてた原因はそれが関係してるの?」
「はい。私は関係を壊したつもりはないんですが、結果的に依頼主と恋人の関係が壊れそうで、依頼主が激怒して、私はもうまともな仕事はできないかもしれません……」
早川さんのこと以外、全て打ち明けてしまった。
誰にも言わないと決めていたのに。
「会社にも迷惑をおかけするかもしれないので、私は長くはいられません」
自分勝手な話だ。
プライベートなトラブルで、派遣先の社員を困らせてしまっている。
せっかく暖かく迎え入れてくれたのに。
「具体的なことはわからないけど、春日さんが悪いわけじゃなければ堂々としていればいい。君みたいな真面目そうな子がそんな仕事をしてるって……何か理由があるんでしょ?」
この人は鋭い。
「過去に恋愛でトラブルがあって、それがトラウマになって、同じように苦しんでる人を助けようと、歪んだ正義感でやっていました」
「そうか。結構複雑なんだね」
沢村さんは真剣に聞いていてくれた。
「引きますよね……重い話ですし、仕事も仕事ですし」
「俺は逆に春日さんのことを知れてよかったよ」
え?
「派遣社員の子だから、そんなに長く続く関係ではないけど、仕事抜きにして人として興味が湧いた」
沢村さんの気持ちがよくわからなかった。
こんな負の感情で動いている私に興味?
「沢村さん……変わってますね」
「そう?人に惹かれるって理屈じゃないからさ」
惹かれ……え?
「よし、俺はもう帰る。駅まで一緒に行こう」
沢村さんは立ち上がった。
「え、あ、はい!」
さりげなくとんでもないことを言ってきて気持ちが整理できない。
私は沢村さんと駅に向かった。
「ねぇ、春日さんスポーツとか好き?」
「え……と、野球なら見に行っていた時があります」
元彼と……
「そうなんだ。じゃあ今度見に行こうよ」
「え!」
そんなナチュラルに誘ってくるとは……
「はい……機会があれば」
なんとなくそのノリに応えてしまう私。
「え?本当に?じゃあ今度いいのあったら教えるから連絡先教えて」
また自然に情報を引き出してくる。
でもこの人なら……
「はい、わかりました。」
私は今日この人に救われた。
私が人には話せない過去を打ち明けても、何も動じなかった。
それが本当にありがたかった。
今すぐ辞めようと思っていたけど、もう少しだけ頑張ってみようと思えた。
席に着くと、沢村さんは温かいお茶を持ってくるよう店員に言っていた。
なんて気の利く人なんだろう。
温かいほうじ茶を飲んだら少し気分が落ち着いた。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
私は頭を下げた。
沢村さんはビールを注文していた。
「大丈夫だよ。びっくりしたけど、落ち着いてよかった」
優しさが身に染みる。
「よければ何があったか聞いてもいい……?」
本当は誰にも言うつもりはなかった。
言いたくもなかった。
でも、ここまできて、なんでもありませんなんて言えない。
「私、最低な仕事をしていたんです」
焼き鳥を食べている沢村さんはキョトンとしている。
「最低な仕事?」
これを言ったら、沢村さんからも軽蔑されるかもしれない。
でも、もう私はこの会社に長くはいれない。
ならいっそ話してしまおう。
「別れさせ屋のスタッフとして働いていました。この前まで」
沢村さんの動きが止まった。
「別れさせ屋……初めて聞いた。どんな仕事なの?」
普通の人には縁のない仕事だ。
「主な仕事内容は、依頼主の要望に従って、ターゲットの関係を壊すことです。」
「それはすごい仕事だね……。」
沢村さんの様子はそこまで変わらないけど、内心はどうなんだろう……。
「それで、泣いてた原因はそれが関係してるの?」
「はい。私は関係を壊したつもりはないんですが、結果的に依頼主と恋人の関係が壊れそうで、依頼主が激怒して、私はもうまともな仕事はできないかもしれません……」
早川さんのこと以外、全て打ち明けてしまった。
誰にも言わないと決めていたのに。
「会社にも迷惑をおかけするかもしれないので、私は長くはいられません」
自分勝手な話だ。
プライベートなトラブルで、派遣先の社員を困らせてしまっている。
せっかく暖かく迎え入れてくれたのに。
「具体的なことはわからないけど、春日さんが悪いわけじゃなければ堂々としていればいい。君みたいな真面目そうな子がそんな仕事をしてるって……何か理由があるんでしょ?」
この人は鋭い。
「過去に恋愛でトラブルがあって、それがトラウマになって、同じように苦しんでる人を助けようと、歪んだ正義感でやっていました」
「そうか。結構複雑なんだね」
沢村さんは真剣に聞いていてくれた。
「引きますよね……重い話ですし、仕事も仕事ですし」
「俺は逆に春日さんのことを知れてよかったよ」
え?
「派遣社員の子だから、そんなに長く続く関係ではないけど、仕事抜きにして人として興味が湧いた」
沢村さんの気持ちがよくわからなかった。
こんな負の感情で動いている私に興味?
「沢村さん……変わってますね」
「そう?人に惹かれるって理屈じゃないからさ」
惹かれ……え?
「よし、俺はもう帰る。駅まで一緒に行こう」
沢村さんは立ち上がった。
「え、あ、はい!」
さりげなくとんでもないことを言ってきて気持ちが整理できない。
私は沢村さんと駅に向かった。
「ねぇ、春日さんスポーツとか好き?」
「え……と、野球なら見に行っていた時があります」
元彼と……
「そうなんだ。じゃあ今度見に行こうよ」
「え!」
そんなナチュラルに誘ってくるとは……
「はい……機会があれば」
なんとなくそのノリに応えてしまう私。
「え?本当に?じゃあ今度いいのあったら教えるから連絡先教えて」
また自然に情報を引き出してくる。
でもこの人なら……
「はい、わかりました。」
私は今日この人に救われた。
私が人には話せない過去を打ち明けても、何も動じなかった。
それが本当にありがたかった。
今すぐ辞めようと思っていたけど、もう少しだけ頑張ってみようと思えた。
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