中古一国記

安川某

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一章

第3話 椅子の価値

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  数日後。ロイは自らの執務室で思わず頭をかきむしった。

  目の前には報告書の山がうず高く積まれており、ロイがそれを一山片付けるよりも早くマルクスが新たな山を持ってきた。この数日、その繰り返しだったのだ。

「山賊被害に西の国境でのフィアット軍による挑発行為。セラステレナ教徒によると思われる人攫いの調査依頼、失業者対策の陳情……」

 どれもこれも今回が初めての陳情ではない。ものによっては数年前から繰り返し報告されていたようだが一歩も進展がないものもあった。このことからも前政権の働きぶりが伺えるというものだった。

「王宮をうろつく妙に人懐っこい野良犬の出没報告……? 何だこれは」

 ロイは大きくため息をついた。この報告書や陳情の中にはこういったどうでも良い類の物も多く含まれている。その理由はロイにはわかっていた。

「少しばかりびびらせすぎたな……」

 ロイが先日王の間で繰り広げた人材の選別劇はすでに国中の話題になっていた。
 外から突然やってきた男が摂政となり、主に貴族で成り立つ上級臣下団に対し罵倒に罵倒を重ねその大半を追放したと。
 その噂には尾ひれが付き恐るべき摂政の誕生として認知され始めていた。

 野良犬がどうとかいう些細な報告もその噂の影響だとロイは見ている。

 つまりこのような小さな報告も上げておかねばならないと現場が判断するほどこの新しい摂政は恐れられており、人々に警戒されている。

 また、この程度なら報告しなくて良いと判断できないほど、ロイは彼らに理解されていない。

 当然といえば当然。まだ就任から一週間も経っていないのだ。
 だが、この国を取り巻く経済、外交、治安情勢を知れば知るほど、悠長に構えていられる余裕はないということもわかってくる。

  このナプスブルクは大陸の南東に位置する国土の小さな国だ。

 王都ナプスブルクの他に、都市と言えるものは二箇所、西のフレーゲン市と北東のボルン市。いずれも他国に隣接しており小規模ながら国内産業において重要な役割を果たしている。

 むしろ産業という意味では首都であり王都であるナプスブルクには見るべきものが少なかった。

 大半が貴族の居住地を占めており、それを相手にする商人が集まって構成されている。

 しかし近年貴族の権勢が衰え、要するに金がなくなった現在では商人の数も減り、城下で見かけるのは没落貴族とその使用人ばかり。

 治安も悪化の一途を辿っており、栄華には程遠い様相だ。

 ロイはこれを立て直さねばならなかった。
 ロイにはその理由がある。そのために国を買ったのだ。幼い娘、アビゲイルの顔を頭を過ぎった。

 ふいに執務室がノックされた。マルクス筆頭政務官とランドルフ将軍だろう。ロイは相談のためこの二人を呼びつけた。

「どうぞ」

 ロイは事実上の亡国の臣であり、金で買った部下ともいえる彼らに対して特別な理由がない限り、「どうぞ」や「あなた」など相手を尊重した言葉を使った。

 それは計算の上でというよりは、元からの性格によるところが大きかった。それは衛兵や名も知らぬ者たちに対しても同様であり、こと対人に関して美点の少ないこの男の数少ない長所の一つだった。

「失礼いたします、摂政様。ご機嫌麗しゅう」

 マルクスがひと目で作り物とわかる張り付いた笑みをたたえて深々と一礼した。

 この男はいつもこうやって笑顔を作ってはいるが、その細めた目の奥には暗い光が宿っていることをロイは知っていた。

 さらにもう一人、マルクスの背後にいる巨躯の老人、ランドルフは貴族出身らしい品位と威厳のある礼をこの摂政に対して行った。

 この男に動揺は見えない。
 すでに事態に対応し、まずはこの新しい摂政に対し従うつもりであるようだった。
 だが当然、心からの服従ではないだろう。

「ああ、大変機嫌が良いよ。この素晴らしい報告書の山を見ればね」

 そう返すロイの口調は、あの王の間での時よりはいくぶんか柔らかいものになっている。

「椅子にかけたまえ」

 ロイは二人をテーブルを挟んで着席するよう促し、議題を切り出した。

「マルクス、ロッドミンスターの第二王子からの返事はきたか?」

「いえ、催促の手紙は出しておりますが、未だ……」

 ロッドミンスターとはナプスブルクの南に位置する王国だった。

 国土はナプスブルクよりも大きく、他大陸と交易を行う港湾都市を持ち、付近では名のしれた海軍を保有する中規模の国家。

 ナプスブルクとは幾度も戦火を交えた因縁の国であり、特に戦上手で知られたナプスブルク先王の時代では領土の一部をナプスブルクに切り取られたこともあって、現在でも関係は悪かった。

 そのロッドミンスター王国が今や内乱状態となっている。

 国内は急逝した国王の王位継承を争う第一王子と第二王子、さらに謀反を起こした王国の将軍の三つ巴の様相となっていた。

 摂政に就任したロイが直ちに使者を出したのは第二王子ウルフレッドである。

 ナプスブルクに最も近いのが、ウルフレッドが居城とするノースウォール城とその都市だった。ロイはこの第二王子に交渉を持ちかけた。

 内容はナプスブルク新体制による挨拶から始まり、ロイが第二王子派を支援するつもりであること、ロッドミンスター国境に駐屯していた兵を引き上げるだけでなく、要請があれば援兵の派兵も検討すること(そんな余裕はどこにもなかったがロイは虚勢が必要と考えた)、王室とは無縁の自分であればロッドミンスターと新たな関係を築けるだろうということを伝えた。

 もちろん相手が素直に受け入れるとは考えていなかったが、少なくもその返事を見ればこの第二王子ウルフレッドのことを知ることができると踏んでいたのだ。

 なにせこのナプスブルクは西にも北にも油断のならない大敵がいるのだ。敵を減らし、可能ならば味方にする必要がある。

 ナプスブルクからノースウォール城まで一日半の距離。使者を向かわせてからそろそろ一週間が経つ。

 使者は斬り捨てられたか、あるいは内乱の戦況が想像以上に悪いのか。

 ロイが考え込み始めた時、再び執務室のドアがノックされた。誰かを呼んだ覚えは無い。ならば、おそらく。ひとまずロッドミンスターの件は後回しだ。

「どうぞ」

「失礼いたします」

 入ってきたのは痩せた壮年の男、グレーナー参謀だった。

 ロイよりも歳は五つか六つほど上だろう。玉座として使われていた椅子を売りに行かせていた。

「椅子の売却が終わりました」

「そうか、それで?」

「金一億五千万でした。どうぞお納め下さい」

 グレーナーは従者を呼んだ。

 すると従者たちが大きな木箱を二つ抱えて入ってきた。中には溢れんばかりの金貨が詰め込まれている。

「一億五千万……」

 テーブルに置かれた金貨の箱を見て、マルクスとランドルフが驚くように言った。しかしロイにその様子はない。

「だろうな。彼は元気にしていたか」

「はい、国王は喜んでこの椅子を買い取って下さいました」

 今後の経営資金を確保するためにも金が必要だった。

 なにせ国を買うために十億以上の金を費やした直後だ。

 すぐに現金化できる手段はこういう家財の売却だったが、この椅子は市場に出せば百万の値がつくかも怪しい品だった。

 だが法外な値を出してでも欲しいと思う人間がこの世に一人だけいる。

 この椅子を高価な家具とはみなさない者。例えそれがかつての栄誉の残滓であってもそれを欲する者。それはこの国の、事実上幽閉された国王その人である。

 ロイはそれをグレーナーに伝えたわけでない。そこに気づく程度の頭があるかどうか試したのだった。

 そしてロイが求めたものは金だけでは無い。

「それだけかな、グレーナー」

 わざと仰々しく演技がかった調子でロイは言った。

 それに対し、グレーナーはわずかに口元を歪ませた後、答えた。

「いいえ、摂政。私は椅子の売却話をするために、王と幾度も面会いたしました」

「それで」

「はい、私はこれから王の目となり、あなたを監視することを王へお誓い申し上げました」

 マルクスが「なんと」と声を漏らす。しかしロイは上機嫌な様子で続きを促した。

「それで」

「つまり、私にお任せいただければ継続して王の動向を監視することができます。すでに側近を何名か買収してございます。多少、高くつきましたが」

「素晴らしい」

 ロイはおそらくこの国に来て初めて喜びを表に出して言った。

「期待通りだよ、グレーナー」

「ありがたき幸せ」

 グレーナーは静かに一礼した。

「君は書記官だったと言ったな。この国を売ったのは己の立身のためか?」

 するとグレーナーは少し考える素振りを見せた後、答えた。

「そうですな、そうかもしれません。男子たるもの世に生を受けたのであれば夢を見たいものです」

 嘘か真かわからないようなことを言うと、グレーナー自嘲気味に小さく笑った。

 少し意外な一面を見たな、とロイは思った。

 ロイは改めて一同を見回すと言った。

「早速だが、この金を使わせてもらおうとしよう」

「何に使われるというのです?」

  マルクスが不安を隠しきれずに言った。

「この国の東、唯一他国に隣接していない方角には海がある。だがその海岸線は東のボルドー山に遮られているため組織だった交易や漁業ができず、海岸付近は長らく放置に近い状態にされてきた。そうだな? マルクス」

「え、ええ。あの辺りには小さな漁村がいくつかあるのみで、まともな税収は得られておりません」

「うん、だからボルドー山にトンネルを掘り、この王都と海を繋ぐ道を作る」

「そんな、かなりの金がかかりますぞ。それに多くの労働力が必要です」

「当面の金はできた。海岸から海産物を運べるようになれば内陸国に高く売れる。この国に新たな産業ができる。労働力は失業した元炭鉱労働者を雇うのだ。彼らは穴掘りのプロだから一から教育する必要もない。そしてトンネルが開通したならばそのまま漁師にさせる。投資はそのまま彼らの生活の安定に繋がり、失業者達の暴動による治安の悪化もこれで治まる」

「ううむ……しかし、ボルドー山には山賊共が」

「彼らの多くはかつて炭鉱や繊維業に就いていた失業者だ。生きていくためにやっているに過ぎない。それにただでさえ裕福とはいえないこの国で無法を働いても、得られる物はたかがしれている。労働者として加わればまずは明日の飯が食えると伝えろ。そしてトンネル開通まで労働に従事した者にはその期間が長い者から順に海岸の漁業権を付与し、商人になりたい者がいれば海産物を取引する権利を優先的に得られると。つまりトンネル開通という困難を乗り越えれば安定を得られるだけでなく富を得るチャンスもあることをわからせるんだ。連中も山賊なんてやっている場合ではないと気づくだろう」

 この事業によって報告書に上がった多くの問題を同時に解決することができる。

「なるほど……それならば、確かに」

「ですが」

 テーブルにはつかず立ったままでいたグレーナーが口を挟んだ。

「こちらがその事業で収益を得られるまで年単位の月日が必要になります。資金が持つでしょうか。空手形を切るようなものですから、事業が頓挫すれば民の希望は直ちに憎悪へと変わるでしょう」

「それについては一つ手がある」

「その手とは?」

「金はあるところから出させれば良い。西のフィアットに対して使者を出せ。この事業を支援する金をくれと。見返りは輸入しているフィアット製衣服の関税撤廃と事業成功による収益の五十%だ」

「……それでは国内の繊維業はますます死に体となるでしょう」

「もう死んでる。なあマルクス」

 ロイはマルクスへ笑顔を向けた。王政権の元、フィアットとの関税を下げ続けたのはマルクスだった。マルクスは引きつった笑みを浮かべた。

「それに収益の半分とは気前が良いですな」

「心配か? グレーナー」

「……いいえ。事が成ればフィアットはこちらに侵攻する理由がなくなります。こちらは小勢ではありますが、兵を動かすだけでも金がかかる。それが攻め込まなくとも金が得られるのであれば、彼らに我らを攻める利点は無くなります。それを収益の半分で得られるなら、我々にとって十分利のある取引です」

「決まったな。フィアットへの使者は君だグレーナー。すぐにナプスブルクを発て」

「承知いたしました」

 グレーナーは一礼し、顔を上げると言った。

「……かなりの報告書ですな」

「ああ、地震でも起きれば崩れて埋もれてしまうほどだ。くだらない物も多くて困る。野良犬がどうこうと……」

「……お困りであれば、今後は私が報告を精査いたしましょうか」

 ロイはそれには及ばないと言いたげに手を小さく顔の前で振って言った。

「これでも摂政だからな。民のため国のためだ」

 まるで本心でないこと言っているであろうことは、その場の全員にわかるほど軽い調子だった。

「かしこまりました。それでは」

  グレーナーは再び礼をすると、執務室を後にした。


 ***

 執務室から建物の外に出ると、グレーナーの視界に茶色い毛の塊が飛び込んできた。

 それは小汚く汚れた一匹の子犬だった。

 グレーナーは洋服のポケットに手を入れると、菓子を取り出し、無言のままそれを子犬に与えた。

 子犬は目を輝かせながらそれに食いついた。その様子を眺めながらグレーナーは小さくつぶやいた。

「餌をやるのは王宮の側でだけであったが」

  グレーナーは頭の中で摂政の顔を浮かべた。
 やはりあの御仁は頭が切れる。それに警戒心が強い。

 摂政を取るに足らぬ報告の山に埋もれさせ、自分が摂政へあげる情報の取捨選択権を握る。
 そうなればこの新政権の主導権を自分が握ることも容易い。

 その足がかりとするつもりであったが、そううまくはいかないようだ。
 こちらの狙いがバレていたわけではないだろうが、情報源を他人に制御される危うさにあの男は気づいていた。

「……まずは良しとしなければな。愚物に使われる日々から放たれた自分を」
 
 あるいは後悔するかも知れない。それが自分の予想を超える怪物であったのなら。

 子犬は菓子を食べ終えると、グレーナーの足にすり寄って甘えた。

「お前は用済みだ」
 
 子犬は言われたこともわからず、ただグレーナーに甘え続ける。
 
 グレーナーはそれを無視して歩みだした。そして子犬に向けて言った。

「……家までついて来たのなら、家にあげてやろう」

 一週間後。フィアットが交渉の条件に応じたという知らせがロイにもたらせられた。

 これによりボルドー山開通事業が始まった。
 労働者の募集には失業者達が殺到。かつての炭鉱町でありゴーストタウンに等しかったその場所に開拓者達が集まりだした。

 そこへ彼らに飯や酒を売り、果ては女を斡旋する者が集まりだすとにわかに活気づき、ついには様子を伺っていた山賊共の中にも武器を捨てピッケルに持ち替える者まで現れ始めた。

 同時に、ロッドミンスターの第二王子率いるウルフレッド軍と第一王子マシューデル軍が決戦を行い、ウルフレッド軍が大敗したとの報告が入った。

 敗れたウルフレッド軍からの救援要請に臣下一同が息を呑む中、ロイだけが不敵な笑みを浮かべていた。

 こうして新生ナプスブルク王国の初めての戦が始まった。
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