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サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 ⑩
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第一章 2001年 春
タイにはこれまで六十五回ほど、ラオスには二十回あまり訪れていますが、この旅行記の背景は2001年の春で、このときはまだ二度目の訪問でした。だから、いろんなものが目新しくて驚きの連続でした。
当時は、現在とはネット環境や社会情勢がかなり違っていますので、ところどころ意外に感じられるかも知れません。
サイスリーゲストハウスの前で、トゥクトゥクのおじさんとのショット、古い画像なのでぼやけていますが、このころはまだ若かった(笑)
十
郵便局を左に見ながら南に歩き、大通りを渡ってからふたつ目を曲がるとその通りはサムセンタイ通りといって、ゲストハウスやレストランなどが並んでいるところである。
青年に「宿は決まっているの?」と訊くと、彼は神経質そうな眼鏡をかけた目で「ええ、友人とのミーティングポイントの近くということで、この通りのラオパリホテルにしようと思っているのです」と言った。
ガイドブックやネットなどでこのホテルのことは僕も知っているが、確か最も安い部屋でシングルが十ドルの筈である。
勿論 部屋にトイレもシャワーも付いていて、しかもエアコン完備であるから特に高いという訳ではない。
しかし僕はできるだけ安い宿を探していたので、ラオパリホテルの前まで来た時に「じゃあここでね。いい旅を」と言って別れた。
結局ボーダーで最初に知り合ったN君と一緒に宿を捜すことになった。
歩きながら彼のことを訊いてみると、三十三才の独身で仕事は機械の設計に携わり、年に何度か休みを取ってバンコクに遊びに来るという。
いつもならバンコクで千バーツほどのホテルに泊まり(日本なら高級ホテルの部類です)、パッポンなどの歓楽街で遊んで帰る、といったことを繰り返していたらしい。
でも今回は、一念発起したかどうかは分からないが、ラオスという未知の国にまで足を延ばしてみたという。
僕達はナンプ広場を通って一本南のセタティラート通りに出て、さらに西に歩いて最初の交差点を左に(要するに南方向、メコン川の方向)曲がったところにあるサイスリー(Saysouly)ゲストハウスに入って行った。
玄関には石テーブルが置かれて、見た感じがなかなかいい感じの建物だったからである。
入口でサンダルを脱いでフローリングのロビーに入ると左側に小さなフロントがあり、まだ十代の半ば位の男の子と母親と思われる女性が、「サバイディー」と歓迎してくれた。
「エアコン付きのシングル、ふた部屋空いてますか?」と訊いてみると、「シングルルームはフルですけど、ツインのエアコンルームが十二ドルです」と男の子がしっかりとした英語で答えた。
「N君、シングルが空いていないらしいね。よければツインをシェアしようよ。ひとり六ドルだし」
N君は少し躊躇した様子が窺えたが、「ええですよ、任せます」と言うので、宿の人にオッケーと返事した。
とりあえず部屋を見てくださいということで、僕たちは男の子に続いて二階へ上がっていった。
サイスリー(Saysouly)ゲストハウスは二階建てで、本館と新館とが二階部分で繋がっている造りの比較的新しいゲストハウスだった。
ツインの部屋を見せてもらうとテレビも設置されていて、トイレ兼シャワールームもなかなか清潔そうだったし、N君も気に入ったようですぐに決めた。
早速バックパックを降ろして、夜行列車からここまでの汗を流すために交代でシャワーを浴びた。
僕は少し伸びた無精ひげを剃り、シャツを着替えてショートパンツに履き替え、汗でベトベトになったシャツとジーンズを、シャワーを浴びながら洗濯して二階のベランダに干した。
洗濯物を干していたら、ベランダのチェアーから隣の部屋に泊まっている欧米人の若い男女が、「こんちわ」と挨拶をしてきたので、僕も「ちわ!」とにっこりして応えた。
こちらは男ふたりの宿泊だが、カップルで旅とは羨ましい限りである。
N君がシャワーを浴びたあと外に出た。
灼熱のビエンチャン市街を歩きはじめた。僕は髪の毛が寂しいからバンダナは欠かせない。
バンダナを巻いていないと、きっと髪の毛が焦げるだけでなく、頭皮も日焼けをして皮がめくれて悲惨な状態になることだろう。
タラート・サオからサイスリーゲストハウスまで来た道を逆に歩きながら、途中のラオパリホテルの隣に美味しそうなフランスパンを焼いている店があったのを思い出した。
N君にそのことを言うと、彼は気が付かなかったようだが、ともかくその店へ向かった。
ラオパリホテルまではのんびり歩いても七分程で着いた。
ホテルの東隣には店頭でフランスパンを焼いている小さな屋台があり、ガラスケースの中にはトマトやレタス、ソーセージ、なんだか分からない野菜類などがそれぞれのトレーに入っていた。
僕達はとりあえずレストランに入ってテーブルに座り、ビアラオを二本注文した。(ビアラオは大瓶一本が六千Kip、約九十円)
そしてフランスパンサンドイッチを注文すると、中に挟む具をトッピングしろと言っているようなので、先ほどのガラスケースのところに行って、ソーセージと野菜数種を適当に指差した。
N君とお互いのビールをグラスに注いでラオス入国を乾杯し、グビグビッと一気に飲むとようやく落ち着いた気分になった。
ホッとして斜め後ろの席を何気なく振り向くと、トゥクトゥクで一緒だったインテリ青年が僕達と同じようにフランスパンのサンドイッチを食べていた。
タイにはこれまで六十五回ほど、ラオスには二十回あまり訪れていますが、この旅行記の背景は2001年の春で、このときはまだ二度目の訪問でした。だから、いろんなものが目新しくて驚きの連続でした。
当時は、現在とはネット環境や社会情勢がかなり違っていますので、ところどころ意外に感じられるかも知れません。
サイスリーゲストハウスの前で、トゥクトゥクのおじさんとのショット、古い画像なのでぼやけていますが、このころはまだ若かった(笑)
十
郵便局を左に見ながら南に歩き、大通りを渡ってからふたつ目を曲がるとその通りはサムセンタイ通りといって、ゲストハウスやレストランなどが並んでいるところである。
青年に「宿は決まっているの?」と訊くと、彼は神経質そうな眼鏡をかけた目で「ええ、友人とのミーティングポイントの近くということで、この通りのラオパリホテルにしようと思っているのです」と言った。
ガイドブックやネットなどでこのホテルのことは僕も知っているが、確か最も安い部屋でシングルが十ドルの筈である。
勿論 部屋にトイレもシャワーも付いていて、しかもエアコン完備であるから特に高いという訳ではない。
しかし僕はできるだけ安い宿を探していたので、ラオパリホテルの前まで来た時に「じゃあここでね。いい旅を」と言って別れた。
結局ボーダーで最初に知り合ったN君と一緒に宿を捜すことになった。
歩きながら彼のことを訊いてみると、三十三才の独身で仕事は機械の設計に携わり、年に何度か休みを取ってバンコクに遊びに来るという。
いつもならバンコクで千バーツほどのホテルに泊まり(日本なら高級ホテルの部類です)、パッポンなどの歓楽街で遊んで帰る、といったことを繰り返していたらしい。
でも今回は、一念発起したかどうかは分からないが、ラオスという未知の国にまで足を延ばしてみたという。
僕達はナンプ広場を通って一本南のセタティラート通りに出て、さらに西に歩いて最初の交差点を左に(要するに南方向、メコン川の方向)曲がったところにあるサイスリー(Saysouly)ゲストハウスに入って行った。
玄関には石テーブルが置かれて、見た感じがなかなかいい感じの建物だったからである。
入口でサンダルを脱いでフローリングのロビーに入ると左側に小さなフロントがあり、まだ十代の半ば位の男の子と母親と思われる女性が、「サバイディー」と歓迎してくれた。
「エアコン付きのシングル、ふた部屋空いてますか?」と訊いてみると、「シングルルームはフルですけど、ツインのエアコンルームが十二ドルです」と男の子がしっかりとした英語で答えた。
「N君、シングルが空いていないらしいね。よければツインをシェアしようよ。ひとり六ドルだし」
N君は少し躊躇した様子が窺えたが、「ええですよ、任せます」と言うので、宿の人にオッケーと返事した。
とりあえず部屋を見てくださいということで、僕たちは男の子に続いて二階へ上がっていった。
サイスリー(Saysouly)ゲストハウスは二階建てで、本館と新館とが二階部分で繋がっている造りの比較的新しいゲストハウスだった。
ツインの部屋を見せてもらうとテレビも設置されていて、トイレ兼シャワールームもなかなか清潔そうだったし、N君も気に入ったようですぐに決めた。
早速バックパックを降ろして、夜行列車からここまでの汗を流すために交代でシャワーを浴びた。
僕は少し伸びた無精ひげを剃り、シャツを着替えてショートパンツに履き替え、汗でベトベトになったシャツとジーンズを、シャワーを浴びながら洗濯して二階のベランダに干した。
洗濯物を干していたら、ベランダのチェアーから隣の部屋に泊まっている欧米人の若い男女が、「こんちわ」と挨拶をしてきたので、僕も「ちわ!」とにっこりして応えた。
こちらは男ふたりの宿泊だが、カップルで旅とは羨ましい限りである。
N君がシャワーを浴びたあと外に出た。
灼熱のビエンチャン市街を歩きはじめた。僕は髪の毛が寂しいからバンダナは欠かせない。
バンダナを巻いていないと、きっと髪の毛が焦げるだけでなく、頭皮も日焼けをして皮がめくれて悲惨な状態になることだろう。
タラート・サオからサイスリーゲストハウスまで来た道を逆に歩きながら、途中のラオパリホテルの隣に美味しそうなフランスパンを焼いている店があったのを思い出した。
N君にそのことを言うと、彼は気が付かなかったようだが、ともかくその店へ向かった。
ラオパリホテルまではのんびり歩いても七分程で着いた。
ホテルの東隣には店頭でフランスパンを焼いている小さな屋台があり、ガラスケースの中にはトマトやレタス、ソーセージ、なんだか分からない野菜類などがそれぞれのトレーに入っていた。
僕達はとりあえずレストランに入ってテーブルに座り、ビアラオを二本注文した。(ビアラオは大瓶一本が六千Kip、約九十円)
そしてフランスパンサンドイッチを注文すると、中に挟む具をトッピングしろと言っているようなので、先ほどのガラスケースのところに行って、ソーセージと野菜数種を適当に指差した。
N君とお互いのビールをグラスに注いでラオス入国を乾杯し、グビグビッと一気に飲むとようやく落ち着いた気分になった。
ホッとして斜め後ろの席を何気なく振り向くと、トゥクトゥクで一緒だったインテリ青年が僕達と同じようにフランスパンのサンドイッチを食べていた。
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