夜明けの旋律─二人の繋いだ手の先に待ち受けるもの─

七転び八起き

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並んで歩く

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 ホールのロビーで唯川を待つ。

 唯川が急いで来た。

「唯川お疲れ!」
「緊張した!」
 唯川は安心して胸を撫で下ろしていた。

「唯川くん、ピアノ最高だったよ。呼んでくれてありがとう」
 青柳さんが唯川に手を差し出す。

「ありがとうございます」
 唯川も手を出した。

 二人で握手を交わした。

 そして、青柳さんは一人先に会場から去ろうとしていた。

「青柳さん、今度またギターお願いします!」

 青柳さんが振り返る。

「いぶきくん。青いピックの奴、今度こっちに遊びに来るんだよ」
「え?」
「連絡が来たんだよ~」

 青柳さんは嬉しそうだった。

「じゃあピック返しましょうか?」
「いや、それはいぶきくんにあげたから、いぶきくんが使って。いぶきくんは俺のバンドメンバーなんだからさ」

 青柳さんが優しく微笑む。

「じゃあまたね」
 そう言って青柳さんは足早に去った。

 青柳さんが人混みに消えてゆく。

 唯川が隣に来た。

 青柳さんの後ろ姿をずっと眺めていた。


「唯川はこれからどうするの?」
「本当は発表会の後の打ち上げがあるんだけど、俺はそれには行かない」
「え、いいの?」

 唯川は頷く。

「いぶきと一緒にいたい」

 一瞬で顔が熱くなった。

「俺も唯川と一緒にいたい」
「先生達に、挨拶してくる。待っててくれる?」
「わかった」

 発表会の観客達がホールから駅に向かってどんどん流れていく。
 だんだんと車のライトや店の看板の明かりが灯る。
 寒さがぐっと増してきた。

「遅くなってごめん!」

 コートと鞄を持った唯川が戻ってきた。

「唯川」
「なに?」
「ありがとう」
「え?」
「俺を選んでくれて」

 唯川が恥ずかしそうにしている。

 唯川と並んで歩く。
 少し手が触れた。
 その手をしっかり握った。

 最初はただ戸惑っていた。
 でもやっと答えが出せた。

 恋人として、まだ始まったばかりの二人。

 一歩ずつ進んでいきたい。

 同じ歩幅で。
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