夜明けの旋律─二人の繋いだ手の先に待ち受けるもの─

七転び八起き

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親友

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 次の日。

 家からギターを背負ってバイト先へ向かった。
 青柳さんと同じシフトの日。

「いぶきくん、お疲れ。この前はありがとね~」

 いつもと変わらない笑顔。

「お疲れ様です。こちらこそありがとうございます」

 頭を下げた。
 青柳さんが全身をじっと見てきた。

「ギター背負ってるのいいね。さまになってる」
「いえ、青柳さんに比べたら……」
「いぶきくんもずっと続けたら同じくらい弾けるようになるよ」

 青柳さんがバックヤードの扉を開いた。

「とりあえずバイトしようか」
「はい」

 その後、青柳さんと淡々とバイトをこなした。
 クリスマスソングが店内でずっと流れている。
 暫くして、客足が途切れた。

「いぶきくん」

 青柳さんが近づいてくる。

「はい」
「"Happy Xmas"気に入ってくれてくれたんだね」
「はい!すごくよかったです!唯川もピアノ弾きながら歌ってました」
「え、あの子歌うの?」
「いや、こっそり歌ってたんです」
「へ~」

「いいね。あの曲好きだから」
 青柳さんが笑う。

「じゃあ今日はいぶきくんが歌ってくれるんだ」
「いえ、俺音痴で……」
「余計聴きたくなるし」

 また客が来た。
 バイトが再開する。

 ***

 制服を脱いで、私服に着替える。

 青柳さんが待っている。

「じゃあ行こうか」
「はい」

 二人で青柳さんのアパートに向かって歩き出す。

「この前のライブ、すごかったです」
「ありがとう」
「青柳さんが歌うとは思ってなくてびっくりしました」

 青柳さんは笑った。
「言ってなかったしね」
「すごい歌かっこよかったです」
「そう言ってもらえると嬉しいなぁ」

 大通りから外れて、街頭だけの静かな道に入る。

「……でも、なんで解散したんですか?」
「方向性の違いってやつかな~」

 青柳さんの表情は特に変わらなかった。

「そうなんですね……。聞いてすみません。」
「いいよ全然」

 青柳さんは煙草をだして、吸い始めた。
 煙が冬の空に舞い上がる。

「これから、どうするんですか?」

 青柳さんが振り返る。

「またメンバー探したり、色々やってみる。音楽は続けるから」
「そうなんですね」

 青柳さんが、俺のギターを見た。

「いぶき君にあげた青いピックなんだけどさ」
「はい」
「俺の親友が持ってたやつなんだ」
「……え?」

 青柳さんが、遠くを見るような目をする。

「中学の時、一緒にバンド組んでた奴なんだよね。親の都合で、海外に行っちゃって。その時に、ピックをもらったんだ」
「そうだったんですか……」
「また会えたら、またあいつと弾きたいって、ずっと思ってる」

 懐かしむような笑みを浮かべる青柳さん。

「会えるといいですね」

 ポケットに入れていた青いピックを優しく握った。

 青柳さんのアパートが見えた。

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