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後編 一件落着ですかね。
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「国王。お話があります。」
「リアン。それに……二人とも地下牢にいたはずじゃ……どうやって抜け出してきた!?」
「それはご想像にお任せします。一つアドバイスをするなら、今度からはもっと頑丈な地下牢を用意したほうがいいですよ。」
「衛兵!こいつらを捕らえよ!」
「はっ!」
「国王、話を聞いてください。」
「実の兄を傷つけるやつの話なんぞ聞きたくないわ!」
ん?何か来る。
「こ、この黒煙は…衛兵!」
国王がこんなに慌ててるってことは、もしかして魔王登場って感じ?なんかタイミング良すぎない?
って本当に登場しちゃった。けっこう想像通りだな。全身真っ黒い衣装で人型。角がくるんと2本生えてて、イケメン。あー倒すのがもったいない。
『この国を統べるものの命を頂きに来た。前に来るが良い。』
流石に国王が自ら命を差し出すとは思えないですよ。魔王さん。
「衛兵よ!かかれ!」
「はっ!」
数十人の衛兵さんが魔王に向かって刀一本で戦いに挑もうとしてるけど、流石にやられるのでは?だって相手魔王だよ?
『邪魔だ。』
すご。魔王が手を一降りしただけで衛兵たちが吹っ飛んじゃった。
『貴様か。この国の王は。』
魔王さん、正解です。
国王さん、怯えすぎです。
「わ、わしではない。く、国は彼奴に譲ったのだ。」
おー長男指さしてるじゃん。ここに来て裏切るねー。
「ち、父上?私が国王ですか?」
「あ、ああ。なりたいと言っていたろ?譲ってやるわい。」
『そうか。消えろ。』
魔王かっこよ。長男を消そうとしてる。
「あぁ待ってくれ魔王よ。国王はあいつだ。」
今度は長男がリアンさんを指したよ。長男が国王だった時間って史上最短じゃない?
『本当か?』
魔王迫力満点だな。
「そ、そうだ。私が国王だ。国民には指一本触れさせない。」
リアンさん言い切ったね。かっこいいぞ。
『そうか。2人ともご苦労。目障りだ。消えろ。』
え、魔王強すぎない?一瞬でお父さんの方を消しちゃったよ。まーでもちょっとすっきりした。魔王感謝。
「ま、ま、ま、待て。落ち着け。貴様にいいことを教えてやる。」
『ほう?』
長男何を言う気なんだろ。
「お前の敵は俺じゃない。本当の敵はあの女だ。」
私ですか?
『あの小娘が?なぜそう言い切れる。』
「あ、あいつは聖女だ。あいつにかかればお前なんか一瞬で消される。だよな?お前自分で聖女って言ってたもんな!」
「ま、確かに聖女だって言いました。でも、あなたは私より魔道具を信じたはずでは?」
「あ、あれは父上が勝手に言っただけで、俺は信じてたんだ。な?頼むよ。魔王を倒してくれ。もちろん、それ相応の謝礼をする。」
「謝礼?」
「あぁ。何でも好きなものを言ってくれ。」
「あなたはもう国王でもないのに、私の望むものを与えられると?」
「そ、それは……物にもよるが……。」
「リアンさん、どうします?」
「え、私ですか?」
「今の国王はあなたです。どうしますか?」
「えっと……。」
「リアン、俺のかわいい弟よ。助けてくれるよな?」
「それは……。」
「いいから俺を助けろ!お前なんかより俺の方がずっと価値があるんだ。助けるのは当然だろ!」
その考えはどこから来るんだ。
「私は、この国をよくしたいと考えています。」
「ああ、もちろん俺も同じ考えだ。」
「嘘だ!兄さんは傲慢だ。国民が汗水流して納めた税金を自分の贅沢のためにしか使わない。そんなんじゃ国はよくならない。」
「あぁ。そうか。お前も贅沢したかったんだろ?一緒に、」
「嫌だ!……兄さんはどこまで行っても兄さんだね。」
「なんだと?」
「この国に、兄さんはいらない。」
『結論が出たみたいだな。残念だ。』
「ま、待て……」
さよなら長男。魔王に跡形もなく消されちゃったね。
『さて、この状況からどうやって国民を守ると?』
「そ、それは…」
リアンさんの決意も聞けたし、そろそろ私の出番かな。
「魔王さん。そろそろお引き取り頂いても宜しいですか?」
『小娘よ。聖女だろうが俺には関係ない。消されたいのか?』
「その言葉、そっくりそのまま返しますよ。今すぐお家に帰らないと、…消すよ?」
『ふっ。面白い小娘だ。なかなか度胸がある。』
いや、本気で言ってるんだけどな。
「じゃー、試してみます?」
『ふっ、よかろう。一つお前に教えといてやる。』
「はい?」
『聖女だからって強さはピンキリだ。見るからにお前は俺の敵ではない。』
「ご忠告ありがとうございます。さようなら。魔王さん。」
あ、思ったより最大出力の聖魔法ってまぶしい。
『う、嘘だ……この俺があんな小娘に……。』
なんかあっけなかったな。魔王倒せたのかな?跡形もなくいなくなったけど…。
「す、すごい。今のはマヤさんが?」
「おかげさまで。聖女なんで。」
「ありがとうございました。やっぱり聖女様だったんですね。」
「だからそういったじゃないですか。地下牢の鍵のくだりで信じてくれてたんじゃ…」
「もちろん信じていました。ただ私が言いたかったのは…いえ、おっしゃる通りですね。信じてるって口では言いながら心のどこかに信じていない自分がいたんだと思います。本当に申し訳ありません。」
「いいですよ。そうやって自分の非を認められる人は少ないですからね。いい国王になると思いますよ。」
「ありがとうございます。あの、どうしてそんなに冷静でいられるのですか?」
「どうしてでしょう。まだこの世界に来たばかりで、現実味がないからでしょうか…」
「なるほど?それに、聖魔法のやり方もご存じだったんですか?」
「うーん。なぜか不思議と使い方がわかったんですよね。」
まるで、以前から使えたみたいに。
「ふふ。さすがです。」
なんか褒められた。
「いい国、作ってくださいね。」
「あの、私と一緒に作って頂けませんか?」
「私、国作りに興味ないので、結構です。」
「え…」
そんなに驚くことじゃないよね。それに、
「せっかくこの世界に来たので、世界中を旅します。」
「そうですか。では、貴方が旅から帰ってくるまでにいい国にしておきます。」
「リアン。それに……二人とも地下牢にいたはずじゃ……どうやって抜け出してきた!?」
「それはご想像にお任せします。一つアドバイスをするなら、今度からはもっと頑丈な地下牢を用意したほうがいいですよ。」
「衛兵!こいつらを捕らえよ!」
「はっ!」
「国王、話を聞いてください。」
「実の兄を傷つけるやつの話なんぞ聞きたくないわ!」
ん?何か来る。
「こ、この黒煙は…衛兵!」
国王がこんなに慌ててるってことは、もしかして魔王登場って感じ?なんかタイミング良すぎない?
って本当に登場しちゃった。けっこう想像通りだな。全身真っ黒い衣装で人型。角がくるんと2本生えてて、イケメン。あー倒すのがもったいない。
『この国を統べるものの命を頂きに来た。前に来るが良い。』
流石に国王が自ら命を差し出すとは思えないですよ。魔王さん。
「衛兵よ!かかれ!」
「はっ!」
数十人の衛兵さんが魔王に向かって刀一本で戦いに挑もうとしてるけど、流石にやられるのでは?だって相手魔王だよ?
『邪魔だ。』
すご。魔王が手を一降りしただけで衛兵たちが吹っ飛んじゃった。
『貴様か。この国の王は。』
魔王さん、正解です。
国王さん、怯えすぎです。
「わ、わしではない。く、国は彼奴に譲ったのだ。」
おー長男指さしてるじゃん。ここに来て裏切るねー。
「ち、父上?私が国王ですか?」
「あ、ああ。なりたいと言っていたろ?譲ってやるわい。」
『そうか。消えろ。』
魔王かっこよ。長男を消そうとしてる。
「あぁ待ってくれ魔王よ。国王はあいつだ。」
今度は長男がリアンさんを指したよ。長男が国王だった時間って史上最短じゃない?
『本当か?』
魔王迫力満点だな。
「そ、そうだ。私が国王だ。国民には指一本触れさせない。」
リアンさん言い切ったね。かっこいいぞ。
『そうか。2人ともご苦労。目障りだ。消えろ。』
え、魔王強すぎない?一瞬でお父さんの方を消しちゃったよ。まーでもちょっとすっきりした。魔王感謝。
「ま、ま、ま、待て。落ち着け。貴様にいいことを教えてやる。」
『ほう?』
長男何を言う気なんだろ。
「お前の敵は俺じゃない。本当の敵はあの女だ。」
私ですか?
『あの小娘が?なぜそう言い切れる。』
「あ、あいつは聖女だ。あいつにかかればお前なんか一瞬で消される。だよな?お前自分で聖女って言ってたもんな!」
「ま、確かに聖女だって言いました。でも、あなたは私より魔道具を信じたはずでは?」
「あ、あれは父上が勝手に言っただけで、俺は信じてたんだ。な?頼むよ。魔王を倒してくれ。もちろん、それ相応の謝礼をする。」
「謝礼?」
「あぁ。何でも好きなものを言ってくれ。」
「あなたはもう国王でもないのに、私の望むものを与えられると?」
「そ、それは……物にもよるが……。」
「リアンさん、どうします?」
「え、私ですか?」
「今の国王はあなたです。どうしますか?」
「えっと……。」
「リアン、俺のかわいい弟よ。助けてくれるよな?」
「それは……。」
「いいから俺を助けろ!お前なんかより俺の方がずっと価値があるんだ。助けるのは当然だろ!」
その考えはどこから来るんだ。
「私は、この国をよくしたいと考えています。」
「ああ、もちろん俺も同じ考えだ。」
「嘘だ!兄さんは傲慢だ。国民が汗水流して納めた税金を自分の贅沢のためにしか使わない。そんなんじゃ国はよくならない。」
「あぁ。そうか。お前も贅沢したかったんだろ?一緒に、」
「嫌だ!……兄さんはどこまで行っても兄さんだね。」
「なんだと?」
「この国に、兄さんはいらない。」
『結論が出たみたいだな。残念だ。』
「ま、待て……」
さよなら長男。魔王に跡形もなく消されちゃったね。
『さて、この状況からどうやって国民を守ると?』
「そ、それは…」
リアンさんの決意も聞けたし、そろそろ私の出番かな。
「魔王さん。そろそろお引き取り頂いても宜しいですか?」
『小娘よ。聖女だろうが俺には関係ない。消されたいのか?』
「その言葉、そっくりそのまま返しますよ。今すぐお家に帰らないと、…消すよ?」
『ふっ。面白い小娘だ。なかなか度胸がある。』
いや、本気で言ってるんだけどな。
「じゃー、試してみます?」
『ふっ、よかろう。一つお前に教えといてやる。』
「はい?」
『聖女だからって強さはピンキリだ。見るからにお前は俺の敵ではない。』
「ご忠告ありがとうございます。さようなら。魔王さん。」
あ、思ったより最大出力の聖魔法ってまぶしい。
『う、嘘だ……この俺があんな小娘に……。』
なんかあっけなかったな。魔王倒せたのかな?跡形もなくいなくなったけど…。
「す、すごい。今のはマヤさんが?」
「おかげさまで。聖女なんで。」
「ありがとうございました。やっぱり聖女様だったんですね。」
「だからそういったじゃないですか。地下牢の鍵のくだりで信じてくれてたんじゃ…」
「もちろん信じていました。ただ私が言いたかったのは…いえ、おっしゃる通りですね。信じてるって口では言いながら心のどこかに信じていない自分がいたんだと思います。本当に申し訳ありません。」
「いいですよ。そうやって自分の非を認められる人は少ないですからね。いい国王になると思いますよ。」
「ありがとうございます。あの、どうしてそんなに冷静でいられるのですか?」
「どうしてでしょう。まだこの世界に来たばかりで、現実味がないからでしょうか…」
「なるほど?それに、聖魔法のやり方もご存じだったんですか?」
「うーん。なぜか不思議と使い方がわかったんですよね。」
まるで、以前から使えたみたいに。
「ふふ。さすがです。」
なんか褒められた。
「いい国、作ってくださいね。」
「あの、私と一緒に作って頂けませんか?」
「私、国作りに興味ないので、結構です。」
「え…」
そんなに驚くことじゃないよね。それに、
「せっかくこの世界に来たので、世界中を旅します。」
「そうですか。では、貴方が旅から帰ってくるまでにいい国にしておきます。」
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