三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

七転び八起き

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第43話

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 私が戸惑っている間に店員が靴を待ってきて、勇輝さんは支払いを済ませた。
 私は全身を金で埋め尽くされた気分だ。

「じゃあ行くぞ」

 足早に店を出る勇輝さん。
 追いかけようとしたら、ヒールが高くてコケてしまった。
 が、受け止められた。

「悪かった」

 なんかこの人今日若干優しくない?
 奇妙な違和感感じていた。

 そのままエレベーターに乗り、ホテルの最上階のレストランに向かった。
 その間、チラチラと勇輝さんを見ていた。
 全く読めない男だ。
 ため息が出る。

 エレベーターが開くといい匂いがして、自然とその方向に足が向いてしまった。
 今まで一度もこんな立派なレストランに来たことがない。
 場違いだ。
 たじろいでしまう。

「行くぞ」

 勇輝さんが手を差し伸べる。

「いえ……自分で歩けるんで」

 この手に触れたら危険だと頭がアラートを出している。

 店員に案内された場所は、個室だった。
 都会の夜景が一望できる場所。
 綺麗な夜景に見惚れていた。

「意外に似合ってるな。ドレス」
「はい?」
「中身に問題があるんだな」

 どういう意味!?

 すると、店員が入ってきたから仕方なく椅子に座った。
 なぜこの人とサシで食事しなきゃいけないんだよ。
 食欲がゼロになった。

「なぜ勇凛を選んだ」

 いきなり核心を突く質問。
 本当のことなんて言えない。
 でも。

「彼が私に誠実だったからです」

 これは真実だ。

「……そうか。その返事は悪くない」

 すると、ワインが運ばれてきた。
 血のような色のワインが注がれる。

「乾杯しよう」
「私、お酒飲めません」
「……仕方ない」

 そのあと水が入ったグラスが置かれた。
 私が水を飲もうとすると、勝手にグラスを鳴らされた。

 ──もう嫌だ。

 食事が運ばれてくる。
 私の気持ちを置いてけぼりに、かわるがわる料理が並べられる。
 優雅に食べる勇輝さんを横目に、一口程度しか口に入らない。

 結局ほとんど食べることができずディナーは終わった。
 勇輝さんが会計を済ませる。

「あの、結局用件はなんなんですか?」
「あとで話す」

 なんで今じゃないの!?

「明日も仕事あるのでもう帰ります!」

 もう我慢の限界だった。

「わかった。すぐ済むからついてきなさい」

 なら今ここで済ませろ。
 と言いたいところだけど、彼はそのまま出口に一直線。

 もーーー!

「待ってください!」

 彼についていくと、客室の方に向かっている。

「え?どこに行くんですか?」

 彼が向かった先に客室の扉。
 彼はキーをかざして扉を開けた。
 中は、テレビで見たことあるようなホテルのスイートルームだった。

「入りなさい」
「……嫌です」

 なんで客室に……?

「話を聞かれるとまずい」

 なんの話なの?

「安心しろ。このあと別の女が来る。君に手はださない」

 人をからかうような目線。
 私はその女とよろしくやるための繋ぎか。
 よく見たら指輪もしてるし、既婚者。
 私の前で、まるで不倫宣言。

「……わかりました。用件だけ聞いたらすぐに帰ります」

 私は客室に入った。
 立派な客室を眺めてると、ドアが閉まり、その瞬間──
 彼に抱き寄せられた。

 ──は?

 驚きすぎて何も声が出なかった。

 そんなに強い力ではない。
 でも、身動きがとれない。
 怖い。

「欲しいものはなんでも与えてやる。だから俺のものになれ」

 え。
 どういう意味……?

「……なに言ってるんですかあなた」
「気に入った」

 全く心が読めない表情。

 ──でもわかった。

「あなた、勇凛くんから私を引き離すためにこんなことをしたんですね」

 罠だったんだ。

「……なぜそう思う?」
「信用できないからです」

 腕の力が緩んだ。
 彼はソファに座った。

「一筋縄ではいかないか」

 私は渡されたアクセサリーを外してテーブルに置いた。
 そして靴もその場に置いて履き替えた。
 流石に目の前で服は着替えられない。

「ドレスは今度返します」
「不要だ」

 私はすぐに部屋を出た。
 エレベーターに乗ると、スマホに通知が来た。

『飲み会どうですか?迎えに行きますよ』

 私はそのメッセージを眺めて、胸が熱くなった。

 絶対に負けない。
 屈しない。
 この関係を守り抜く。

 そう誓った。
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