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歌う
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次の日、学校が終わった後、祖母の家に直ぐに行った。
「いぶき、おかえりなさい」
いつもと変わらない穏やかな笑顔。
「ばあちゃん、俺、クリスマス会、ギターで演奏したい。もう一人、唯川じゃない人と一緒に」
祖母は驚いている。
「その人は?」
「バイト先でギター教えてくれてる人」
「……悟史くんは?」
「ピアノの先生の家でパーティーがあって来られなくて」
祖母は小さくため息をついた。
「悟史くんのピアノまた聴きたかった」
「ごめん、また予定合った時連れてくるから」
「悟史くんも自分の道があるものね。いぶきの演奏楽しみにしてる」
「ありがとう」
その後、直ぐに自宅に戻って、服を着替えてギターを背負った。
「いぶきどこ行くの?」
母が驚いてる。
「ごめん、クリスマスイベントでギターやるから、練習しないといけなくて」
「……そう。気をつけてね」
「いぶき兄ちゃんいってらっしゃい!」
弟たちが言う。
「いってきます!」
そのあと、全力で走った。
***
一時間ほどしてたどり着いたのは、青柳さんのアパート。
インターホンを鳴らす。
ドアが開く。
「いぶきくん、お疲れ~」
青柳さんが、ほろ酔いででてきた。
「すみません!ギリギリまで練習したくて」
「いいよ~。基本暇だし。いぶき君とギターやるの楽しいから」
ギターを下ろして、ケースから出して、すぐに構えた。
「完璧じゃなくていいから、コードだけ覚えて。メロディーの部分俺が弾くから」
「すみません」
その時、青柳さんがじっと俺を見た。
「……なんですか?」
「誰が歌うの?」
何も考えていなかった。
いや、青柳さんに歌ってほしい。
さすがにそこまではお願いする勇気はなかった。
「歌なしでもいいかなぁと」
「いや、これは歌が大事なんだよ」
「そうなんですか?」
「だって会場の人も歌えるし」
会場の人のことまで気が回っていなかった。
「音楽は観客も合わせて一体感を作るのが大事だと俺は思うよ」
「そうですね……」
「だからさ……いぶきくん歌いなよ」
「え?」
「いぶきくん歌ったら、おばあちゃんも喜ぶんじゃない?」
「いや、そうかもしれませんけど、歌詞知らなくて」
「そんなの直ぐ覚えられるよ」
「英語ですよね?」
「そうだけど、そんな難しくないし、わからなくても言葉だけ歌っぽくしてればいいと思う」
「大事なのは、伝えようとする心」
青柳さんの言うことは、ステージで見てたぶん説得力がある。
「……歌には自信ないですが、とりあえず覚えてみます」
「うん。笑われても、それも経験」
青柳さんに突然無茶振りされて、混乱してる。
でもやろうと思った。
なんでこんなに必死なのか自分でもわからない。
ただ、今、この瞬間の気持ちを大事にしたかった。
試しになんとなく歌ってみた。
歌うと音も乗ってきた。
「いぶきくん、歌いいよ。全然音痴じゃない」
歌詞を思い出しながらコードも思い出すのが大変だったが、青柳さんは最後まで付き合ってくれた。
クリスマス会の前日まで。
「いぶき、おかえりなさい」
いつもと変わらない穏やかな笑顔。
「ばあちゃん、俺、クリスマス会、ギターで演奏したい。もう一人、唯川じゃない人と一緒に」
祖母は驚いている。
「その人は?」
「バイト先でギター教えてくれてる人」
「……悟史くんは?」
「ピアノの先生の家でパーティーがあって来られなくて」
祖母は小さくため息をついた。
「悟史くんのピアノまた聴きたかった」
「ごめん、また予定合った時連れてくるから」
「悟史くんも自分の道があるものね。いぶきの演奏楽しみにしてる」
「ありがとう」
その後、直ぐに自宅に戻って、服を着替えてギターを背負った。
「いぶきどこ行くの?」
母が驚いてる。
「ごめん、クリスマスイベントでギターやるから、練習しないといけなくて」
「……そう。気をつけてね」
「いぶき兄ちゃんいってらっしゃい!」
弟たちが言う。
「いってきます!」
そのあと、全力で走った。
***
一時間ほどしてたどり着いたのは、青柳さんのアパート。
インターホンを鳴らす。
ドアが開く。
「いぶきくん、お疲れ~」
青柳さんが、ほろ酔いででてきた。
「すみません!ギリギリまで練習したくて」
「いいよ~。基本暇だし。いぶき君とギターやるの楽しいから」
ギターを下ろして、ケースから出して、すぐに構えた。
「完璧じゃなくていいから、コードだけ覚えて。メロディーの部分俺が弾くから」
「すみません」
その時、青柳さんがじっと俺を見た。
「……なんですか?」
「誰が歌うの?」
何も考えていなかった。
いや、青柳さんに歌ってほしい。
さすがにそこまではお願いする勇気はなかった。
「歌なしでもいいかなぁと」
「いや、これは歌が大事なんだよ」
「そうなんですか?」
「だって会場の人も歌えるし」
会場の人のことまで気が回っていなかった。
「音楽は観客も合わせて一体感を作るのが大事だと俺は思うよ」
「そうですね……」
「だからさ……いぶきくん歌いなよ」
「え?」
「いぶきくん歌ったら、おばあちゃんも喜ぶんじゃない?」
「いや、そうかもしれませんけど、歌詞知らなくて」
「そんなの直ぐ覚えられるよ」
「英語ですよね?」
「そうだけど、そんな難しくないし、わからなくても言葉だけ歌っぽくしてればいいと思う」
「大事なのは、伝えようとする心」
青柳さんの言うことは、ステージで見てたぶん説得力がある。
「……歌には自信ないですが、とりあえず覚えてみます」
「うん。笑われても、それも経験」
青柳さんに突然無茶振りされて、混乱してる。
でもやろうと思った。
なんでこんなに必死なのか自分でもわからない。
ただ、今、この瞬間の気持ちを大事にしたかった。
試しになんとなく歌ってみた。
歌うと音も乗ってきた。
「いぶきくん、歌いいよ。全然音痴じゃない」
歌詞を思い出しながらコードも思い出すのが大変だったが、青柳さんは最後まで付き合ってくれた。
クリスマス会の前日まで。
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