秘密の館の主に囚われて 〜彼は姉の婚約者〜

七転び八起き

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胸騒ぎ

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一ヶ月前の昼下がり。

庭の花に水を与えていた。

その時、馬車が家の屋敷の前に止まった。

中から出てきたのは、背が高くて端正な顔立ちの男性。

一流の服を着ている。

彼が今日来ることは事前に聞いていた。

姉の婚約者である。

公爵家の令息。

彼と目が合った。

吸い込まれるような瞳。

私はお辞儀をした。

そして急いで屋敷に戻った。

「お姉様、いらっしゃいました」

姉の部屋の前で声をかける。

暫くするとドアが開いた。

着飾った姉が立っている。

「ユミリア、あなたには関係のないことだから、大人しく部屋にでも篭ってなさい」

姉は私を冷たく突き放す。

美人で有名な姉、私以外の人に対しては人当たりがいい。

昔、姉の想い人に私が告白されてから、私たちの姉妹仲は悪くなった。

もちろん私は断ったが、元から姉妹仲はあまりよくなく、余計にそれが悪化した。

私が部屋に戻ろうとすると、姉の陽気な声が聞こえる。

そして両親の声。

あと、初めて聞く、低くて穏やかな声色。

「ユミリアも来なさい!」

父が呼ぶ。

姉には暗に来るなと言われているが、父の言葉には従わないといけない。

一階の客間に行くと、姉が不機嫌な顔を必死に隠している。

庭で会った方と従者。

「カウリス様ようこそいらっしゃいました」

父が笑顔で挨拶をする。

この方は公爵家の方であることは聞いていた。

姉とこの方が結婚することは、この家にとって都合が良いことなのだ。

「自然が豊かで素晴らしい土地ですね」

彼が笑顔で答える。

「ええ、是非これから好きなだけいらしてください」

父は満面の笑み。

公爵家との繋がりは、今後の生活を大きく左右する。

ふと視線を感じた。

彼が私を見ている。

刺すような視線。

私は目を逸らした。

何を考えてるの……?

「式の日取りはいつにしましょうか」

姉が彼を見て頬を染めている。

「そうですね……三ヶ月後の七月はいかがでしょう?」

「それはいい!雨季も過ぎて天気も安定している」

なぜ私はここに呼ばれたのだろう。

人形のように立つ。

私もこの方との繋がりで、上流階級の方との縁談が持ち上がるかもしれない。

そんなところだろうか。

姉の機嫌を損なわない程度に、好印象を与えないと……。

私は作り笑顔を浮かべた。

そのまま時間は過ぎ、彼は紅茶を飲んだ後、屋敷を出た。

「ではまた参ります」

「カウリス様、お待ちしてます」

姉は寂しそうだ。

馬車は走り出した。

馬車の窓から彼の顔が見えた。

また見ている、私を。

怖い。

胸騒ぎがする。

この人とはもう会ってはいけない。

そう頭が警鐘を鳴らす。

私は急いで屋敷に戻った。
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