サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽

Pero

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第三章 バンコク近郊・意外展開旅行記

サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 103

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    カンチャナブリヘ その二

 カンチャナブリへの道路は整備されていた。
 日本の高速道路のように高架道路はないが、道幅が広く快適なハイウエイのようだった。

 バンコクはバス網が発達している。

 バンコクを起点としているだけでなく、地方の都市間のバス移動もとても便利だ。

 さて、カンチャナブリへの道中は殆どが田園風景である。

 途中、大きな町を二ヶ所通過する。ナコーンパトム(Nakhon Pathom)という比較的大きな町を経て、スパンブリ(Suphanburi)に入り、ここでバスを降りて乗り換える必要がある。

 アユタヤから乗って、最初から最後尾の席に座っていた僕に、前の席にいた十才位の男の子が興味を示したようだ。

 僕が日本人ということに興味を持ったのか、それとも怪しげなバンダナが気になったのかは不明であるが、何度も、いや何十回も僕の方を振り返って見るのだ。

 彼は母親と妹とでアユタヤからカンチャナブリまで、僕と同じ目的地までのバスの旅だった。

 彼が五~六回目位に振り返った時に、僕は右手を耳の辺りでヒラヒラさせて、「やあ!」という感じで笑ってみた。

 するとこのフレンドリーな態度に安心したのか、彼はその後十分に一度は振り返ってニヤッとするのだった。

 さすがにその光景を見ていた母親が、「やめなさい!」という感じでたしなめていたが、僕としては全然気にならなかった。

 バスはスパンブリに到着し、乗り換えのために降りた僕は、運転手から聞いていた方向とは違った方へ歩いていたようだった。

 僕が重いバックパックを背負ってヨタヨタ歩いていたら、先ほどの少年が駆け寄ってきて、「バスはこっちだよ!」と言うのだ。(状況から判断して多分そう言ったのだと思う)

 彼に導かれ無事に正しいバス停に着くと、母親と妹が、「よかったよかった」というふうに笑っていた。

 この状況を言葉で表現することはとても難しいのだが、タイの人はやっぱり親切で、微笑を絶やさないものだなぁと、この時改めて思ったものだ。

 やがて到着したバスに乗り込み、こんどこそカンチャナブリヘ向かった。

 天候に恵まれ、午前十時過ぎにアユタヤを出たバスは、午後三時前にはカンチャナブリのバスターミナルに到着した。

 バスを降りてウロウロしていたら少年と母親達が心配そうに僕をじっと見ていた。

 僕は軽く手を振って微笑み、「大丈夫だから」という感じでその場を離れた。

 少し歩くと、自転車の横に座席を取り付けた乗り物が近づいてきた。

 これは何という乗り物なのだろう?

 リクシャーというのかな、ともかくそれを運転しているまだ若い男性に声をかけられ、三十バーツというので乗ってみた。

 三十バーツは高いかもしれないと思ったが、これは一度乗ってみたかったからだ。

 彼は細い腕に細い足なのに、六十五キロもある僕と十二キロはあるだろうバックパックを乗せているにもかかわらず、喧騒の市内へペダルを漕ぎ出したのだった。

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