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if マーカスルート
…………………
しおりを挟む…子どもが生まれた。
………マーカスの子どもが。
……………私の…胎から……
生まれてすぐに、その子は部屋の外に連れていかれた。
「乳母に育てさせるので安心してください」
マーカスはそう笑っていた。
私の意見など尋ねもしないで。
それに対して私は…ほっとした。
彼の子など、目にしていたくなかった。ましてや自分が無理矢理生まされた子など。
彼に犯され子を生んだという事実を、今すぐ忘れ去りたかった。
だからそれ以上目にせずに済んでほっとした。
その子を育てるなど、私には到底無理な話だった。想像するだけで血の気が引く。
その子を前に、正気でいられる自信がない。その子に何をしてしまうか分からない。
…だから、目の前から消えてほっとした。
マーカスは「これからもあなたと二人きりですね」と気持ち悪い寝言を口にしていた。私はそれを、いつものように無視した。
どうせ私の返事など、彼は聞いてもいないのだから。
思った通り、彼は私の反応など気にも留めずに笑っていた。
私の体調が戻りきるのも待たずに、マーカスはまた私を抱くようになった。青白い顔で吐きそうになる私を、気づかいもせず好き勝手に抱くマーカスに、ただ心が冷えた。
私は家畜だ。
彼の性欲を処理するための。
その為に鎖をつけられ飼われている。
小屋と餌を与えられて。
それ以外の全てを奪われて。
マーカスは未だに好きだの愛しているだのと口にするけれど、そんなものはただの音の羅列だ。
マーカス自身が気持ちよくなる為に吐き出している、ただの雑音。
そこに意味などない。
だって彼は、私を人として見ていない。
彼は私と会話しようなどと、思ってもいない。
彼にとって私は、人の形をした家畜なのだ。人ではないから、人として扱う必要のない。性欲を処理するにちょうどいい、ただそれだけの存在。
だから、彼がこの部屋にいる時は心を殺している。いない時も、何も考えずにいる。家畜らしく、マーカスが与える餌を食べてただ生きている。
だって自分を人間だと思うには、この環境は辛すぎる……。
いつか、彼が飽きたその日にこそ、この家畜小屋から出られた時にこそ、ようやく私は人に戻れるのだ。
…もし、そんな日がくるとすればの話だけれど…。
鎖は、ずっと私の足につけられたままだ。出産の時でさえ外されなかったのだ。この先も外されることはないだろう。
私が死ぬか、マーカスが飽きるかしない限りは。
出産に立ち会った産婆は、鎖を見て顔色を変えたものの特に何も言わなかった。
その後で、誰かが助けに来てくれるなんてこともなかった。………ほんの少しだけ、期待していたのだけれど……
…こんな風に人を飼うのも、貴族の間では当たり前のことなのかもしれない…。
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