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第1章
24 兄弟の会話
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「兄上は何で母上のお尻でしないの?」
サイラスが不思議そうな顔で訊いてきた。
思わずため息が出た。
ずっと一緒に育ってきた弟だけれど、こいつとは分かりあえる気がしない。
「私は母上を愛しているからね」
どうせとっくに気づいているだろうから、隠す気にもなれない。
案の定、
「うん。知ってるけどさ?だからもっと触りたいんじゃないの?」
こいつは毎回、躊躇なく母上のお尻に挿れてるからな…。
少し呆れながら首を横に振る。
「私は母上とするのなら、ちゃんと抱きたいんだ」
「お尻だっていいじゃない。母上いつもちゃんと気持ちよさそうだよ?」
思わず殺意が湧く。
こいつに悪気がないのはわかっているけれど。
息を大きく吸って、気を静める。
「じゃあ逆に、何でおまえは前でしたがらないんだ?」
「えー、だって…」
聞き返すと、サイラスが口を尖らせた。
「流石に親子でそれは、ねぇ」
「普通の親子はそもそも私たちみたいなことしないけどね」という言葉は飲み込んだ。
私たちは、物心つく前から母上にそういう風に触れさせられてきたのだ。父上によって。
今さら変えようもない。
「それと似たようなものだよ。おまえは前には挿れたくないし、私は後ろではしたくない。それだけわかっていればいいだろう」
そう言って、この話題を切り上げようとしたのに
「でも、お尻でもいいなら、父上が来るたびに母上を抱けるんだよ?今みたいに、たった年に一度なんて、兄さん辛くないの?」
今日のサイラスは、何故かしつこかった。いつもは他人にほとんど興味を持たないくせに。
どうやら、ちゃんと答えるまで質問し続けそうだと、諦めて向き直った。
「私はお尻では我慢できそうにない。きっとお尻に挿れたら、前にも挿れたくなってしまう。でも誕生日以外の日には、父上はそれを許さないだろう。よほどの気まぐれを起こさない限り。そんなの私には耐えられない。だから触れない。それだけだ」
「そうかなぁ?だって父上、僕たちにたくさん母上のこと触らせるよね?」
サイラスは首を傾げるけれど、彼は理解していないのだ。
父上の、母上に対する執着を。
弟は誰に対してもあまり興味がないからわからないのだろう。その人でなければダメだ、という気持ちが。
私にはわかる。
父上と私は、同じ人に魅かれているから余計に。
父上がどれほど激しく母上を望んでいるのか、視線一つで理解できてしまう。
それでも、何故父上が私たち兄弟に母上を触れさせるのかは、つい最近までわからなかった。けれど、この前父上と話してようやくわかった。
それが、母上を苦しめるのにとても効果的だからだ。
実の息子に犯されるなど、母上には耐えがたい苦痛だろう。
思えばいつも、拒絶の言葉を口にしている。
それでも母上は、最後には私たちを受け入れる。
もしかしたら、父上は母上を脅しているのかもしれない。拒めば私やサイラスに危害を加える、などと言って。
正直、父上の性格ならそうしていても、まったく不思議はない。
私たちに散々母上の体を教え込んだくせに、本当は独り占めしたがっている大人げない歪なあの人なら。
ふと思いついてサイラスに尋ねた。前から気になっていたことを。
「どうしておまえは母上を抱くんだ?」
こいつが母上に特別な興味がないことはわかっている。
だから少し不思議だった。
「あー…」
サイラスは何故か言いよどんで視線を逸らした。
そして言いにくそうに口を開く。
「兄上は怒ると思うんだけどさ」
嫌な予感がした。
続きを聞くのをやめようか迷ったけれど、それよりサイラスが続ける方が早かった。
「母上の反応を見るの、嫌いじゃないんだ。特に僕がおもちゃ感覚で触ってるのに気づいて、怯えたり嫌がったりするところとか」
「…おまえは紛れもなく父上の子だよ」
ため息が出た。
「だいたい、父上が今さら僕たちの不参加を認めるとも思えないしさ」
それはそうだ。
まあ私も、母上に触れる機会を逃す気には到底なれないから、たとえ選択権があっても触れることを選ぶけれど。
母上が嫌がっていると、わかっていても。
サイラスが不思議そうな顔で訊いてきた。
思わずため息が出た。
ずっと一緒に育ってきた弟だけれど、こいつとは分かりあえる気がしない。
「私は母上を愛しているからね」
どうせとっくに気づいているだろうから、隠す気にもなれない。
案の定、
「うん。知ってるけどさ?だからもっと触りたいんじゃないの?」
こいつは毎回、躊躇なく母上のお尻に挿れてるからな…。
少し呆れながら首を横に振る。
「私は母上とするのなら、ちゃんと抱きたいんだ」
「お尻だっていいじゃない。母上いつもちゃんと気持ちよさそうだよ?」
思わず殺意が湧く。
こいつに悪気がないのはわかっているけれど。
息を大きく吸って、気を静める。
「じゃあ逆に、何でおまえは前でしたがらないんだ?」
「えー、だって…」
聞き返すと、サイラスが口を尖らせた。
「流石に親子でそれは、ねぇ」
「普通の親子はそもそも私たちみたいなことしないけどね」という言葉は飲み込んだ。
私たちは、物心つく前から母上にそういう風に触れさせられてきたのだ。父上によって。
今さら変えようもない。
「それと似たようなものだよ。おまえは前には挿れたくないし、私は後ろではしたくない。それだけわかっていればいいだろう」
そう言って、この話題を切り上げようとしたのに
「でも、お尻でもいいなら、父上が来るたびに母上を抱けるんだよ?今みたいに、たった年に一度なんて、兄さん辛くないの?」
今日のサイラスは、何故かしつこかった。いつもは他人にほとんど興味を持たないくせに。
どうやら、ちゃんと答えるまで質問し続けそうだと、諦めて向き直った。
「私はお尻では我慢できそうにない。きっとお尻に挿れたら、前にも挿れたくなってしまう。でも誕生日以外の日には、父上はそれを許さないだろう。よほどの気まぐれを起こさない限り。そんなの私には耐えられない。だから触れない。それだけだ」
「そうかなぁ?だって父上、僕たちにたくさん母上のこと触らせるよね?」
サイラスは首を傾げるけれど、彼は理解していないのだ。
父上の、母上に対する執着を。
弟は誰に対してもあまり興味がないからわからないのだろう。その人でなければダメだ、という気持ちが。
私にはわかる。
父上と私は、同じ人に魅かれているから余計に。
父上がどれほど激しく母上を望んでいるのか、視線一つで理解できてしまう。
それでも、何故父上が私たち兄弟に母上を触れさせるのかは、つい最近までわからなかった。けれど、この前父上と話してようやくわかった。
それが、母上を苦しめるのにとても効果的だからだ。
実の息子に犯されるなど、母上には耐えがたい苦痛だろう。
思えばいつも、拒絶の言葉を口にしている。
それでも母上は、最後には私たちを受け入れる。
もしかしたら、父上は母上を脅しているのかもしれない。拒めば私やサイラスに危害を加える、などと言って。
正直、父上の性格ならそうしていても、まったく不思議はない。
私たちに散々母上の体を教え込んだくせに、本当は独り占めしたがっている大人げない歪なあの人なら。
ふと思いついてサイラスに尋ねた。前から気になっていたことを。
「どうしておまえは母上を抱くんだ?」
こいつが母上に特別な興味がないことはわかっている。
だから少し不思議だった。
「あー…」
サイラスは何故か言いよどんで視線を逸らした。
そして言いにくそうに口を開く。
「兄上は怒ると思うんだけどさ」
嫌な予感がした。
続きを聞くのをやめようか迷ったけれど、それよりサイラスが続ける方が早かった。
「母上の反応を見るの、嫌いじゃないんだ。特に僕がおもちゃ感覚で触ってるのに気づいて、怯えたり嫌がったりするところとか」
「…おまえは紛れもなく父上の子だよ」
ため息が出た。
「だいたい、父上が今さら僕たちの不参加を認めるとも思えないしさ」
それはそうだ。
まあ私も、母上に触れる機会を逃す気には到底なれないから、たとえ選択権があっても触れることを選ぶけれど。
母上が嫌がっていると、わかっていても。
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