サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽

Pero

文字の大きさ
129 / 208
第四章 タイ・ラオス・ベトナム駆け足雨季の旅

サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 129

しおりを挟む

       第十三話


 2007年6月29日、僕はラオス第三の都市・サワナケートの殺風景な宿のベッドで目が覚めた。

 昨日は九時間近くもバスに乗っていたためか、夢ひとつ見ることもなく、ぐっすりと寝た。

 メイン通り沿いの小さな食堂でフランスパンサンドイッチのハーフとオレンジジュースで朝食を済ませ、再び宿に戻り延長を手続きした。

 オーナーの奥さんは夕方までの延長料金を25000Kipとおっしゃる。
 泊りが35000Kipで延長が25000Kipとはどういう計算なんだ?

 しかしまあ、100円200円の世界なので何も言わずに支払った。(こういうアバウトさが旅仲間から非難されたりするのだが・・・)

 今夜の夜行バスでベトナムのフエへ向かう予定だが、少しだけでもサワナケートの街を歩きたい。

 日が照ったり曇ったり、天気は快晴とまではいかないが、雨の心配はなさそうなので外に出た。

 昨日はバスターミナルから宿までトゥクトゥクで十数分かかった距離だが、運動のために歩いてみることにした。

 大通りを一直線に約1キロメートル程度歩き、三叉路を斜め右へ折れ、さらに500メートル程度歩くとバスターミナルが見える。

 そんなに遠くはないが近くもない。

 バスターミナルはよく観察するとそれなりの広さがあった。

 敷地内には屋台風レストランが2軒と売店などがあり、反対側にはトイレの隣に簡易宿泊所もあった。ここで泊まってもよかったのだ。

 チケット売り場でフエまでの国際バスチケットを買っておきたい。

 窓口でいくらかと聞くと12ドルだと言う。でも今夜のバスの分は、19時から発売開始とのことだった。

 メコン川はどの方向にあるのかとチケット売り場の女性に聞いて、散策に向かった。

 バスターミナルを出て、先程の三叉路を宿の方向と違う方の道路を進み、角々のを覗くとメコン川らしき様子が窺えた。

 サワナケートの街は、この辺り一角が碁盤の目に近い道路の配置の様子で、位置関係が分かりやすい。

 住宅街をグングン進むとメコン川に突き当たった。
 この時期、川の水嵩はなみなみと豊かである。



 川向こうはムクダハーンというタイの町、日本では「舞妓ハーン」とかいう邦画が上映されていたことを思い浮かべた。(笑)

 川沿いの道を歩くとメコンゲストハウスという宿があった。
 メコン川が目の前の絶好の位置にある。

 今回の旅行ではガイドブックの類を一切持ってこなかったため、このゲストハウスの存在を知らなかった。

 ガイドブックがあれば、宿の所在地や料金などが事前に確認できるメリットがある。

 この後訪れるベトナムのフエに於いても、ガイドブックがあればもっと楽しめたのにと後悔したのだった。

 さて、メコンゲストハウスの隣にある食堂でヌードルスープを食べることにした。
 
 この食堂は入り口も出口もなかった。

 民家の空いたスペースに屋根をつけて営業を行っている感じ。
 従って、店には若奥さんとお母さんと、5歳くらいの子供だけだった。



 以外にもここのヌードルスープはとても美味しく、一気に食べてしまった。
 すると三人がちょうど昼食を食べ始めていて、そのテーブルに僕を招いてくれた。

 テーブルにはカオニャオとタケノコスープ(名称があるはずですが忘れました)、それに少しの肉と野菜を炒めたものが置かれていた。



 「さあ、食べて」と小皿と箸を僕の前に置いて奥さんが勧める。(実際はラオス語なので分からないが)

 カオニャオを手で適当な大きさにつかみ、それをタケノコスープに少しつけてから食べる。

 美味しい。


 肉野菜炒めもすごく美味しかったが、猛烈に辛かった。「辛い~と顔をしかめると、氷の入った小さな容器に水を入れて持ってきてくれた。

 日本では歯科医院で見るようなステンレスのうがいカップみたいな大きさである。
 辛い口にこの水がすごく美味しかった。

 ご家族は全く英語を話さず、僕は全くラオス語を話せないから、お互い雰囲気で意思の疎通を図らざるを得ない。



 こういう意外性が旅行の面白さである。

◆この店はその後2019年にラオスを20回目に訪れた時に訪ねてみたら、既に食堂は廃業されてました。

👇



◆この時はサワンナケートを初訪問でしたが、その後はラオスを20回訪問のうち、サワンナケートには9回訪れることになりました。
 その理由は追々記述します、よろしくお願いします。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

真面目な女性教師が眼鏡を掛けて誘惑してきた

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
仲良くしていた女性達が俺にだけ見せてくれた最も可愛い瞬間のほっこり実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

処理中です...