世界最強だけど我が道を行く!!

ぶちこめダノ

文字の大きさ
84 / 117
5章 冒険者らしい活動もしようよ!!

83.得たものと失ったもの

しおりを挟む
魔物騒動から数週間が経ち、街はすっかり元の賑やかさを取り戻していた。

少し前にピエールは街の近くで見るも無惨な姿で発見され死亡の噂は街を飛び出て世界中に広まった。

そのせいもあり、ピエールを退けた街として話題になり、むしろ前よりも活気が増した気すらする。
街を離れていた人は戻って来たし、新たにこの街にやって来た人もいるようだ。

一応、ピエールは事故死という事になっているが、死因について色んな噂が飛び交っているのが現状だ。
その真相を知るのは世界で俺とヒアの2人だけなので、噂は噂のままになるだろう。









「これとこれの受注をお願いします」


「はい、鉱石採掘と討伐クエストですね」


俺はルルと冒険者ギルドに来ていた。
今日は穂花と暎斗はいない。

冒険者ランクがAである穂花達とEランクの俺たちが一緒に受けれるクエストは限られているので、そろそろ本格的にランク上げをしようと言うことになった。

俺もルルも実力は申し分ないので、すぐに上げられるだろうが、ちょっと問題があった。

それは先の魔物騒動のせいで、周辺に魔物が居なくなってしまった事である。
なので、今回は転移魔法で遠出して魔物を討伐する必要がある。


「受注完了しました。お気をつけて」


手続きを終えて街を出る。


「じゃあルル、行くよ」


「はい!お願いします」


俺はルルを抱きかかえるが、事前に説明していたのでビックリされる事もない。
転移魔法を発動して一気に目的地に移動する。


目的地に着いてルルを地面に下ろし、目の前にあるものを見る。


「ここか・・・」


俺はそれを見て呟く。
そこには石の隙間のような場所があり、先は真っ暗で何も見えない。
実はこの先は異空間に繋がっている。

今回の目的地は俺にはあまり良い思い出がない場所ーーそう、ダンジョンなのだ。


ここは俺たちがいるガドラス王国に7つあるダンジョンのうちの一つで、貴重な鉱石が採掘できることで有名な場所だ。

しかし、場所が場所なので来る人はほとんどいない。

なにせ4000メートル級の山脈に囲まれた盆地にあるのだ。
誰も来たがらないのも納得だ。


「入ろうか」


「はい!」


俺はルルに声をかけて、ダンジョンに入るための魔法を発動する。

すると、独特な浮遊感の後に景色が変わる。
懐かしい感覚だ。



中は光の入り込む場所がないにも関わらず、真っ暗ではない。
その理由はダンジョンの壁や床などに埋まった鉱石が光を放っているからだ。

鉱石により出す光の色が違うので幻想的だ。


「綺麗ですね、ラウトさん」


「そうだね」


「この辺の鉱石から採掘するんですか?」


「いや、もっと下層にある貴重な鉱石を採掘するつもり。下層の方が魔物も多いしね」


今回は鉱石採掘と討伐クエストの2つを受注しているので、下層に行った方が効率も成果も上がる。
ルルは「了解です!」と元気よく答える。


魔力探知のおかげで、地図がなくても迷うこともなく進める。

途中で何体かモンスターと出会ったが、ルルが一撃で倒した。

ダンジョンに潜るのが初めてのルルはモンスターを倒しても死体が残らず、アイテムがドロップする事に驚いていた。


その後、最短で下層に辿り着いた俺たちは早速、鉱石採掘を始める。

モンスターを探して歩き回るのではなく、採掘をしながらモンスターが通り掛かるのを待つ作戦だ。


俺はコツコツと壁に埋まった鉱石の周りの土を削って、鉱石を傷つけないように気をつけながら慎重に掘り進める。
そんな作業をしていると、


ーードゴーンッ!!


近くで物凄い音がした。
慌ててそっちを見ると壁に大きな窪みができていた。
そして、その前でルルが屈んで何かを探すように崩れた土の塊を探っている。

すると何かを見つけて駆け寄ってきた。


「見てください!綺麗に採れました!!」


ルルは水色の綺麗な鉱石を手に乗せて見せてくれた。
確かに綺麗に採れている。

だが、俺は頭を抱える。
ルルがさっき探っていた場所にはキラキラとした粒のような物がたくさん光っている。
おそらく粉々になった鉱石だろう。


「ねぇ、ルル。壁を思いっきりパンチしたの?」


「はい!成功です!!」


ルルは自信満々にそう言う。

だけどねルル、得た鉱石より失った鉱石の方が多いんだ。

でも嬉しそうなルルにそれを指摘するのも気が引けて、あえて言ったりはしない。

苦笑いで「良かったね」と返す。


まあ、鉱石採掘としては失敗だが、ある意味成功ではあった。

なぜならさっきの音でモンスターが集まってきていたのだ。


俺はルルの採った鉱石をアイテムボックスに仕舞って、モンスターが来ることをルルに伝えた。

しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

処理中です...