ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

七転び八起き

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第五章

第60話

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 とうとう、遼君の住む部屋が決まった。
 学校から近い場所にあるマンションだった。
 入居できるまであと一週間。
 先生と遼君の二人暮らしももう終わる。

 私はその後先生の家には行けなかったし、遼君とはシフトもずれてほぼ会わなくなった。
 先生は学校で色々あるみたいで最近とても疲れている。
 だから、先生と会う回数も減った。

 このままバラバラになるのが寂しいと思った私は、とある計画をした。
 二人が予定が合いそうな日と時間を調べて、三人で待ち合わせる。

 ──そして

 とうとうのその日がやってきた。

 駅で二人を待ってると、先に遼君が来た。

「白乃さん!」

 笑顔で手を振っている。

「遼君久しぶりだね!最近どう?」
「学校はまあまあかな~。勉強苦手だから。バイトは忙しいけど楽しいよ~」

 前よりも、年相応の男の子の雰囲気になった気がする。

「今日は何するの?俺とデート?」

 遼君が嬉しそうにしている。
 私が先生に隠れてそんな事する訳がない事はわかってるよね。
 揶揄っているのかなんなのか。

「もう少し待っててくれる?」

 遼君はよくわからないまま一緒に居てくれた。

 そこに、先生が来た。

 二人はお互いを見て、凄い嫌そうな顔をした。

「何でお前がいる……」
「いや、それこっちのセリフなんだけど」

 そうなるよね。

「遼君がもうすぐ引っ越すから、それまでに三人で何かしたくて!」

 私は二人を先導して歩いて、焼肉店に。

「ここ美味しいんですよ!」

 二人は複雑そうな表情をしたけど、そのまま一緒に店に入った。
 そして予約した席に着いた。

「食べ放題にしたんで、いっぱい食べましょ~!私の奢りです!」
「いや俺払うから……」

 先生は絶対そう言うと思ったけど無視した。

 お肉がきたら、先生がひたすら焼いてくれて、私と遼君が食べていた。

「先生食べないんですか??」
「お前らが満腹になったら食べるよ」

 先生は気晴らしとかになってないかも。
 遼君は育ち盛りだからかずーっとニコニコして食べていた。

「美味しー最高」

 先生はそれを見てイライラしている。

「先生最近悩んでる感じがして、結構心配してるんです」
「まあ、色々あるんだよ。お前が思うより、教員はやる事が多いんだよ」
「先生!先輩として、ちゃんと教えてください!!」

 先生は考えつつも教えてくれた。

「クラスのトラブルとか、不登校とか、遼みたいなパターンとかな」
「は??」

 遼君が不快そうにしている。

「ああいうのも、学校が間に入る事もある。遼は血縁だから俺だけでどうにかできたけど」

 そうか……。勉強を教えるだけじゃなくて、そういうことにも向き合わないといけないのか。

 遼君みたいな子──

 家に居場所がなくて、孤独で、危険な事をしてしまうような子。

「先生、やっぱり先生はすごいです」
「やっとわかったか」

 わかっていたけど、先生に追い詰められていた記憶が強すぎて。

 私達は食べ終わったあと、今度は夜景が綺麗な場所でゆっくり三人で話したいと思っていた。

 ──なのに

「遼は帰れ、未成年はダメだ」
「いや、まだ時間平気だろ!」

 その時先生の目が恐ろしく揺らめいた。

「察しろ」

 遼君は仕方なく帰った。

「せっかく三人で居られる時間を作ったのに……」
「またいつでもできるだろ」

 そうなんだけど!

「お前も察しろよ」

 先生は私の手を握った。
 私の心はほんわかして、遼君には申し訳ないけど、先生と二人になれるのは、それはそれで嬉しいと思ってしまった。
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