サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽

Pero

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第五章・ミャンマー行きの予定が何故か雲南へ

サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 164

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      第十四話


 2009年12月26日、日本ではクリスマスという無心論者でも参加する大イベントが終わって、街が虚脱感に包まれているころである。

 僕は遠くラオスという国の首都・ビエンチャンに於いて、チャリンコをキコキコ漕いで北バスターミナルへ向かっていた。

 陽が落ちて薄暗くなったビエンチャンの街だが、昔と違って車やバイクが慌しく国道を往来している。

 早々とシャッターを閉め始める道路沿いの建材店や石細工店、仕事を追えた人々が家路を急ぐ。

 平和な光景に、僕の心も穏やかな感情に包まれる。しかし暑い。

 北バスターミナルは国道をヒョイと入ったところにあり、位置的には分かりにくい。
 チャリンコにしっかり鍵を掛けて、チケット売り場へ歩く。

 長方形の小屋のような建物がバス発着場の手前にあり、そこが売り場である。
 中国方面の窓口は向かって一番右端であった。

「明後日の昆明までの夜行バスチケット1枚!」

 汗を拭き拭き窓口のオッサンに叫ぶ。

 ラオス人ではなく、明らかにチャイナ顔の中年男。

 だが、オッサンは首を横に振る。

「明日の午前9時以降でないと発売しない」とのたまう。

 何で?と一応訊いてみたが同様の返答。このバンダナ日本人オヤジはウルせぇな、といった顔付きだ。

 せっかく身体中から汗を噴出しながらやってきたのに、この冷たい返答は何なのだ。

 憤慨しながらも仕方なく帰ることにした。

 チャリンコのべダルを漕ぐ足がなんとなく重い。
 すっかり陽は落ちて、ビエンチャンの街は暗闇に包まれていた。

 チャリンコを返し終わったら何もすることがない。

 ゲストハウスが多く存在する通りには、様々な飲食店が旅行者を呼んでいる。

 楽しそうに会話しながら、ピザ店に入っていく欧米人カップル。

 確かこの店は、2002年に国境で知り合って数日行動をともにしたR子さんだったか、或いはバンビエンからビエンチャンに戻ってくる際に知り合ったY子さんとだったか、以前に入ったことがある。

 その時、この店は洋酒を主体に飲ませるカフェだったはずだ。

 僕はR子さんの美貌に酔いしれて、ウイスキーをガブガブ飲んで、文字通り酔っ払ってしまったことを思い出す。

 その店が今ではピザ屋に変っている。

 年月の経過は、様々な事象の変化を伴うのは当然であるが、ちょっと寂しい気がした。

 ゲストハウスへ帰ってもTVのない部屋だし、本を読む気分でもない。
 ナンプ広場近くにある、毎回訪れるシーリーマッサージ店へ行くことにした。

 ここはビエンチャンに来るたびに、滞在中何度かマッサージをしてもらうのだが、若い女性が多い割には丁寧な仕事をしてくれるので満足のいく店である。

 今夜はどんな可愛い女性が僕の疲れた四肢をほぐしてくれるのだろうと、期待に胸膨らませて店のドアを開けた。

 入ってすぐ左にカウンターがあり、その向こうには妖艶なラオス美女が「サバイディー」と微笑みながら迎えてくれる・・・・そんな都合よく話が進むはずはない。

 この夜、僕のマッサージを担当してくれたのは、体躯のガッシリとした、一見ホモっぽいたくましい若い男性だった。(涙)



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