世界最強だけど我が道を行く!!

ぶちこめダノ

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4章 商人ピエールの訪れ

70.やっぱり許せなくて

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エラを買うことに決まったので、俺は店主に声をかけた。
それを聞いた、店主は機嫌良く手続き始める。
エラは片腕を失くしているので他の奴隷より価値が低い。
そのせいで処理に困っていたと話す店主を俺は冷ややかに見ていた。
やはり、人をモノ扱いするのこの世界の価値観が俺は嫌いだ。
でも口には出さず、ただ手続きが終わるのを待った。


「では奴隷登録を行います。ささ、地下に参りましょう」


店主はいくつかの書類を処理すると、また地下へ催促する。
地下に戻るとスーとエラは何やら話をしていた。もう既に距離感がなくなっているように見える。


そこに店主が割り込む。


「悪いけど、少し離れてくれるかね。奴隷契約を結ばないといけないから」


スーはそう言われて、俺の方に戻ってきた。
ちなみに、俺の血はリフレッシュの魔法で綺麗にしてある。

店主はエラの首元に魔導具を押し付ける。
少しエラの顔が歪む。


「少し奴隷紋を身体に刻む時に痛みがあるでしょうが、我慢して下さい」


店主はそう言って作業を続ける。
30秒ほどでそれは完了して、エラの首元にはスーの身体にもあったような紋様が刻まれていた。


「これで契約は完了です。こちら契約書です」


そう言って店主は俺に一枚の紙を差し出す。
そこにはエラの所有権が俺にある、と言った内容の文章と、エラの値段が書かれていた。その額は金貨400枚。
俺は同額の金貨が入った袋を店主に手渡す。

そしてエラに近づいて、首につけられた拘束用の鎖を解く。


「なっ!?」


俺が鎖を解いたことに店主は驚いた。
まあ、魔法で普通には解錠できない構造になっていたので、専用のキーがなければ普通は解けないはずだ。
驚くのは当たり前だ。


「今日はありがとうございました。じゃあ、帰ろうか」


俺は驚愕する店主を無視してスーやエラと共に店の外に出た。


「ラウト様、怒ってる?」


スーがいつもと違う俺の雰囲気にそう聞いてきた。


「ごめんね、やっぱり奴隷制度ってなんか許せなくて」


奴隷がこの世界ではあるべき物として存在しているのを頭では理解できても、感情はやはり否定していたのだ。
日本人として当たり前の道徳心はなかなか捨てきれなかった。
でも、それはスーやエラには関係のないことなので、その考えを振り払って話を変える。


「それより服を買いに行こうか。エラさんの服がないし、スーも私服は持ってないから」


「ラウト様に選んで欲しい」


「スーがそれでいいなら頑張って選ぶけど、あんまり期待しないでね」


「ラウト様が選んでくれた物なら何でもいい」


スーは何故か俺の選んだ服を着たいようだ。
そんな会話をしているとおずおずとエラも口を挟む。


「ラウトさん、私も選んで欲しいです」


「えっ、どうしてですか?」


「私も服はいつも両親が選んでくれていたので、勿論選んでいただいた服に文句を言ったりは絶対にしません」


「いや、気に入らなかったら言って欲しいんだけど」


「ダメですか?」


「選ぶのは構わないんだけど、その、サイズとか分からないよ?」


俺は少しエラから視線を逸らしながら言う。
エラは俺の言葉を理解しかねていたが、すぐに胸の大きさの話だと気づいて顔を赤くする。
エラの胸はかなり大きく、仲間の中では断トツだ。


「ごめんなさい、自分で選んでみます」


「こっちこそごめんね」


「・・・胸」


俺とエラのやり取りを見ていたスーは自分の胸を見て呟く。
スーの胸はまだ成長を躊躇っているらしく、女の子の片鱗すらあらわしていない。
スーは気にしているのかも知れないが、歳を考えれば小さいのは当然である。
デリケートな話なので俺は口を出さないが、スーは不満げだった。

その後、服屋でスーには黒を基調としたワンピースと冬用のコートを買ってあげた。
エラはシンプルなシャツやスカートと、下着をいくつか選んだみたいだ。


服屋を出ると暗くなり始めていた。
あまり遅くなると穂花達が心配するし、食事の準備を任せっきりにするのは気が引ける。
俺たちは急いで地下シェルターに向かった。
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