R18完結)夫は私のことが好きだったようです

ハリエニシダ・レン

文字の大きさ
29 / 38
オマケの舞台裏

1 若奥様のこと

しおりを挟む
若旦那様に聞かれた。

「妻について、何か知っていることはないか」

と。
なんの気なしに答えた。

「若奥様は小説を読むのがお好きなようです」

お部屋などで、読んでいる姿をよく目にしていたから。
若旦那様は意外そうな顔をしたものの、若奥様が読んでいるのと同じ小説を買ってきてくれと頼んできた。

街にお使いに出される時は、用事が済んだ後は夕方まで好きに遊んできていい。
半休をもらえるようなものなので、喜んで引き受けた。

妻を驚かせたい

という若旦那様の意向に従って、若奥様には気づかれないように本棚に並ぶ小説のタイトルをいくつかメモして街に出た。


街に出て、まず最初に本屋に寄った。
本は重いので本当なら後回しにしたいところなのだけれど、これの為にお使いに出されたのでそうも言っていられない。
なかなか人気の小説のようで、メモしてきたものは大体手に入った。
とりあえずお使いはこれでよし、と一安心した。

ただ、買った本を受け取る時に、店員の女性に意味ありげに笑われたのが少し気になった。


本が重いと言っても片手で持てる程度だ。なのでその後は服屋や露店のアクセサリー、雑貨屋などを見て回った。
新しいスカーフを一枚と、可愛い小さな置き物、それと髪留めを一つ買った。

少し疲れたので、侍女仲間に教えてもらった人気のカフェで一休みした。ここに来るのも楽しみの一つだったのだ。
小さくて可愛いケーキがショーケースに並んでいて、選ぶのが大変だった。でも、見た目だけじゃなくて味もよくて満足した。また来よう。
帰りに、みんなへのお土産にクッキーを買った。こういうのは大事だ。


その夜、帰ってきた若旦那様に買ってきた本をお渡しした。

「結構あるな」

と呟いた旦那様に

「まだほんの一部です」

とお伝えすると、目を丸くしていた。

「また、頼むかもしれない」

と言うので、次回同じものを買ってしまわないように、メモは取っておくことにした。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

すれ違ってしまった恋

秋風 爽籟
恋愛
別れてから何年も経って大切だと気が付いた… それでも、いつか戻れると思っていた… でも現実は厳しく、すれ違ってばかり…

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

届かぬ温もり

HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった····· ◆◇◆◇◆◇◆ 読んでくださり感謝いたします。 すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。 ゆっくり更新していきます。 誤字脱字も見つけ次第直していきます。 よろしくお願いします。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

処理中です...