夜明けの旋律─二人の繋いだ手の先に待ち受けるもの─

七転び八起き

文字の大きさ
42 / 50

プレゼント

しおりを挟む
 冬休みが明ける直前のある日。
 一人でショッピングセンターをウロウロしていた。

 唯川への誕生日プレゼントを探すためだ。

 なんとなくメンズファッションエリアに行ってみた。
 でもどれがいいか全くわからなかった。

 このままじゃ決められないまま今日が終わってしまう。

 その時、とっさに思いついた。
 俺はスマホをだして、電話をかけた。

 呼び出し音が何回か鳴る。

『もしもし?』
「青柳さんすみません、ちょっと困っている事があって」
『どうしたの?』

 もう同性に聞くしかなかった。

「誕生日プレゼントを探していて。でもわからなくて」
『誕生日って、唯川くん?』
「はい」
『今どこにいるの?』
「ええと」

 青柳さんに居場所を伝えた。

『今からそっちいくわ』
「え?いいんですか?」
『その方が決めやすいでしょ』
「はい」
『じゃあそこで待ってて』

 青柳さんに申し訳ないと思いつつ、来てくれることに感謝して、待ち合わせ場所にいた。

 ***

 1時間ほど待つと青柳さんが来た。

 今日はキャップを被っていた。
 ジャケットの下に見えるピンク色のインナーシャツが目立つ。
 派手な色なのに、青柳さんに似合っている。

「おまたせ~」
「突然すみません」
「全然大丈夫~」

 青柳さんとショッピングセンターを回る。

「唯川くんの好きなものとかわかる?」
「いえ…全然知らなくて」
「初々しいなぁ」

 青木さんが笑う。

「女の子だとアクセサリー選ぶんだけどね」

 そのまま探し歩いていると

「あ、これいいかも」
 青柳さんが立ち止まった。

 青柳さんが見ていたのは時計だった。

「これなら普段もつけていられるよね」
「はい」

 とてもいい提案だった。
 時計なら学校にもつけていける。
 唯川に似合いそうなのを探した。

 あった。

 シンプルなデザインの黒革のベルトに白い文字盤、銀色の縁の時計。
 まるでピアノみたいな。

「これにします」
「お、いいね~。唯川くんっぽい」

 プレゼント用に包装してもらった。

「青柳さん、ありがとうございます」
「ううん。俺も二人のこと応援してるからさ~」

 優しさが身に染みる。

「あ、いぶきくん、このあと時間ある?」
「はい、夕飯までなら」
「じゃあ、これから家でギターやろう。今日はエレキギター弾かせてあげる」
「え!いいんですか?」
「うん、色んな音出せるから楽しいよ~」

 その後、青柳さんの家に行って、エレキギターを始めて弾いた。
 ロックミュージシャンが弾くような音。
 そしてまた新しい曲を教えてもらった。

「またいぶき君に弾き語りしてほしいな~」

 青柳さんが嬉しそうに言う。

 俺もまた、いつかどこかでステージに立てるなら、自信をもって歌って奏でたい。

 そう思った。

 まだまだ自信はないけど。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

放課後の旋律~君と僕の秘密の放課後~

七転び八起き
BL
高校生の柏木いぶきは、放課後に偶然聴いた美しいピアノの音に導かれ、音楽室で一人ピアノを弾く唯川悟史と出会う。「ピアノを習いたい」というまっすぐな言葉をきっかけに、悟史はいぶきにピアノを教え始める。 ピアノと悟史への憧れを抱くいぶき。過去に何かを抱え、人前で弾けなくなっていた悟史。週に二回のレッスンを重ねるうちに、二人の距離は少しずつ縮まっていく。 夏に響く二人の音。

雪色のラブレター

hamapito
BL
俺が遠くに行っても、圭は圭のまま、何も変わらないから。――それでよかった、のに。 そばにいられればいい。 想いは口にすることなく消えるはずだった。 高校卒業まであと三か月。 幼馴染である圭への気持ちを隠したまま、今日も変わらず隣を歩く翔。 そばにいられればいい。幼馴染のままでいい。 そう思っていたはずなのに、圭のひとことに抑えていた気持ちがこぼれてしまう。 翔は、圭の戸惑う声に、「忘れて」と逃げてしまい……。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

告白ごっこ

みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。 ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。 更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。 テンプレの罰ゲーム告白ものです。 表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました! ムーンライトノベルズでも同時公開。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

守り守られ

ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師 患者 瀬咲朔 腸疾患・排泄障害・下肢不自由 看護師 ベテラン山添さん 準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん 木島 尚久 真幌の恋人同棲中

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

処理中です...