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ハーモニー
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数日間でなんとか形になった、クリスマスソング。
当日は、イベント開始の一時間前に青柳さんと駅で待ち合わせをしていた。
祖母が不在の中、祖母の家でギターの練習をした。
スマホからHappy Xmasの曲を流しながら、歌う。
その時、スマホに着信があった。
──唯川だった。
「もしもし」
『いぶき、今日イベント何時から?』
唯川はやや焦っている。
「5時からだよ」
『わかった。俺行くよ』
「え!?パーティーは?」
『終わってから行く』
まさか唯川が来るとは思っていなかった。
『青柳さんと二人で演奏するの?』
「うん、ギターで」
『そうか。俺、ピアノで参加できるかな」
会場にはいつもピアノがある。
「たぶん大丈夫だと思う」
『わかった』
「一時間前に青柳さんと駅で待ち合わせしてて」
『……それよりもう少し前に行っていい?』
「ん?」
『いきなり三人で合わせるのがちょっと不安』
確かにそれはそうだ。
俺は青柳さんとずっと練習してきたが、唯川は青柳さんと演奏するのは初めて。
「事前にリハーサルみたいなのできるか、ばあちゃんに聞いてみる」
『うん』
電話を切った。
そのあとすぐに祖母に電話をかけて事情を説明した。
『え!悟史くんも来てくれるのね!ちょっと会長に聞いてみるから、また連絡するわね』
急展開だ。
まさか直前にこんなことになるなんて。
でも、諦めていた夢が叶う。
唯川とまた弾ける。
どんな形になっても、後悔しない。
その後、会長からOKがでて、三人でリハーサルをする時間を作ることができた。
***
3時30分
駅の前で二人を待った。
最初に来たのは青柳さん。
「唯川くん来てくれてよかったね~」
「はい、突然予定変えてすみません」
「いやいや、大丈夫。俺も嬉しい。唯川くんのピアノ聴きたいし」
二人で色々話してると、唯川が来た。
ややフォーマルなファッションにコートを着ていた。
「唯川、ありがとう」
「いや、突然ごめん」
「ううん、嬉しい」
二人で見つめ合って微笑んだ。
「とりあえず、行こうか」
青柳さんが笑っている。
二人で俯きながら、会場まで急いで向かった。
会場は既に飾り付けがされてあって、地元の人が準備をしていた。
挨拶をすると、夏のコンサートに参加していた人が何人か来た。
「また二人の演奏が聴けるの楽しみにしていたよ」
「きっと盛り上がるわね」
期待がプレッシャーに。
「いぶき、早くやろう」
唯川がピアノを指さした。
「うん」
俺と青柳さんはギターを出した。
マイクは本番で出すと祖母に言われていた。
ステージに三人で上がる。
唯川はピアノの椅子に座り、鍵盤に手を置く。
俺は、ギターを構えて、ピックを片手に持った。
「俺が、曲の入りカウントするから、それに合わせてやろう」
青柳さんが指示する。
青柳さんが唯川にギターパートの説明をする。
唯川はそれを聞いて、ピアノを弾いてみた。
音楽室で聞いてそれとは違う、もっとはっきりした旋律。
響いて、壁に反響して、それが特別なものだと改めて感じた。
「唯川くん流石だね。俺達いなくてもなんとかなりそうだね」
笑顔で青柳さんが茶化す。
本当に、唯川が弾くだけで立派なコンサートだ。
でも──
「俺はそれでも弾きます」
青柳さんは口角を上げた。
「いぶきくん、いいね。負けてられないね」
そういうつもりではないけど、唯川とはステージの上では対等でいたいと、無意識に思っていたのかもしれない。
その時、ハンドベルを弾く人たちが近づいてきた。
「あの……一緒に演奏参加してもいいですか?」
突然の提案に驚いた。
「いぶきくん、どうする?」
青柳さんが笑顔で聞いてきた。
「いいですよ。是非、一緒に演奏してください」
ベルの人たちは喜んだ。
「演奏ちょっと合わせますか?」
青柳さんがベルの人に聞いた。
「はい!歌は知ってるので、なんとか本番までには間に合うと思います」
完全に青柳さんがステージを仕切っている。
きっと、青柳さんは今までステージの上で色んな経験をしてきたのかもしれない。
この時、青柳さんと音楽の繋がりを深く感じられた。
一度だけ、ベルの人たちも合わせて通しで合わせた。
ベルの音色も響いて、ハーモニーが会場に広がる。
準備の人たちが手を止めて聞き入っている。
一人で弾くと思っていた音楽。
一人で弾ききった時の達成感はすごくいい。
だけど、この時、全員で弾き終わった達成感は、同じくらい、いやそれ以上に、大きなものを成し遂げた気がした。
まだリハーサルにも拘らず、拍手が起こる。
本番まであと数時間。
でも俺の中で、もう演奏は始まっていた。
当日は、イベント開始の一時間前に青柳さんと駅で待ち合わせをしていた。
祖母が不在の中、祖母の家でギターの練習をした。
スマホからHappy Xmasの曲を流しながら、歌う。
その時、スマホに着信があった。
──唯川だった。
「もしもし」
『いぶき、今日イベント何時から?』
唯川はやや焦っている。
「5時からだよ」
『わかった。俺行くよ』
「え!?パーティーは?」
『終わってから行く』
まさか唯川が来るとは思っていなかった。
『青柳さんと二人で演奏するの?』
「うん、ギターで」
『そうか。俺、ピアノで参加できるかな」
会場にはいつもピアノがある。
「たぶん大丈夫だと思う」
『わかった』
「一時間前に青柳さんと駅で待ち合わせしてて」
『……それよりもう少し前に行っていい?』
「ん?」
『いきなり三人で合わせるのがちょっと不安』
確かにそれはそうだ。
俺は青柳さんとずっと練習してきたが、唯川は青柳さんと演奏するのは初めて。
「事前にリハーサルみたいなのできるか、ばあちゃんに聞いてみる」
『うん』
電話を切った。
そのあとすぐに祖母に電話をかけて事情を説明した。
『え!悟史くんも来てくれるのね!ちょっと会長に聞いてみるから、また連絡するわね』
急展開だ。
まさか直前にこんなことになるなんて。
でも、諦めていた夢が叶う。
唯川とまた弾ける。
どんな形になっても、後悔しない。
その後、会長からOKがでて、三人でリハーサルをする時間を作ることができた。
***
3時30分
駅の前で二人を待った。
最初に来たのは青柳さん。
「唯川くん来てくれてよかったね~」
「はい、突然予定変えてすみません」
「いやいや、大丈夫。俺も嬉しい。唯川くんのピアノ聴きたいし」
二人で色々話してると、唯川が来た。
ややフォーマルなファッションにコートを着ていた。
「唯川、ありがとう」
「いや、突然ごめん」
「ううん、嬉しい」
二人で見つめ合って微笑んだ。
「とりあえず、行こうか」
青柳さんが笑っている。
二人で俯きながら、会場まで急いで向かった。
会場は既に飾り付けがされてあって、地元の人が準備をしていた。
挨拶をすると、夏のコンサートに参加していた人が何人か来た。
「また二人の演奏が聴けるの楽しみにしていたよ」
「きっと盛り上がるわね」
期待がプレッシャーに。
「いぶき、早くやろう」
唯川がピアノを指さした。
「うん」
俺と青柳さんはギターを出した。
マイクは本番で出すと祖母に言われていた。
ステージに三人で上がる。
唯川はピアノの椅子に座り、鍵盤に手を置く。
俺は、ギターを構えて、ピックを片手に持った。
「俺が、曲の入りカウントするから、それに合わせてやろう」
青柳さんが指示する。
青柳さんが唯川にギターパートの説明をする。
唯川はそれを聞いて、ピアノを弾いてみた。
音楽室で聞いてそれとは違う、もっとはっきりした旋律。
響いて、壁に反響して、それが特別なものだと改めて感じた。
「唯川くん流石だね。俺達いなくてもなんとかなりそうだね」
笑顔で青柳さんが茶化す。
本当に、唯川が弾くだけで立派なコンサートだ。
でも──
「俺はそれでも弾きます」
青柳さんは口角を上げた。
「いぶきくん、いいね。負けてられないね」
そういうつもりではないけど、唯川とはステージの上では対等でいたいと、無意識に思っていたのかもしれない。
その時、ハンドベルを弾く人たちが近づいてきた。
「あの……一緒に演奏参加してもいいですか?」
突然の提案に驚いた。
「いぶきくん、どうする?」
青柳さんが笑顔で聞いてきた。
「いいですよ。是非、一緒に演奏してください」
ベルの人たちは喜んだ。
「演奏ちょっと合わせますか?」
青柳さんがベルの人に聞いた。
「はい!歌は知ってるので、なんとか本番までには間に合うと思います」
完全に青柳さんがステージを仕切っている。
きっと、青柳さんは今までステージの上で色んな経験をしてきたのかもしれない。
この時、青柳さんと音楽の繋がりを深く感じられた。
一度だけ、ベルの人たちも合わせて通しで合わせた。
ベルの音色も響いて、ハーモニーが会場に広がる。
準備の人たちが手を止めて聞き入っている。
一人で弾くと思っていた音楽。
一人で弾ききった時の達成感はすごくいい。
だけど、この時、全員で弾き終わった達成感は、同じくらい、いやそれ以上に、大きなものを成し遂げた気がした。
まだリハーサルにも拘らず、拍手が起こる。
本番まであと数時間。
でも俺の中で、もう演奏は始まっていた。
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