【完結】なにぶん、貴族の夫婦ですので

変化2

それから、ダンとの関係がほんの少しだけ変わった。
これまで通りダンは私の側にいて、何くれなく世話を焼いてくれる。
けれど、ほんのときたま、気を抜いた瞬間、男女の行為を思わせる手つきで触れられる。頬に、肩に、首すじに…。
そして女性を求める目で見つめられる。
私は息苦しさを感じつつも、ダンと見つめ合う。

言ってしまえばそれだけ。

そんな時間は長くは続かない。
廊下を歩く足音、鳥が近くの木から飛び立つ羽音、あるいはどちらかが緊張に耐えかねて、そっと身体を離す。
そしてまた、いつも通りの会話が始まる。

けれどいずれ…この距離にどちらかが我慢できなくなる…
そんな予感がしていた…。