ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

七転び八起き

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第七章

第80話

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 土曜日の夜。
 先生と車でドライブをしていた。
 特に目的地もなく、ただ夜の街を走っている。

「あの……」
「うん」
「スクールカウンセラーって、どんな感じなんですか?」

 先生がちらっと私を見た。

「スクールカウンセラー?」
「はい。学校にいる、心理の先生みたいな……」
「ああ、うちの学校にもいるよ」

 信号が青に変わって、車がゆっくりと動き出す。

「週に二回くらい来ている。色々な子の相談に乗っているな」

「そうなんですね。どんな相談ですか?」
「不登校とか、友達関係とか。あとは保護者の相談もある」

 先生は運転しながら答えてくれる。

「先生も相談したりするんですか?」
「俺?俺はないけど……教員も相談したりする時はある」
「どんな風に?」

 先生は少し考えた。

「生徒にどう接したらいいかわからない時とか、専門的な視点で教えてもらったり」

 なるほど。

「教師とは違う専門性があるんですね」
「そうだな。俺たちは教えることが専門だけど、あの人たちはまた違うからな」

 その時、先生が私の顔を見た。

「なんで急にそんなこと聞く?」

 先生が信号で止まった時に、改めて私を見た。

「あ、いえ、なんとなく気になって」
「なんとなく?」

 何か勘づかれてしまったかもしれない。

「大学で、心理学系の本を読む機会があって」
「ふーん」

 先生はそれ以上は聞かなかった。

「いい仕事だと思うけど、俺には向いていない」

 先生はそう言って、少し笑った。

「どうしてですか?」
「俺は話を聞くより、教える方が好きだから」

 確かに、先生らしい。

 私たちはしばらく無言でドライブを続けた。
 窓の外に流れる夜景を見ながら、私は考えていた。

 スクールカウンセラー

 先生の話を聞いて、現実的なイメージができた。

「白乃、何考えてる?」
「え?」
「さっきから、なんか考え込んでる」

 先生に見透かされてしまった。

「いえ、特には。ただ、いろんな仕事があるんだなって」
「そうだな」

 先生は優しく頷いた。

「でも、お前は教師になるんだろ?」

 その言葉に、私は少しドキッとした。

「はい……そうですね」

 先生はその為に私に採用試験の勉強や対策をしてくれた。
 だから、応えないといけない。

 でも──


 その後、先生の家に着くと激しくキスをされた。

「もうすぐだ」

 また思考を溶かされる。
 呼吸が乱れる。

「もうすぐ一緒になれる」

 薬指に輝くリング。

 先生。
 
 あなたの望みを叶えられなかったとしたら、あなたはどんな顔をするのでしょう。
 先生で何もかもいっぱいになりながら、微かに考えていた。
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