ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

七転び八起き

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第四章 従弟

第48話

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 遼君につけられた痕はくっきりと体に刻まれてしまった。

 どうしよう……。
 なんとかコンシーラーとかで誤魔化せないかな。

 もし先生に見つかったら──

 ゾッとした。

 この痕が消えるまで、先生と会うのをやめよう。

 ──その時、先生から連絡があった。

『今から行っていい?』

 なんでこのタイミングで!

 私は電話をかけた。

「先生、すみません。今日ちょっと体調が悪くて……」
「どうした?大丈夫か?」

 先生が本気で心配している。

「頭痛がするだけなので、大丈夫です」
「そうか……。じゃあ今日はゆっくり休んで」

 電話を切ったあと、苦しくて涙が出た。
 先生に会いたい。
 でも、こんなの見たら、失望されるかもしれない。

 私がもっとしっかりしていれば──

 先生は私に警告していた。
 それなのに……。

 情けなくて、でもこんな事誰にも言えなくて、ただその気持ちを放り投げたまま眠りについた。

 そして、夢を見た。

 先生に包まれていて、優しくて温かくて、私の全てを満たしてくれる。
 幸せだった。

 でも、その顔が遼君に変わった。

 先生とそっくりな面影。
 でも瞳はあの時の先生みたいに揺らいでいる。
 何を考えているかわからない。

 突然全身が冷たくなった感じがして、遼君のつけた痕が強く浮き上がった。

 あなたのせいで先生と会えなくなった。
 あなたと出会わなければよかった。
 もう二度と会いたくない。

 朝起きて私は、店長に連絡をして、『一身上の都合』で仕事を辞める事にした。
 ほんの数回しかバイトができなくて、ただただ申し訳なかった。
 店長は「またいつでも戻ってきてね」って言ってくれたのが救いだった。

 それから先生から『会いたい』と言われても、それを見られたくないから、言い訳を毎回考えてメッセージを送った。

 そして、夜──

 宅急便が届いてドアを開けて荷物を受け取った時、先生の車が家の直ぐそばにあった。
 運転席の中にいる先生と目が合った。
 宅急便のトラックが去った後、先生がこちらに歩いてきた。
 そして、私の手を掴んで車の方へ向かった。

「先生待ってください!」

 突然来るなんて思いもしなかった。
 どうしよう!見られたらまずい……。

 車に押し込まれて先生を見た時、その瞳の鋭さに背筋が凍った。

「なんで逃げる」

 言葉がでてこない。

 その時、先生にきつく抱きしめられて、押し倒されてしまった。
 先生は私を確かめるように触れてくる。
 息もできないくらいのキスををする。

「先生!待ってください!」

 精一杯力を入れた。

 その時、先生の手が止まった。

「……なんだこれ」

 はだけた服から、あの痕が晒された。
 私は先生の目を見ることができなかった。

「遼か……?」

 私は頷いた。
 頷くしかできなかった。

「なんで黙ってた」
「先生と私の関係を誰にも言わないで欲しいと彼に言ったんです。そしたらこうなってしまって……」

 しばらく私たちの間に沈黙が流れた。

 先生は車から出て運転席に座った。

「もう帰れ」

 先生は私の顔を見なかった。

 私は服を整えて外に出た。

 先生は行ってしまった──
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