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発表会
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バレンタインを目前にした日曜日。
俺と青柳さんは、市民会館のホールにいた。
今日は唯川のピアノ教師の教え子の発表会だった。
青柳さんは唯川が招待した。
それに俺も青柳さんもびっくりしたが、きっと唯川の中で、青柳さんに見てほしいという思いがあったのだろうか。
最初に舞台に出てきたのはピアノ教師だった。
観客にお辞儀をして挨拶をしている。
高級車に乗って、サングラスをして、学校付近で唯川が出てくるのを待っている人。
フォーマルなドレスを着ていて素顔が見えた。
思ったより優しそうな雰囲気があった。
挨拶が終わった後、舞台の真ん中にあるグランドピアノに腰掛ける。
そして、ゆっくりとピアノを弾き始めた。
それは、唯川とはまた違う、キラキラとした音と、細やかな響きがする、上品で大胆な旋律だった。
とても今の自分のレベルで弾けるような曲ではなかった。
でも、頑張ればきっと届くのかもしれないと、この時は思えた。
「さすが元ピアニストだね」
青柳さんがじっくりと舞台を眺めている。
次々と、生徒が舞台に出てピアノを披露する。
俺よりずっと年下の子もいた。
ピアノをちゃんと練習しているのが伝わる。
──そして
唯川が出てきた。
ネイビーのスーツを着ている。
凛とした佇まい。
腕には誕生日にプレゼントした時計がされている。
ちゃんとした発表会に出るのは、これが再開後初めてだと言っていた。
唯川の顔が若干緊張している。
唯川が観客席の方に向いた。
その時目が合った。
俺は目を逸らさなかった。
唯川は観客にお辞儀をした後、ピアノの椅子に腰掛けた。
ホールが静まる。
唯川の手がゆっくりと動き出す。
唯川が弾いた曲。
それは
『別れの曲』だった。
俺にとって始まりの音。
唯川と巡り合わせてくれた曲。
初めて聞いた時は繊細だった。
二回目は優しかった。
今日は、暖かかい。
暖かく包まれるような旋律。
でも、それだけじゃない。
強く心に響く。
大きな流れの渦の中、今の唯川の音楽を全身で感じた。
ホール全体が唯川の世界になっていた。
……そして、柔らかく終わった。
会場から大きな拍手が鳴り響く。
俺も青柳さんも手を叩く。
また唯川と目が合った。
今度は微笑んでいた。
「唯川くん、やっぱすごいね」
青柳さんは唯川を見ながら、呟いた。
とても真剣な眼差しだった。
その後、何人か弾いた後、ピアノの発表会は幕を閉じた。
俺と青柳さんは、市民会館のホールにいた。
今日は唯川のピアノ教師の教え子の発表会だった。
青柳さんは唯川が招待した。
それに俺も青柳さんもびっくりしたが、きっと唯川の中で、青柳さんに見てほしいという思いがあったのだろうか。
最初に舞台に出てきたのはピアノ教師だった。
観客にお辞儀をして挨拶をしている。
高級車に乗って、サングラスをして、学校付近で唯川が出てくるのを待っている人。
フォーマルなドレスを着ていて素顔が見えた。
思ったより優しそうな雰囲気があった。
挨拶が終わった後、舞台の真ん中にあるグランドピアノに腰掛ける。
そして、ゆっくりとピアノを弾き始めた。
それは、唯川とはまた違う、キラキラとした音と、細やかな響きがする、上品で大胆な旋律だった。
とても今の自分のレベルで弾けるような曲ではなかった。
でも、頑張ればきっと届くのかもしれないと、この時は思えた。
「さすが元ピアニストだね」
青柳さんがじっくりと舞台を眺めている。
次々と、生徒が舞台に出てピアノを披露する。
俺よりずっと年下の子もいた。
ピアノをちゃんと練習しているのが伝わる。
──そして
唯川が出てきた。
ネイビーのスーツを着ている。
凛とした佇まい。
腕には誕生日にプレゼントした時計がされている。
ちゃんとした発表会に出るのは、これが再開後初めてだと言っていた。
唯川の顔が若干緊張している。
唯川が観客席の方に向いた。
その時目が合った。
俺は目を逸らさなかった。
唯川は観客にお辞儀をした後、ピアノの椅子に腰掛けた。
ホールが静まる。
唯川の手がゆっくりと動き出す。
唯川が弾いた曲。
それは
『別れの曲』だった。
俺にとって始まりの音。
唯川と巡り合わせてくれた曲。
初めて聞いた時は繊細だった。
二回目は優しかった。
今日は、暖かかい。
暖かく包まれるような旋律。
でも、それだけじゃない。
強く心に響く。
大きな流れの渦の中、今の唯川の音楽を全身で感じた。
ホール全体が唯川の世界になっていた。
……そして、柔らかく終わった。
会場から大きな拍手が鳴り響く。
俺も青柳さんも手を叩く。
また唯川と目が合った。
今度は微笑んでいた。
「唯川くん、やっぱすごいね」
青柳さんは唯川を見ながら、呟いた。
とても真剣な眼差しだった。
その後、何人か弾いた後、ピアノの発表会は幕を閉じた。
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