サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽

Pero

文字の大きさ
165 / 208
第五章・ミャンマー行きの予定が何故か雲南へ

サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 165

しおりを挟む


       第十五話


 2009年12月27日、前日の夜はナンプ広場近くにあるシーリーマッサージで、疲れた四肢をホモっぽい男性から丁寧なラオスマッサージを受けて、すっかり元気になっていた。

 今朝はフラスパンサンドイッチとラオコーヒーの朝食を済ませたあと、再びレンタバイク(ママチャリ)を10000Kip(この時期90円)で借りて、北バスターミナルへ心躍らせて出かけた。

 用事は他でもない、中国南部の昆明行きのバスチケットを購入するためである。

 この日も好天、朝のビエンチャンの街は既に動き始めていた。

 気温はそれほど高くないが、それでもおそらく25度は越えているように感じる。

 午前九時過ぎに北バスターミナルに到着した時には、体中から汗が滴り落ちるくらいであった。

 早速昨日冷たくあしらわれた窓口へ。

 「昆明まで、明日の夜行チケット1枚、頼む!」

 「ウン? 明日のチケット?明日のものは明日の朝9時から発売だがや」

 そうか、そういうことなのか。

 つまり当日のバスチケットは当日しか売らない、前売りをしないということらしい。

 何て前近代的発売方法を採用しているのだ、クソ中国め。

 それなら今夜の出発分を買えばいいんだな、「じゃあ今夜の分を!」と不機嫌に叫ぶ僕。

 しかし返ってきた答えは「今夜の分はあいにく売り切れだがや」と、またしても意に反するものだった。

 これは中国へ行くなという神の指図かもしれないな、と思いながら気持ちも萎えて、やむなく宿に戻った。

 明日、三度目のチケット購入アタックがダメだったら、素直に流れに従って、バンビエンかルアンパバーンへ向かおうかとも考えた。

 ベッドでウトウトしていたら寝てしまい、目が覚めたら午後二時だった。
 三時間以上も昼寝をしたことになる。

 海外に来て昼寝をすることが、僕にとっては至福である。
 日本の日常ではほとんど有り得ない時間の流れだ。

 メコンの夕陽を眺めながらビアラオを飲み、これまでの人生の失敗や、女性との失態を苦笑いするひと時と同じ位、幸せを感じる瞬間である。

 シャワーを浴びて目を覚まさせ、鏡を見て驚いた。

 髪の毛の生え際を中心に、白髪が目立っていたのだ。
 しかも少し髪の毛も伸びている。

 階下に降りてS野さんに、カットと毛染めをしてくれる理髪店をお訊きした。
 
 理髪店よりも美容室でよいのでは?ということになり、場所を教えていただいた。

 教えてもらった美容室は、作家の黒田信一さんが以前営業していた「カフェ・ビエンチャン」の隣に位置していた。(詳細はカフェビエンチャン大作戦・本の雑誌社刊でどうぞ)

 「ちわ!」と店内に飛び込むと、店には女性が3人暇そうにしていた。

 年末が近いのにこれではいけないだろう、さっ!仕事、仕事。
 ヘアカットと毛染め、出来る限りブラックに染めてねと注文をした。 

 もともと毛髪が少ないので、カットは簡単に調髪が終わり奥の席へ移動、仰向けに背もたれを大きく倒されて、後頭部の下に大きな洗面器が位置する形での毛染めが開始された。

 日本の美容室や理髪店のように温かいお湯で髪をすすぐわけではない。
 すべて水で洗うのである。

 これが当初は冷たくて違和感をかんじるが、慣れるとお湯より気持ちが良い。

 毛染めを担当してくれたのは、中山美穂似の美女だった。

 彼女の細い指が、まるで腫れ物を扱うように、僕の髪の毛に触れるのだった。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

真面目な女性教師が眼鏡を掛けて誘惑してきた

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
仲良くしていた女性達が俺にだけ見せてくれた最も可愛い瞬間のほっこり実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

処理中です...