サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽

Pero

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第二章 2002年 春

サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 74

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    第二章 2002年 春


     74 神の代償

 ブッダパークからバスで一旦宿に戻り、僕も少し大きめのタオルを持っていくことにした。

 薬草サウナは三日前にR子さんと入ったが、裸になってからサウナに備え付けの大きな布を纏うだけだから、女性はバスタオルがあったほうが良いかもしれない。

 サウナから出たら水浴びをするが、ハーブ茶を飲んで休憩しているうちに、暑さのために身体はすっかり乾くから、男はバスタオルの必要はない。

 外に出てトゥクトゥクを探していたら、三日前に半日近くも付き合ってもらった男性に偶然出会い、薬草サウナまで行ってもらうことにした。

 薬草サウナには若者と三十才位の日本人男性が二人と、欧米人の中年夫婦が入っていた。

 Y子さんと一緒にサウナに入った。

 僕はこの前もR子さんと一緒に、肌を寄せ合って狭いサウナに入ったのだ。

 このところ盆と正月が一挙に訪れたような気になりながら、視界の殆どないサウナ室に十数分入り、汗びっしょりになって外に出ると、Y子さんの布から覗いている肩辺りの肌は、お餅を思い浮かべるほど白く綺麗だった。

 ハーブ茶を飲んでリラックスしながら日本人の旅行者と話をした。

 若者は学生で、既に半年程旅に出ているという。
 学校は単位さえ取れれば良いので、もう少しあちこち回りたいと言っていた。

 南米を旅した時は各国とも治安が悪く、毎日身を守るのに気を遣い、旅を楽しめなかったと残念がっていた。

 聞くと、ペルーやチリなんかもドアトゥードアで移動しないと、町を歩いていると強盗に遭うのだという。
 だからバスで移動したくとも、バス停まで歩いて行けないので、宿の近くでタクシーを拾うのだと。

 でもこれまで南米を旅したことのある旅行者から、そんな物騒な話を聞いたことがないだけに、その原因は彼がかなり小柄で童顔なので、現地人としては狙いやすいのではないかと思うのだ。

 もう一人の日本人青年は、ゴールデンウイークを利用して二週間程度のタイ・ラオスの旅とのことで、「今まであちこちの国に行きましたが、ラオスという国は拍子抜けするほど穏やかですね」と感想を語っていた。

 二人とも余り話しの合うタイプではなさそうだったので、夕食を誘うことはしないで、このあと何度かサウナに入って汗をかき、再びハーブ茶を飲んでリラックスするということを繰り返した。

 心身ともにこれ以上リフレッシュしようがないほどすっかり気持ちよくなり、Y子さんもすっかりリフレッシュしたようで、外に待たせていたトゥクトゥクで宿に帰った。

 Y子さんは薬草サウナが随分と気に入ったようで、「ここにもうしばらく滞在して毎日薬草サウナで綺麗になりたい」と言っていたが、何事にも限度がありますよと、余計なアドバイスをしてしまった。

 夕食の時間になり、韓国人青年を誘ったが、彼は既にレストランで簡単に済ませたと言い、屋上で本を読んでいるとのことだった。

 それならと、僕は昨夜食事のあとにウイスキーが飲みたいために立ち寄った店に、もう一度行きたくなり彼女を誘った。

 この夜は、大判のピザ、タコス二人分、ビアラオ一本、ウイスキー二杯、シェイク、コーヒーで、約十万Kip(千円少々)と、アジアにしては猛烈に贅沢をした。

 だが、若い女性と今度はいつこのような機会があるか分からないので、勿論僕の奢りである。
 僕だって出す時は大盤振る舞いをすることもあるのだ。(笑)

 Y子さんは、二十代半ばを過ぎた人だが、この二日間共に過ごして感じたことは、他人に対してとても気遣いをする人だと思った。

 何かを提案する時も、相手の意見を必ず聞いてからだし、僕が彼女に意見を聞くと、すぐに答えずにしばらく考え込んでから話すという感じだった。

 ただあとで分かったことは、それは単に、彼女が比較的のんびりとした性格で、物事を決めるのに優柔不断の傾向があり、一言で言えば「おっとりした女性」というだけなのだが。

 旅の五日目は、またしても若い女性と一緒にお酒を飲めるという幸運に恵まれ、ほろ酔い加減で宿に戻ったが、神はその代償として暑さと蚊に悩まされる寝苦しい夜を僕に与えたのだった。

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