ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

七転び八起き

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第五章

第59話

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 気がついたらまたあの教室に居た。
 いつも何かあるとここにいる。

 優しい風が教室に滑り込んで、白いカーテンが舞っていた。
 白いカーテンの向こう側に先生のシルエットが見えた。

 私は制服じゃなかった。
 白いレースのワンピース。
 先生のくれたダイヤのついた首輪ネックレスをつけて。

 先生が近づいてきた。
 そして先生は私の首輪を外した

 驚いて先生を見た。

「もういらないだろこれ」

 先生はそれを握りしめて、遠くを見ていた。

「この前まで担任をしていた生徒を、追いかけて、追い詰めて、傷つけて、支配して、壊しかけて……。教師として、人間として終わってると思っている」

 最初は本当に怖かった。
 でも何故か、嫌いになるどころかどんどん惹かれていた。

「ごめん。もう自由に生きていい。もうこれ以上求めない」

 そんな事、何で今言うの?

「先生は……私の事がもういらないんですか?」

 涙が溢れた。

「お前に愛想尽かされたくないんだよ」
「え?」
「いい歳して束縛して監視する男、イタイだろ」

 そんな事思っているの!?

「先生、自分でそう思っていたんですね」

 息苦しい時もあった。でも決して嫌ではなかった。

「お前をもう苦しめたくなくない。だから──」

 そっと先生に抱き寄せられた。

「お前の気持ち、大事にして生きろ」


 ──その時

 目が覚めた。

 目から涙が流れていた。

 いつの間にか夕方になっていて、暗い部屋の中を夕陽が照らしていた。
 ふと横を見たら、先生が私の横で寝ていた。

 私は──

 思い切り泣いてしまった。
 先生はびっくりして起きた。

「先生、私を置いていかないでください!」
「は??」

 私は夢の中の出来事を言った。
 先生は苦笑していた。

「俺そんな事言ってたのか」

 先生は私の手をそっと握った。

「確かにその通りだ。だから、もしお前との全てが晒されてたら、教員辞めようと決めた。この前」

 え……?

「じゃあ何のために私頑張ってるんですか?今」

 私はまた泣きそうになる。

「お前は自分のために頑張ればいいんだよ。俺が辞めたらお前も辞めるのか?」

 それは──

 確かに違う。

 そしたら私は何のために頑張ってるのか。
 本気で教師になりたいと思ったかでしょ?
 先生と同じようになりたかったから?

 でも、二つとも真実だ。

 先生と一緒になりたかった、教員にもなりたかった、不純かもしれない。
 それでも、長く会えない期間をそのために頑張れた。

 でも──

「もっとちゃんと考えてみます」

 まだまだ、自分の道を考える時間はある。

 私達は着替えて、外に出かける事にした。

 玄関から外に出ようとした時、先生が見当たらなくなって、家の中を探してたら、父の小さな仏壇の前で手を合わせていた。
 それがなんだかとても、嬉しいのか苦しいのか、よくわからない気持ちになった。
 強引でマイペースなんだけど、根は真面目な気がするんだ。

 ──先生は。
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