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サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 ⑨
しおりを挟む第一章 2001年 春
◆日本での役目を終えてお疲れ様となって、JICAを通じて無償でラオスに贈られたバス🚌
九
ラオスのイミグレーションからビエンチャン市内まではバスも走っており、ガイドブックには七百Kip(キープ、十円程)で行けると記載がある。
実際、一昨年の二千十九年の三月に訪れた際には、入国審査を終えて出ると相変わらず大勢のトゥクトゥクが待ち伏せしていたが(笑)、すぐ近くにはローカルバス停があり、七千Kipでチケットを購入して市内へ向かった。
この旅行記の時から十八年後なのでローカルバス料金も十倍になっているのは当然だが、当時のレートで約九十円である。
バスも昔と違って、ジャイカを介して日本の路線バスをお役目ご苦労様となったものがラオスに無償で運ばれており、この時乗ったバスは都営交通のものであった。
それはともかくとして、2001年の春の訪問時はトゥクトゥクをシェアして向かった。バスよりはかなり高いが早く到着するし、短期旅行ではよいかも知れない。
ビエンチャン市内までの道路は特に穴ぼこもなく、思ったより綺麗に舗装されており、トゥクトゥクのエンジン音は喧しいがなかなか快適だった。
しばらくの間、見える景色は田園風景ばかりで、ベトナムのように綺麗なライスフィールドではないが、田んぼや畑で牛がのんびりと休憩していたり、雲一つない好天の下で、とてものどかな様子であった。
トゥクトゥクは時速四十キロから五十キロは出ていると思われたが、ときどき乗用車やバイクが追い越す程度で、道路は殆どガラガラに近く、この状態は市内が近づくまで続いた。
トゥクトゥクには二十五才インテリ風青年と三十才過ぎの関西人N君、青いアジアンドレスを纏ったエレガント日本人美女、そして日本人男性と結婚してタイに里帰りをしてきた三十才のタイ人女性、さらに現地人ふたりと僕との合計七人が乗っているが、このトゥクトゥクはジャンボといって一応定員は六人ということになっているらしい。
定員オーバーのうえに屋根の上には五人のバッグや現地人の荷物なども載せられているにもかかわらず、たくましいエンジン音を鳴らしながらドンドン突っ走って行く。
途中、喧しい音の中で僕達は再び自己紹介のようなものを行った。すると五人全員が一人旅で、タイ人女性以外は初めてのラオス訪問であることが分かった。
青年はビエンチャンで知り合いの日本人と会う目的で来たらしく、それ以外の町には今回訪問予定はないとのことで、エレガント女性はこれからの予定を決めていないと話していた。
また、タイ人女性はビエンチャンのタラート・サオ(朝市という意味だが一日中営業している)に着いてから食事を済ませて、すぐに午後一時のバスで妹がラオス人と結婚して住んでいるバンビエンという村に向かうとのことであった。
トゥクトゥクの中ので、「意外と簡単にビザが取れちゃったねぇ」「やっぱりラオスってのんびりした感じだね」「ほら、スズキ自動車の建物があるけど、撤退したあとだよ。ヤッパリ自動車業界は不景気なんだね」「ワー、ビアラオの大きな工場だ。早くビールが飲みたいねぇ」などと、とりとめのない話をしながら建物の少ない周辺景色を眺めていたら、次第に商店や民家などが見えてきて、市内の中心街が近づいてきた。
「ビエンチャンには今日と明日滞在して、明後日はバンビエンに行く予定です」と僕が言うと、タイ人女性が「バンビエンは小さな村だから歩いていればきっと会いますよ。バス停から町に入る辺りのカフェにいますから是非来てください」と、気さくに言うのでちょっと驚いた。
結局、この時の話を僕はすっかり忘れてしまって、あとになってこのタイ人女性と思しき人が町の入口近くのカフェで、「午後から夕方までずっと、国境からトゥクトゥクをシェアした日本人男性を待っていたが来なかった」と話していたと、後日ある旅行者から聞き、申し訳ないことをしたと反省したのであった。
さて、徐々に賑やかな街並に入ってきたと思ったら、まもなく大きな市場前のトゥクトゥクやタクシーが集まっているところに到着した。
ここまでの所要時間は約三十分だったけど、あれこれ言葉を交わしたり、景色を興味深く眺めていたらあっという間だった。
約束通り三十バーツずつを支払い、タイ人女性とエレガント女性はタラート・サオの中で食事をすると言ってここで別れ、青年とN君と僕とが宿を探すために、ゲストハウスやホテルなどが集まっているという町の中心地であるナンプ広場の方向に歩き出した。
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