ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

七転び八起き

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第七章

第79話

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 12月に入って、図書館にこもる日が続いていた。
 卒論の提出が来月に迫って、参考文献を探す毎日。
 教育関連の書架を歩いていると、ふと一冊の本が目に留まった。

『児童心理学入門——子どもの心を理解するために』

 何気なく手に取って、パラパラとめくってみた。
 私が探している事の答えがここにあるんではないかと…
 フリースクールの子達の気持ちを

 でも、読み進めるうちに、目に止まった部分があった。

 ──子どもが心を閉ざす理由

『私、先生嫌い』

 あの時の表情。
 この本に書いてあることと、なんとなく繋がる気がする。
 知らない言葉もたくさん出てきて、正直難しい。

「愛着理論って何だろう」

 なんとなく気になって、ついつい読み続けてしまう。

 あ、お腹空いた。
 でも、この章だけ読んでから──

 気がつくと、図書館の閉館時間が近づいていた。

「もうこんな時間!」

 私は本を借りて、家でも続きを読むことにした。
 家に帰って、お風呂上がりにベッドで読んでいた。

 自分の子ども時代のことも思い出す。
 もし、あの時、話を聞いてくれる大人がいたら……。
 でも、考えすぎて頭が痛くなってきた。

 とりあえず今日はここまで。

 ──その時、着信があった。

 先生からだ。

『今から行っていい?』
「はい!私も先生に逢いたかったので」

 少し待っていると、先生の気配がしてドアを開けた。

「びっくりした!」

 先生の顔を見ると嬉しさと愛おしさでいっぱいになる。
 先生と小さなソファに座った。

「先生どうしたんですか?」

 先生に抱きしめられた。

「ただ逢いたかった」

 家が近所になって、逢う頻度は増えた。
 私にはこの距離感が心地よかった。

「早く一緒に暮らしたい」

 先生はこの距離がもどかしいみたいだ。
 でも今は、純粋に先生との生活を楽しめる状態ではない。

「私も落ち着いたら、先生と一緒に居たいです。ずっと」

 私達は先生に優しくキスをした。
 何も言葉がなくても平気だった。

 * * *

 次の日、また図書館に行った。
 今度は、関連する本をもう少し探してみることにした。

『学校臨床心理学』

 確か田中さんが言ってたやつだ。
 読んでると、スクールカウンセラーの仕事について詳しく書いてある。
 少し気になって、大学の職員に、スクールカウンセラーの情報を聞いた。

「もし目指するなら院に行かないといけないね。教員採用試験に受かったなら、その道で進む方がいいと思うけど」

 大学院に行かなきゃいけないのか……。

「願書をだすなら来月の中旬までだよ」

 締め切りまであまり時間がない。
 教師になるって決めていたのに、今更揺らぎ始めてる。
 とりあえず、もう少し色々読んでみよう。

 図書館の窓から見える夕日が、オレンジ色に染まっていた。

 ──私の未来。

 必死に駆け抜けてきた。
 教員になりたかった。

 でも──

 そこで答えが出そうになったけど、言葉にするには勇気が必要だった。
 この気持ちを先生に伝えたら、先生はどう思うのか──

 夢と、現実と、自分の気持ち。
 その狭間で彷徨っていた。
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