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3章 ルルの故郷と恋〜主人公無双が止まらない〜
36.知らない感情
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俺とルルは、準備を終え、街の門の外まで来た。
穂花と暎斗も見送りに来てくれている。
「さあ行こうか、と言いたいところだけどその荷物は何?」
俺は隣で「準備万端!!」とばかりに胸を張るルルに目を向けて声をかけた。
「何か変ですか?」
ルルは不思議そうに答える。
そのルルの背中には大人が丸々入りそうなほどの大きさのリュックが乗っている。
「背中のリュックには何が入ってるの?」
俺はそう聞かずにはいられなかった。
「えっと、着替えと日用品、それから寝袋と大量の鈴、あっ、あとボールも持ってきました!!」
ルルはそう答えた。
最初の方は分かるが、最後の2つは絶対いらないだろ。
「鈴とボールは要らなくない?」
「必要です!!鈴は熊除けならぬ魔物除けになりますし、ボールは暇つぶし用の遊び道具です!!」
ルルは自信を持って答えたが、俺には理解できなかった。
鈴で追い払えるなら、苦労しないだろうに。
それにボールで暇つぶしって、やっぱり猫だろ。
ただ、ルルが一生懸命に考えて持ってきたものを頭ごなしに否定するのも気が引けて、それを伝える事はしなかった。
「そっか、じゃあアイテムボックスに入れちゃうから貸して。そんな大荷物持ってたら通行の邪魔になっちゃうから仕舞うよ」
「ありがとうございます」
俺はルルからリュックを受け取ってアイテムボックスに入れた。
多分、使う事はなさそうだが、一応持っていく。
「じゃあ、改めて出発しようか」
「はい!」
「じゃあ、2人とも行ってくるよ」
俺は後ろで成り行きを見つめていた穂花と暎斗に振り返って言った。
「おう、気をつけてな」
「いってらっしゃい、出来るだけ早く帰ってきてね」
2人はそれぞれの言葉で送り出してくれた。
ちなみに今回の遠出はそれなりに時間がかかる予定だ。
魔物の処理もそうだが、被害を受けた村の復興に少し手を貸すかも知れないので、1週間ほど留守にする事になる。
ちなみに、その間スーにはあの不動産の動向を調べてもらう事にした。
スーが戻らない事で、あの店主がどんな行動を取るか予測がつかないので、スーに見張ってもらう事にしたのだ。
そんなわけで、俺たちは出発する。
「じゃあ、ルル行くよ」
「はい!」
俺はそう言ってルルを抱き上げた。
「キャっ!!」
なんの前触れもなく抱きかかえられたルルは可愛く悲鳴を上げた。
誤解はしてほしくないのだが、決してやましい気持ちでやっているわけではない。
転移するのに、ある程度体を密着させる必要があるのだ。
かと言って、抱きつくのはダメだろうから、ギリギリ許されそうなお姫様抱っこを選んだ訳だ。
しかも、「何でもする」と言質はとってある(33話参照)。
全く俺に非はない。
だが、穂花の中ではそうではなかったようだ。
「ハルくん?どういうつもり?」
穂花は黒いオーラを出して声を震わせながら言った。
呼び方も『ハルくん』になっている。
相当感情が荒れているらしい。
隣の暎斗が目をギョッとさせている。
「ごめん、穂花。『転移』!!」
俺はその場を収められる気がしないので、逃げるように転移した。
「「「転移魔法!?」」」
重い空気の中で、3人の声が揃う。
あっ、転移魔法はみんなの前では使うのは初めてだっけ。
説明するの忘れてた。
帰ったら説明しよう。
と、締まらない形で俺とルルの旅は始まった。
残された穂花と暎斗は、転移してしまったラウトとルルがいた場所をしばしボーッと見つめた後、我に返った。
「ラウトって、転移魔法使えるんだな」
「う、うん」
「あれって、大規模魔法じゃなかったか?」
「そうだね」
大規模魔法とは、名のある魔法使いを何百人も集めてようやく成立するような、その名の通り大規模な魔法の事で、必要な魔力が途轍もなく多いのが特徴だ。
これを一人で行使できるラウトの異常さは言わなくても分かるだろう。
「抱っこ・・・羨ましい・・・」
「転移魔法のために抱っこしたみたいだぞ。許してやれよ」
「うん・・・」
「穂花はラウトのこと好きなのか?」
納得し難いという様子の穂花に暎斗は聞いた。
「分からない・・・好きなはずなのに、嫌いになろうとする感情があるの。まるで自分以外の誰かが私の心の中にいるみたい」
「それ、俺もたまに感じるぞ。何なんだろうな・・・」
穂花と暎斗は考え込むが、結局答えは見つからず、モヤモヤした気持ちを抱えて屋敷に戻った。
穂花と暎斗も見送りに来てくれている。
「さあ行こうか、と言いたいところだけどその荷物は何?」
俺は隣で「準備万端!!」とばかりに胸を張るルルに目を向けて声をかけた。
「何か変ですか?」
ルルは不思議そうに答える。
そのルルの背中には大人が丸々入りそうなほどの大きさのリュックが乗っている。
「背中のリュックには何が入ってるの?」
俺はそう聞かずにはいられなかった。
「えっと、着替えと日用品、それから寝袋と大量の鈴、あっ、あとボールも持ってきました!!」
ルルはそう答えた。
最初の方は分かるが、最後の2つは絶対いらないだろ。
「鈴とボールは要らなくない?」
「必要です!!鈴は熊除けならぬ魔物除けになりますし、ボールは暇つぶし用の遊び道具です!!」
ルルは自信を持って答えたが、俺には理解できなかった。
鈴で追い払えるなら、苦労しないだろうに。
それにボールで暇つぶしって、やっぱり猫だろ。
ただ、ルルが一生懸命に考えて持ってきたものを頭ごなしに否定するのも気が引けて、それを伝える事はしなかった。
「そっか、じゃあアイテムボックスに入れちゃうから貸して。そんな大荷物持ってたら通行の邪魔になっちゃうから仕舞うよ」
「ありがとうございます」
俺はルルからリュックを受け取ってアイテムボックスに入れた。
多分、使う事はなさそうだが、一応持っていく。
「じゃあ、改めて出発しようか」
「はい!」
「じゃあ、2人とも行ってくるよ」
俺は後ろで成り行きを見つめていた穂花と暎斗に振り返って言った。
「おう、気をつけてな」
「いってらっしゃい、出来るだけ早く帰ってきてね」
2人はそれぞれの言葉で送り出してくれた。
ちなみに今回の遠出はそれなりに時間がかかる予定だ。
魔物の処理もそうだが、被害を受けた村の復興に少し手を貸すかも知れないので、1週間ほど留守にする事になる。
ちなみに、その間スーにはあの不動産の動向を調べてもらう事にした。
スーが戻らない事で、あの店主がどんな行動を取るか予測がつかないので、スーに見張ってもらう事にしたのだ。
そんなわけで、俺たちは出発する。
「じゃあ、ルル行くよ」
「はい!」
俺はそう言ってルルを抱き上げた。
「キャっ!!」
なんの前触れもなく抱きかかえられたルルは可愛く悲鳴を上げた。
誤解はしてほしくないのだが、決してやましい気持ちでやっているわけではない。
転移するのに、ある程度体を密着させる必要があるのだ。
かと言って、抱きつくのはダメだろうから、ギリギリ許されそうなお姫様抱っこを選んだ訳だ。
しかも、「何でもする」と言質はとってある(33話参照)。
全く俺に非はない。
だが、穂花の中ではそうではなかったようだ。
「ハルくん?どういうつもり?」
穂花は黒いオーラを出して声を震わせながら言った。
呼び方も『ハルくん』になっている。
相当感情が荒れているらしい。
隣の暎斗が目をギョッとさせている。
「ごめん、穂花。『転移』!!」
俺はその場を収められる気がしないので、逃げるように転移した。
「「「転移魔法!?」」」
重い空気の中で、3人の声が揃う。
あっ、転移魔法はみんなの前では使うのは初めてだっけ。
説明するの忘れてた。
帰ったら説明しよう。
と、締まらない形で俺とルルの旅は始まった。
残された穂花と暎斗は、転移してしまったラウトとルルがいた場所をしばしボーッと見つめた後、我に返った。
「ラウトって、転移魔法使えるんだな」
「う、うん」
「あれって、大規模魔法じゃなかったか?」
「そうだね」
大規模魔法とは、名のある魔法使いを何百人も集めてようやく成立するような、その名の通り大規模な魔法の事で、必要な魔力が途轍もなく多いのが特徴だ。
これを一人で行使できるラウトの異常さは言わなくても分かるだろう。
「抱っこ・・・羨ましい・・・」
「転移魔法のために抱っこしたみたいだぞ。許してやれよ」
「うん・・・」
「穂花はラウトのこと好きなのか?」
納得し難いという様子の穂花に暎斗は聞いた。
「分からない・・・好きなはずなのに、嫌いになろうとする感情があるの。まるで自分以外の誰かが私の心の中にいるみたい」
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