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4章 商人ピエールの訪れ
75.防衛戦の幕開け
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魔力探知に引っ掛かった魔石の反応は2つ。
街の西と東にひとつずつだ。
西側の魔石の方が街に近いので、魔物の到達が早いのはそっちだろう。
そうなると、冒険者達は西側に集まり、東に魔物が現れた時の対処が遅れて被害が出る可能性が高い。
もし、被害が出るのが分かっていて位置をズラしているのだとしたら、それはもう悪どい商売の域を出て殺人やテロに近い行為である。
俺は屋敷にみんなを集めて状況を説明する。
「街に魔物が来るのは今日の夜中か明日の早朝になると思う。穂花と暎斗、ルルには西側の魔物の対処を頼みたい。多分、他の冒険者達もそっちに集まるから、危険は少ないと思う」
「ラウトはどうするんだ?」
「俺は東側を何とかする」
「なら任せた。俺らは西側に専念してればいいな」
暎斗は俺が魔物にやられる心配を全くしていないらしい。
まぁ実際、何の心配もないのだが。
ダンジョンで何千何万というモンスターを相手に無双してきた俺が今さら地上の魔物に後れをとる筈もない。
「エラは屋敷にいて欲しい。混乱に乗じて屋敷に侵入してくる奴がいるかもしれないから、その時は前に教えた結界の魔法で屋敷を守って欲しい」
「分かりました」
結界魔法は空間魔法や風魔法に属する魔法で、エラは風魔法の適性が高く、エルフという種族の特性として魔力が高いので、暇な時に教えたらすぐ出来るようになった。
「スーは万が一街に魔物が侵入した時に気づけるように、街全体を見渡せる場所で状況を見て、何かあったら知らせる役割を頼むよ」
「分かった」
スーの役割は何もなければする事はないが、なくてはならない役割である。
俺も魔力探知で様子を見つつ行動するつもりだが、直接見るより得られる情報は限られている。
これで魔物の対処は出来る筈だ。
後は、ピエールや不動産屋の店主らの処理を考えないといけない。
不動産屋の店主に関しては、魔物の対処が長期化しない限り、冒険者は既に武器を持っているから、新たに買う人間はそこまで多くないだろうから、放っておいても問題はなさそうだ。
しかし、ピエールは魔物を差し向けたことと言い、放って置く訳にはいかない。
そこで俺はピエールを追ってた少女がいた事を思い出す。
姿こそ見ていないが、気配の消し方や身のこなしから訓練を受けた暗殺者だと考えている。
ならば、放っておいても死ぬんじゃないかとも思うが、用心棒もかなり腕が立つから確率としては五分五分だろう。
もし、少女が殺し損ねたら少し手助けをしてあげる位はしても良いか、とか考えていた。
その日の夜、街は冒険者ギルドを中心に騒ぎが起きていた。
『緊急クエストです!!この街に魔物の群れが接近しています。その数は数百。冒険者の皆さんは至急、ギルドのロビーに集まってください!!』
ギルドから街全体に響く放送が流れ、街が騒めく。
慌ただしく店を閉める者や武器を片手にギルドへ走る者など、どの人を見ても落ち着きを失っている。
そんな中、唯一、落ち着きを保っている人間が3人。
「おい、ヒノマルの2人だ!!」
「本当だ!」
「Aランク冒険者のお出ましだぞ!!」
ギルドに暎斗と穂花が入ると今までの張り詰めた空気が嘘のように弛緩する。
それも当然だ。
なにせ2人はこの街に4人しかいないAランク冒険者なのだから。
穂花達以外のAランク冒険者は引退間近の往年の冒険者であるため、若い穂花達に向く期待は非常に高い。
「冒険者さんが沢山集まってますね!」
穂花と暎斗に注目が集まる中、我関せずと言わんばかりにギルドを見回すルルは、それでも実力で穂花達と肩を並べる猛者である。
「冒険者の皆さん、夜分に集まっていただきありがとうございます。皆さんには街の防衛に当たってもらいたいと思います。なので、その際の陣形や配置と、報酬についてお話しさせていただきますね」
職員が冒険者が集まったのを確認して放送を始める。
それに全ての冒険者が耳を傾ける。
「ーー以上が陣形についてです。最後に報酬についてです」
「おぉ!!」
職員の『報酬』という言葉に冒険者は反応して騒めく。
「このクエストを生還した冒険者にはランクに関わらず金貨100枚をお渡しします。さらに倒した魔物の素材の買取りは別に払いますので、さらに報酬は上がると思われます」
「100枚ってマジか!?」
「生き残るしかねぇな!!」
「ただし!」
大いに盛り上がる冒険者を職員の声が静める。
「魔物を一体も倒せなかった冒険者に報酬は出ません。一体でも倒して生き残ってください!!これでギルドからのお知らせは終わりです。各自、戦闘の準備に取り掛かってください!!」
「「「うぉぉぉ!!!」」」
冒険者達の士気は急上昇する。
金貨100枚は大金だ。
冒険者が半年間で稼げる金貨が丁度この位だということを考えれば破格なのが分かる。
「金貨100枚ですよ!凄いです!!」
ルルも大はしゃぎしている。
こうして突如始まった街の防衛戦は幕を開けた。
街の西と東にひとつずつだ。
西側の魔石の方が街に近いので、魔物の到達が早いのはそっちだろう。
そうなると、冒険者達は西側に集まり、東に魔物が現れた時の対処が遅れて被害が出る可能性が高い。
もし、被害が出るのが分かっていて位置をズラしているのだとしたら、それはもう悪どい商売の域を出て殺人やテロに近い行為である。
俺は屋敷にみんなを集めて状況を説明する。
「街に魔物が来るのは今日の夜中か明日の早朝になると思う。穂花と暎斗、ルルには西側の魔物の対処を頼みたい。多分、他の冒険者達もそっちに集まるから、危険は少ないと思う」
「ラウトはどうするんだ?」
「俺は東側を何とかする」
「なら任せた。俺らは西側に専念してればいいな」
暎斗は俺が魔物にやられる心配を全くしていないらしい。
まぁ実際、何の心配もないのだが。
ダンジョンで何千何万というモンスターを相手に無双してきた俺が今さら地上の魔物に後れをとる筈もない。
「エラは屋敷にいて欲しい。混乱に乗じて屋敷に侵入してくる奴がいるかもしれないから、その時は前に教えた結界の魔法で屋敷を守って欲しい」
「分かりました」
結界魔法は空間魔法や風魔法に属する魔法で、エラは風魔法の適性が高く、エルフという種族の特性として魔力が高いので、暇な時に教えたらすぐ出来るようになった。
「スーは万が一街に魔物が侵入した時に気づけるように、街全体を見渡せる場所で状況を見て、何かあったら知らせる役割を頼むよ」
「分かった」
スーの役割は何もなければする事はないが、なくてはならない役割である。
俺も魔力探知で様子を見つつ行動するつもりだが、直接見るより得られる情報は限られている。
これで魔物の対処は出来る筈だ。
後は、ピエールや不動産屋の店主らの処理を考えないといけない。
不動産屋の店主に関しては、魔物の対処が長期化しない限り、冒険者は既に武器を持っているから、新たに買う人間はそこまで多くないだろうから、放っておいても問題はなさそうだ。
しかし、ピエールは魔物を差し向けたことと言い、放って置く訳にはいかない。
そこで俺はピエールを追ってた少女がいた事を思い出す。
姿こそ見ていないが、気配の消し方や身のこなしから訓練を受けた暗殺者だと考えている。
ならば、放っておいても死ぬんじゃないかとも思うが、用心棒もかなり腕が立つから確率としては五分五分だろう。
もし、少女が殺し損ねたら少し手助けをしてあげる位はしても良いか、とか考えていた。
その日の夜、街は冒険者ギルドを中心に騒ぎが起きていた。
『緊急クエストです!!この街に魔物の群れが接近しています。その数は数百。冒険者の皆さんは至急、ギルドのロビーに集まってください!!』
ギルドから街全体に響く放送が流れ、街が騒めく。
慌ただしく店を閉める者や武器を片手にギルドへ走る者など、どの人を見ても落ち着きを失っている。
そんな中、唯一、落ち着きを保っている人間が3人。
「おい、ヒノマルの2人だ!!」
「本当だ!」
「Aランク冒険者のお出ましだぞ!!」
ギルドに暎斗と穂花が入ると今までの張り詰めた空気が嘘のように弛緩する。
それも当然だ。
なにせ2人はこの街に4人しかいないAランク冒険者なのだから。
穂花達以外のAランク冒険者は引退間近の往年の冒険者であるため、若い穂花達に向く期待は非常に高い。
「冒険者さんが沢山集まってますね!」
穂花と暎斗に注目が集まる中、我関せずと言わんばかりにギルドを見回すルルは、それでも実力で穂花達と肩を並べる猛者である。
「冒険者の皆さん、夜分に集まっていただきありがとうございます。皆さんには街の防衛に当たってもらいたいと思います。なので、その際の陣形や配置と、報酬についてお話しさせていただきますね」
職員が冒険者が集まったのを確認して放送を始める。
それに全ての冒険者が耳を傾ける。
「ーー以上が陣形についてです。最後に報酬についてです」
「おぉ!!」
職員の『報酬』という言葉に冒険者は反応して騒めく。
「このクエストを生還した冒険者にはランクに関わらず金貨100枚をお渡しします。さらに倒した魔物の素材の買取りは別に払いますので、さらに報酬は上がると思われます」
「100枚ってマジか!?」
「生き残るしかねぇな!!」
「ただし!」
大いに盛り上がる冒険者を職員の声が静める。
「魔物を一体も倒せなかった冒険者に報酬は出ません。一体でも倒して生き残ってください!!これでギルドからのお知らせは終わりです。各自、戦闘の準備に取り掛かってください!!」
「「「うぉぉぉ!!!」」」
冒険者達の士気は急上昇する。
金貨100枚は大金だ。
冒険者が半年間で稼げる金貨が丁度この位だということを考えれば破格なのが分かる。
「金貨100枚ですよ!凄いです!!」
ルルも大はしゃぎしている。
こうして突如始まった街の防衛戦は幕を開けた。
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