サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽

Pero

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第三章 バンコク近郊・意外展開旅行記

サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 106

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  カンチャナブリ その三
 
 「戦場に架ける橋」に納得してから、来た道を再び歩いて三十分以上もかけて宿に戻った。

 すぐに水シャワーで汗を流してさっぱりした。
 ところがさて、何もすることがない。夕刻だがまだ晩御飯には早過ぎるし、お腹も空いていない。

 やむなく再び散歩に出た。

 通りを少し市街地方面に戻ると一軒のネットカフェがあった。
 入るとエアコンが強烈に効いていてすこぶる快適だ。おそらく外との温度差は十度以上あるだろう。

 メールをチェックして自分のHPを見ると、アレレ?キチンと表示されない。
 なぜだろうと思ったら、インターネット・エクスプローラーではなくネットスケープだからだ。

 再び外に出てウロウロするが、のんびりした街並みでサムローやトゥクトゥクも誰も話しかけてこず、アユタヤと随分違いがあることに拍子抜けする。

 そこそこ大きな町なのだが、人々はあまり観光客に擦れていないのかもしれない。(今は全く違いますけど)

 観光客自体が多くないし、日本人旅行者にいたっては一人も見かけない。

 日本ではお盆が終わったので、バンコクに近いこの観光地は繁忙期を過ぎたのだろう。

 どうも僕には少し違和感を覚える町で、ここに二泊する予定をしていたがちょっと気持ちが変わってきた。

 一時間ほど街歩きをして宿に戻った。時刻は午後七時前だ。

 バンガローにも宵闇が迫ってきて、カンチャナブリの夜が始まった。

 本当に何もすることがないので、川に突き出ている宿の桟敷レストランで食事をすることにした。

 最も川側の席につくとすぐに宿の女の子が注文を聞きにきた。

 この宿は欧米人の宿泊客が多いようで、料理のメニューはバラエティーに富んでいた。

 昼食にチャーハンを食べたのでヌードルスープウイズポークとイタリアンサラダ、それにシンハビールを注文した。

 運ばれてきたイタリアンサラダは大きな皿に一杯盛り付けられていた。
 食べきれないくらいの野菜だが、数日前に体調が悪かったことを考えるとちょうど良い。

 クゥエー川を見ながら食事をしていると、どうも心寂しくなってきた。

 周りを窺うと一人で食事をしている欧米人はいない。
 若いカップル、中年夫婦、女性同士など、会話をしながら食事を楽しんでいた。

 これまでの旅で、たった一人で夕食を摂るのは初めての経験だ。

 朝食や昼食を簡単に一人で済ませることはあっても、一人の夕食は本当に初めてだと気がついた。

 しかし旅は基本的に一人であると、僕はこれまで何度も言ってきたはずだ。

 そういう考えであっても、たまたまこれまでは偶然滞在先で日本人旅行者と知り合い、夕食を一緒に食べ続けていただけなのだ。

 今更基本に戻ったのに心寂しいとは、自分自身の弱気に腹が立ってきた。

 僕は何かに挑戦するように大盛りサラダを一気に食べ切り、ヌードルスープのスープまで全部飲み干して部屋に戻った。

 今夜は早く寝て明日から気持ちを切り替えよう。

 蚊帳の中に入ってしばらく本を読んでいたら、満腹感もあって急に睡魔が襲ってきた。
 知らないうちに電気をつけたまま眠ってしまった。

 目が覚めるとまだ午後十時過ぎだった。

 窓からレストランを覗くと、まだ欧米人数人がビールを飲みながら楽しそうに話していた。

 僕は電気を消して再び寝た。明日は移動しよう。

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